井熊さんちの家庭の事情#4
井熊明子


那州雪絵『月光』の謎(笑)の答えはケイト・ブッシュにあり!


 こんにちは、井熊です。

 最近寂しかった我が家の郵便受けに、糸納豆29届きました。どうもありがとうございました。期限が切られた仕事から逃避して、その場で、ほとんど一気に読んでしまいました。前にもこんなことがあったような気がする(というより、常に、仕事から逃避しようとしているということか)。

 それはさておき、どうやら「カイト」の名前の謎は、Kate Bushのアルバム「The Kick Inside」に収められているその名も「KITE」にありそうだぞ。

 実は、私、「カイト」という名前を見てからずっと、件の曲の記憶と結びついて離れなかったんだけど、「まさかね……」と思って、古いテープを回してみようとまでは思わなかったんだよね。で、蛸井君とかに聞いてみようかいなとか、思ってたんですよ。

 でも、糸納豆の編集後記を読んで、ま、とにかく、心当たりぐらい当たってみようと、以前、レンタルしたCDからダビングしたテープを聴いてみたら、なんと、さびのところに「over the lights, under the moon」なる歌詞があるではないですか。私のヒアリング力では、他の歌詞を追うことはできなかったけど、おそらくこの曲に間違いないでしょう。

 さて、軽い気持ちでKate Bushをかけながら書き出して、「KITE」で暴走してしまいましたが、感想に戻りましょう。

 まず、「長い長いリアクション」載せていただいて、おまけに、ちょっと早い暑中見舞いも載せていただいて、ありがとうございました。貴重な紙面を占領してしまいすみません。おまけに、陣中見舞いの方は、打ち込みまでさせてしまって、どうもどうも。

 毎回印象深い「CARE」。今回は、特に、声についての考察が印象的でした。女性の声っていうのは、男性にとっても、女性にとっても特別な不思議な魅力があるような気がします。魔力といってもいいかも知れない。

 私も、声が好きな女性ヴォーカリスト(上述したKate Bushや谷山浩子なんか好き)はいても、声が好きな男性ヴォーカリストはいないもんね。誰が、イアン・ギランやロバート・プラントの声だけを楽しもうなんて考えるだろう。

 あ、でも、声優なんかだと、好きな声ってあるなあ。特に、若山玄蔵みたいな低い声(この人の吹き替えで「007」を見たがために、ショーン・コネリーが好きなのかも知れないと思うくらいだもの)。

 それと、女の子が喜びを表現するうまさに関して、あれは一つの才能だと思います。この才能、一部の女性にのみ生来備わるのか、あるいは、何らかの努力と引き替えに獲得するのかは分からないけれど。とにもかくにも、無邪気な喜びの表現というのは、私のようなおばさんから見てもやはりいいものです。それとも、私がおじさんなのか。

 他にもいろいろ書きたいことはあるけれど、今回はとりあえずこの辺で。(中略)そうだ、もう一つだけ。「つぶやき岩の秘密」のビデオがとてもうらやましいです。テープ、送料の実費プラスアルファで、ダビングしてもらえませんか?

 それでは。


敦子さんちのパソコンと『ハイペリオン』のはなし


 先日、敦子さんからはがきが来ました。彼女も、この4月にFMVを購入し、さらには、5月からは社会復帰も果たしたそうです(コンピュータスクールのインストラクタだそうで、いかにも、という感じですよね)。

 年内に、件のお屋敷に引っ越しする予定だそうで、パソコン通信は、新居で始めるつもりとのことでした(理由は、現在のお住まいでは、パソコンの設置場所にモジュラージャックがないからとのこと)。

 なにはともあれ、ほとんどマック一色の部室にDOS/V仲間が増えそうなので、私はとてもうれしいです。

 しかし、モジュラージャックが1階にしかないのなら、1階にパソコンを置けばよいのに、と思うのは、私だけなのだろうか。我が家のパソコンは、ただ一つのモジュラージャックが存在するLDのダイニングテーブルの斜め後ろに設置されています。在宅勤務には、FAXモデムは必需品だものね。

 ところで、話は変わって、私も『ハイペリオン』を読了しました。

 先月の下旬に、近所の図書館で、別の本を借りようとカウンターに向かう途中で発見し、すかさず引き抜くなり回れ右して抱えていた本(ちなみに、抱えていた本は、「神話の力」という本。私もSFばなれが進んでいる?)を棚に戻し、子供用の児童書と一緒に借り出しました。

