神奈川月記0006

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オペレイションxとは何か高額商品を買いたいとき踏ん切りを付け購入に至るまで意欲を鼓舞することを目的として宣言する"ToDo"である。「マイホーム作戦」の類である。だいたい10万円を越えるような,おれにとって初物にあたる製品に好んで付けられる。
オペレイションKはモータサイクル購入計画。最初のターゲットがカタナ(GSX250S)だったので「K」を用い,GSX400Sが「K2」,今回はカタナじゃないけど踏襲してオペレイションK3とするん。

さて前月に次期主力専踏機をVTR250と定めて安心し,んじゃまぁ5月連休中に買えたら買おうかなあとちょっと弛緩状態で居たら甘木くんがSEROW良いっすよーと言い出した。あっ何でそんなこと言うの。

帰省先で旧型SEROWを借りて遊んできたらしい。いたく気に入った様子で,250のVツインなんかすぐ飽きますよ・ホンダのVT(SPADAやVTRの系統)がころころモデルチェンジするのがその証拠などと理に落ちたことを言う。そ・そうなん。甘木は以前SPADAに乗っていたのだ。
おれがVTRを選択したのは消去法によるところが大きく,決定版がないが故の暫定キングに過ぎない。オンロードかオフロードかのカテゴリさえ何となく順番で決めたのだ。甘木のひと言でたちまち決心ジャイロが首振り運動を始めてしまった。

翌日バイク屋へ行って見ることに決め,おれはもうひと晩かんがえ直してみる。そうして甘木に付き合ってもらって出掛けるとき,おれのイメージ図は国道16号を疾駆するVTRからどことも知れぬ瓦礫の上をスタンディング_ポジションで徐行するSEROWに差し替わっていた。ははは。どういうわけか昔からSEROWを取り巻く風景というと,鬱蒼とした森でなく大地震で崩壊した都市が思い浮かぶのである。

バイク屋は250カタナから代えていない。顔馴染である。
VTRとSEROWと迷ったんですけどねーと前置きしつつSEROWの赤+ナックル_ガードで見積を作ってもらったところが,店長は在庫を確認してみますと変なコトを言う。たまたまこの販売店(本店)にはないから支店に当たってみるという意味かと思ったら,メイカ問い合わせらしいん。ん? SEROWですよ。生産中止が決まっているD-TRACKERANEHLOじゃないのよ。
SEROWは十数年支持されつづけている,呆れるほどのロング&ベスト_セラーである。在庫確認たって,あるに決まっている。でもまぁ確認してみると言うなら仕方がない,ヤマハの翌営業日を待って在庫を訊いてもらい,あればそのまま発注すると決まった。

それがなかったのである。
メイカ在庫になくて,その販売店のネットワークにもない。現行SEROWの新車はカラーリングの赤・緑ともども入手不可能なのだった。7月に排ガス規制対応のマイナチェンジ車が出るんで,現行仕様はとうに生産を停止しているそうな。今は流通在庫の放出期なのだ。うーん,ヤマハがそんな在庫調整をしていようとは。

これはもう諦めるしかない。ジツは近近マイナチェンジのあることは雑誌で見知って判っていた。その写真のカラーリング(赤/白モデル)が気に入らなくて,SEROWを買うなら現行のうちという腹積もりもあったのだ。
んー因みにD-TRACKERの青なんてのは残ってるんですか。電話で尋ねて見るに,青はつい最近はけて緑色のが残っているですと。がおう。カワサキ車で緑(ライム_グリーン)ではカワサキ車みたいで真におもしろくない。

結局のところOperation K3は延期っ。新型SEROWの予約はできるということだったが見ず買いするわけにも行かず,雑誌の試乗リポートを待ちたい。SEROWが第1候補であることに変わりはないけれど,もう1色あるという青/白モデルを見てから決めよう。

在庫ナシがこの店のグループ内だけの話であろうことは解るんだけどね,カタナのように万難を排して入手したい単車でなし,「縁のもの」の範疇であるよ。え・VTRにしないかって? いやー,延期したほうが都合の良いコトもあるし。


松下が不意を突いてDVD-RAMディスクのビデオデッキ(DMR-E10)を出してきた。DVD-RAMのビデオ録画規格が決まったのは確か去年の9月であるから非常に素早い製品化と言えよう。DVD-RWの好調さに危機感が募ったのかもしれない。

