『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』全48話のひみつ #2

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#14『こんにちはなつみちゃん』(98/05/30)
演出・小坂春女
作画監督・中田正彦

 新キャラクターのなつみちゃん登場。ファンファンファーマシィーの真向いに住むなつみちゃんというのは、原作絵本では主人公なのだが、性格が内気で原作とは正反対(?)なのは、そのあたりの性格がぽぷりに持っていかれているからか?
 1クールを過ぎて、伊藤郁子氏以外の作画監督の回も作画がかなり安定してきたみたいでなかなかマルである。


#15『まほうのルーペ』(98/06/06)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・伊藤郁子

 伊藤郁子氏の作監の回はやっぱりちょっとした表情などがかあいらしい。それにちょこちょことよく動く。今回はぽぷりのリアクションの一つ一つを単純に楽しめる、キャラクター編的なエピソード、かな。
 キャラクター商品でもある「タピスのルーペ」初登場。にこにこ銀座を騒がす姿の見えないいたずら者の正体をぽぷりが魔法のルーペで探ってみると……。
 いたずら者の正体、妖精プカは、もともとはキャラクターショウのためにデザインされたキャラクター、とのこと。まあ確かに、ぽぷりの精霊たちは等身大じゃないので、ショウなどのイベント向きではないかもなあ(笑)。


#16『にじいろかたつむり』(98/06/13)
演出・貝澤幸男
作画監督・進藤満尾

 梅雨どきに、異世界を旅する謎の魔法科学者(?)ケルピー・ロックスミスがにこにこ銀座でちょっと立ち往生。タピスのルーペの力で彼と邂逅したぽぷりは……。
 ファンタジーらしい味つけの小品。今回は、ロックスミスのキャラクターや「雨」「傘」といったモチーフの使い方に貝澤SDの趣味が出ているとのこと。でも、今回作画は今ひとつ、かな(笑)。他の作画監督の回のレベルが上がっている分、点が辛くなるかも。


#17『はしるはなよめさん』(98/06/20)
演出・今沢哲男
作画監督・爲我井克美

 これも原作にあるエピソードの脚色で、いわゆる「きつねのよめいり」をモチーフにした民話風の一編。民話と魔法が違和感なく共存できるのが『ファンファン』の世界である。


#18 『こわいふるほんやさん』(98/06/27)
演出・小坂春女
作画監督・上野ケン

 なつみちゃんとすっかり仲よしになったぽぷり。幼稚園で「森のくまさん」を習ったばかりのなつみのために絵本を探そうとするが、二人が訪ねた古本屋さんは近所でも評判の……。
 ちょっと内気な幼稚園児なつみちゃんのぽぷりへの懐き方とか、古本屋さんにどなられた時のリアクションとかが、なかなかリアルな感じ。
 偏屈ものの古本屋のお爺さんの心をぽぷりがときほぐす話、なのだが、今回魔法にはあまり意味はなくて、ぽぷり自身の持ち前の心の力が物語の鍵。


#19『においがきえた』(98/07/04)
演出・貝澤幸男
作画監督・杉本道明

 町中のにおいが消えてしまうという怪事件(?)を魔法で解決、というスタンダードな話だが、ぽぷりとふきこさんの役割分担とか、ストーリーはよく練り込まれている感じ。
 今回は絵のタッチが妙にかっちりしていて迷いがない。設定には忠実なんだけど、伊藤郁子氏本人の作画だと、もう少しタッチが柔らかくなると思う。しかも、冒頭から凝ったアングル続出の演出(ぽぷりの顔を画面に出さずに、胸から腰までのショットとか足だけのショットとかころころ切り替えたり)で、しかも妙によく動く。鼻の穴をぴくぴくさせてちゃんとかわいい(笑)というのはけっこうたいしたものではないか(笑)。杉本道明氏ってこの話を観るまで全然チェックしてなかった名前なんだけど、今回原画を一人で担当してるし、実はすごい人かも。
 作画、演出ともグレード高し。『ファンファン』を観たことのない人にサンプルとして観せるには好適か?


#20『ぽぷりのぼうけん』(98/07/11)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・中田正彦

 なんとかピンチイを使いこなせる(?)ようになったぽぷり。空の散歩中にどこかで見たような(笑)雲の柱と乱気流に巻き込まれて、空に浮かぶ謎の島に漂着(『ラXュタは本当にあったんだ(笑)』……って、しっかし、これ(笑)、ジXリからクレームとかつかないんだろーか(笑))。
 ピンチイとはぐれ、魔法の種も全部落としてしまってぽぷりピンチ……のところ、空から降ってきた(ぽぷりが落とした)魔法の種でぽぷりの窮状を察したふきこさんが魔法でしっかりサポート。流石にぽぷりとはレベルの違うふきこさん、精霊を魔法の種の持ち主のもとに送り込んだりとか、いろいろ技が使えるのね(笑)。
 ということで、新たな風の精霊パンチィ登場。それにしても、風に飛ばされたぽぷりを助けないで傘の方を回収してきたピンチィは、もしかしてぽぷり本人よりも傘が気に入って遊んでるだけか(笑)?(それじゃ『トXロ』になってしまうな(笑))
 因みに、作画、演出は今回も好調。TVシリーズとしてはかなりグレードの高い部類に属すると思う。
 あ、そういえば、ぽぷりはつい最近図書館で「傘で飛ぶ魔女」の出てくる本を読んだようです(笑)。