 井熊氏に、「仕事して、子供育てて、その上本まで読もうというのか」と恨み言を言われつつ、約3週間で読み通しました。読書時間が限られていることを考えると、かなり速いペースだと思います。

 とにかく、一気に読めるエンターティンメントだと思います。読み進むごとに、「うまいなあ」とかつぶやきながら、読んでしまいました。読み始めた当初は、何となく『大潮の道』を連想して、いやーな予感がしたけれど(多分、名無しの領事のせいだと思う)、読み始めるとほとんど抵抗なく読めますね。いやー、『没落』が楽しみ。早く図書館に来ないかな。

 ただ、井熊氏に「面白い!」と断定して推薦するには至りませんでした。彼が要求するすかっとさわやかに面白いSF、とは言い難いと思うんですよね。

 そういえば、最近、すかっとさわやかに面白いSFって少ないですね。この辺が、SF離れ現象を引き起こしてるんじゃないですかね。そういう方には、物語形式のオンパレード、一粒で6度(?)おいしい「ハイペリオン」よりも、むしろ、さわやかなAI青春物語、『ヴァーチャルガール』を井熊氏の推薦付きでお勧めします。

 ところで、糸納豆で三木さんが引退前に読みたい名作としてあげていた『アルジャーノンに花束を』、実は、私、まだ読んでません。

 これを井熊氏に告白したら、「SF研の面汚しめ、死んでしまえ!」と罵倒されてしまいました。

 私も、文庫になったら買って読もうと思っていたんだけど、そうか、早川のドル箱だったのか。しょうがない、図書館で借りよう。コミックスは山のように買ってくるくせに、不朽の名作でさえハードカバーは買おうとしない、や〜もとである。

 またまた、話は変わって、先週あたりから、井熊氏は、worksの限界の中で、同窓会誌の編集にチャレンジしています。会社のスキャナで読み取った写真を埋め込んだり、wordartでタイトル文字を作ったりして、すっかりご満悦の様子です。

 彼は、この作業のおかげで、編集作業の大変さを改めて(初めて?)認識したそうで、水戸市の公報を見る目がすっかり変わってしまいました(あ、別に、水戸市の公報が優れているというのではありません。こんなものでもその後ろには膨大な労力が隠されているのであるなあ、というところでしょう)。

 本当に、個人誌を発行しているみなさんのエネルギーには、舌を巻くばかりでございます。


『つぶやき岩の秘密』と少年ドラマシリーズへの回想


 先日は、『つぶやき岩の秘密』のビデオをお送りいただきまして、どうもありがとうございました。すっかりお礼が遅くなってすみません。せっかくだから、『つぶやき岩の秘密』の感想などを少し。(中略)

 私が覚えていたのは、最終回だったんですね。それにしては、金塊を海に投げ捨てるシーンに覚えがないのはなぜだろう。ストイックな少年にしかできない解決方法でドラマが締めくくられて、主人公が両親の死の呪縛からも解放されたことも示されて、実に感動的だったのに。

 残念なのは、「亀さん」が登場するシーンにかなり無理があるように思えることぐらいかな。いくらなんでも、神社の境内から出てきたところでばったり会って、いきなり「坊っちゃん、地下要塞に入ってみたいと思いませんか?」は、あまりにも怪しすぎますよね。怪しいというより、唐突かな。まあ、このときには、もう、紫郎くんを殺そうと思っていたんだから、亀さんが紫郎を地下要塞に連れ込もうとするのはおかしくないんだけど、もうちょっと持ちかけ方があろうというものじゃないですか。

 それにしても、あの神社の裏の洞穴は、どうやって埋めたんでしょうね。それから、あの絶壁に立っていた老人は、どうやって現れ、そして消えたんでしょう(これは、地下要塞に通じる洞穴があったとかいうんだろうけれど)。

 いくつもの謎がドラマの中で解決されずに残っていたから、子供の頃の私は、最終回まで観ていないと思ってしまったんでしょう。今観ると、そこがいいと思えます。

 それにしても、この少年ドラマシリーズは、視聴者として小中学生を想定していながら、子供扱いしてなくていいですね。ずっと後に作られた『11人いる!』なんかでは、結末がすっかり変わっていて、後で(!)原作を読んで大激怒した覚えがあります。

 NHKは、バラエティーなんてつまらんものは止めて、かつての少年ドラマシリーズのような子供を一人前の人間として扱う番組を作って欲しいものだと思います。それでこそ、視聴料分の仕事じゃないですかね。


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