製品の内容は先行パイオニアのDVD-RWデッキ(DVR-1000)と同等である。シームレス再生はダメそうでi.LINKも付いていない。拙速という言葉が掠めるが,DVD-RAMはPC界に橋頭堡を固めつつあるからそっちでも再生/編集できるとなると俄然魅力的に映ってくる。

ビデオ編集好きとPC好きとは案外かぶらないものである。
ビデオ好きは放送局用の何百万円もするような機材を買い込んで悦に入っていたのだ。近年やっとPCがハード的に追い付いてきて,何百万が何十万で済むようになった。んじゃ使ってみっかと手を伸ばし始めたというところか。
ただしPCでもビデオ編集をやりたいと言う人は,まづ(主として)Windowsのイロハから覚えねばならない。おれのようにPCでビデオ編集もやりたいと言う手合いは,レンダリングて何?から始めねばならない。どっちから歩み寄るにせよまだちょっと障壁の高い感じは否めない。

PCでのビデオ(DV)編集はとにもかくにもHDD容量が問題だ。
DVフォーマットはPCで編集するときAVIファイルに変換されているのだが,DOS(Windows)ファイルの最大サイズたる2GBで録れるのは僅か9分半である。編集の終わった成果物を2時間テープにダビングすることを思えば──2時間に満たないテープを買うヒトはあるまい──それだけで25GBのHDDが要る勘定だ。編集するには元の動画と編集中の動画と編集済みの動画と別別に持っておかないといけないから,元の動画の3倍のHDD容量が必要とされている。編集が済んだら元のをすぐ消すとかこまめにやりくりするにしても50GBは欲しい。3時間テープの存在を考えると100GB欲しい。

2時間3時間いっぺんに録らなくてもテープのほうに足し録りしていけば良いじゃんと言うのは,テープの途中にブランクや頭欠けのできるのを嫌うおれ的に不可である。同じメイカのVCRどうしなら同期ダビングの道があって高精度な繋ぎ録りも不可能でないのだが,VCRとPCの仲はそこまで進んでいない。
DVDに遣われているMPEG2なら2GBで1時間くらい録れる。時間的すなわち圧縮率と転送速度は充分でも如何せんMPEGはフレイム(1/30秒)単位の編集ができない。DV(AVI)とMPEGの違いは──正しくはないんだけど──それぞれBMP画像の連続体とJPEG画像の連続体をイメイジすれば解りやすい。1フレイムの絵が差分情報(直前のフレイムと違っている所)で成り立っているMPEGは,1フレイムだけを取り出しても絵になっていないのである。圧縮率と操作性・画質がトレイド_オフになっていると言える。

さてビデオ編集のできるPCというとvaio-Rの名が挙がる。エプソンにもそれ用のシリーズがあってカノープスDV編集ボードを増設すれば今つかっているPCも編集機に化けるから,vaioが唯一無比の選択肢というわけではない。
ただエプソンのシステムはSCSIが主体であって,昨今のE-IDE HDDの革命的大容量化・低価格化の恩恵を受けにくい。またSCSIのメリットは転送速度であるがE-IDEも大容量化に伴って充分はやくなったから,そこはそんなに気にしなくて良い。RAID化で200GB・300GBを狙うなら話は別だが,お値段も200万・300万に跳ね上がってしまう。カノープスのカードの追加は,おれの(動画編集には)非力なPCにはそぐわない。とどのつまりはvaio-Rの新規購入が現実的なのだった。
NEC日立がテレビ録画できるだの何だの言って似て非なるものを出しているが正しく似て非なるものであって,おれのやりたいのはエアチェックでなく編集だ。単なるMPEG録画はVA用途の録再DVDデッキに任せるべきだろう。

ととと,その録再DVDデッキの話だった。
松下のDVD-RAMデッキはカタログ上とっても良いのであるがいちおう市場で評価されているDVD-RWデッキと違って実績がなく,逆に松下については売れなかったdccユーザを切り捨てた実績のほうが頭に残っている。同盟軍の日立が-RAMデッキを出すかどうか判らないはソニーが+RWデッキを出すんだか-RWデッキに加担するんだか判らないはで,DVD-RAM/-RW/+RWのビデオ規格戦争は未だ先行き不透明。経験則からして,おれの選択が今後の市場を左右するのだ。慎重の上にも慎重に決せねばならぬ。

んで先にvaio-Rを買うぞ。

2000年6月4日


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written by nii. n