#21『ケーキがいっぱい』(98/07/18)
演出・今沢哲男
作画監督・伊藤郁子

 にこにこ銀座は年に一度のケーキコンテストの話題で持ち切り。商店街の奥さんたちからたばこ屋のおじさんに到るまで、新作ケーキの研究に余念のない日々。コンテストに参加したいけど、ホットケーキしか作れないぽぷりの必勝(?)のアイデアとは……?
 好きなケーキを尋ねられて、「いちごのショートケーキ! ……いや、あれはもう卒業ね」というぽぷりの謎の大人観(?)がほほえましい(笑)。でも夢の中では嘘はつけなくて、巨大ないちごのケーキに全身で飛び込んでいくあたりがまたなんとも(笑)。今回はストーリー全体がかあいらしくまとまっていて、マル。
 伊藤郁子氏の作画は、上記の夢のシーンなど、全身で感情表現しまくっているぽぷりの動き(ポーズ)と表情のはじけ方がとってもよい。因みに、伊藤郁子氏の作監の回でピンチィが登場するのは実はこれが初めて。いたずら妖精のプカも再登場。


#22みいファぷー三作合同企画『不思議な箱の物語』(98/07/25)
演出・貝澤幸男
作画監督・進藤満尾

 夏休みの3作合同企画「ふしぎな箱の物語」。といってもキャラクターが競演するとかいうことじゃなくて、同じ形の「箱」をモチーフにしているだけで、基本的な構成はほぼいつも通り。この「箱」を使うアイデアは小中千昭氏の提案によるもの、とのこと。
 第一バッターの『ぷーちゃん』はスケールのでかいホラ話的な展開で、なんとオチがない(笑)。続く『みい子』は小学生らしく「秘密基地」話。『みい子』のこういう「基本」に忠実なところはすごく好き。
 そして『ファンファン』は、偶然拾ったふしぎな箱を触媒にしてぽぷりの性格のポジティブな部分とネガティブな部分が分裂(?)して自己対話するという、観念性の高いシリーズ中でも異色のエピソード。脚本&演出のテンションは高かったけど(しかし、今回の脚本&演出はちょっと『エXァ』っぽかったかも(笑))、作画は今ひとつ……だったかなあ(笑)。
 と、油断していると、最後にオチがなかった『ぷーちゃん』が再登場してちゃんとオチをつける。うむむ。ただのオチなし話じゃなかったのね(笑)。
 なお、まったくの余談になるけど、今回の『ファンファン』の脚本段階のタイトルは『あなたはだあれ?』だったとの由(笑)。この手のサブタイトルの「遊び」は年間通して随所に見られるので探してみるのも一興(笑)。


#23『プールがたいへん』(98/08/01)
演出・小坂春女
作画監督・爲我井克美

#24『あけてはいけないドア』(98/08/01)
演出・五十嵐卓哉
作画監督・上野ケン

 今回の『みいファぷー』は『ファンファン』スペシャル2本立て。
 1本目「プールがたいへん」は意外にも実は泳げないぽぷりが、クラスの友だちと来たプールでちょっとずるしてシブ(水の精霊)を呼び出して遊んでたんだけど、ふとしたことからシブが暴走(笑)してしまって大騒ぎ。騒ぎを収めようとしたぽぷりは次から次へと精霊を呼び出すんだけど……。
 まあ、魔法でずるしちゃいけません(笑)、と、自分でしたことは自分でなんとかしましょう(笑)、という話。普段は1体ずつしか召喚されないぽぷりの精霊たちが競演(?)するというのが夏休みスペシャルらしい趣向か。
 2本目「あけてはいけないドア」は、開けてはいけないといわれると開けたくなっちゃうよね、やっぱり、という話(笑)。ファンファンファーマシィーにお泊まりに来たぽぷりはふきこさんから3階の突き当たりのドアは絶対開けちゃいけないと注意されるのだが……。
 あと、今回は魔法アイデアコンテストの発表などもあったが、グランプリに輝いた新しい魔法、時の精霊ジルムとジルモのデザインは抽象的……じゃない抽象画的(笑)で、ちょっと懐かしのウゴウゴルーガを思い出してしまったなあ(笑)。シュールくんは元気でやっているだろうか(笑)。というか、ウゴウゴくんとルーガちゃんは最近なんか仕事してたっけ(笑)?


#25 『さびしいつちクジラ』(98/08/08)
演出・貝澤幸男
作画監督・杉本道明

 夜になると地面から現われるツチクジラをめぐるぽぷりの冒険(この設定、ダイダXボッチのような……。またしてもジXリ的か(笑)?)。それにしても、今回は思いっきり地球空洞説してしまっていることである(笑)。
 『ファンファン』はこういう思いっきりファンタジー寄りの話と、日常寄りの話の間の振幅がけっこう大きい(個人的には、日常寄りの話の方が好みかなあ)。それでひとつの作品として破綻がないというのは、それだけ作品世界のキャパシティが広いということで、スタッフにしてみると、ある意味「実験場」だったのかもしれない。
 ツチクジラのアイデアは貝澤SDによるもの、とのことだが、貝澤氏にとっても『ファンファン』という作品は自分のアイデアを具象化できる格好の作品だったのではなかろうか。
 作画監督は#19『においがきえた』以降マークしている杉本道明氏で今回もクオリティ高し。


#26『にこにこぎんざのぼんおどり』(98/08/15)
演出・今沢哲男
作画監督・中田正彦

 にこにこ銀座の街灯たちの年に1度の盆踊りをぽぷりが手伝う、という筋立て。この手の「もの」を擬人化する趣向は普段の『ファンファン』とはちょっとノリが違う。パン酵母やカメラにも秘められた「気持ち」がある、という抑制された演出とは180℃違う方向性だが、ま、こういうのもありかな。


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