写真道>機材活用
<前 次>

smc PENTAX-A 50mm F1.2の味

開放での柔らかさが魅力

 ペンタックスのsmc PENTAX-A 50mm F1.2は、AFでなくMFレンズです。当然ながら少し古いレンズですけど、まだ現行レンズのようで、新品が買えるみたいです。少しでも安く入手したい私は、中古の美品をそこそこ安く買いました。でも、積極的に使う方ですから、予想したとおり、すでに美品ではなくなってます。なかなか出会えなくて、仕方なく美品を買いました。美品なのに安かったもので。

 このレンズの一番の魅力は、開放での柔らかさです。被写界深度が浅くなって、ピント位置の周囲もぼけてしまいます。ぼけ方に変な癖がほとんどなく、綺麗にぼけてくれる点が嬉しいです。

 絞ることで、普通のレンズに変わります。F2.8まで絞ると、何の変哲もない標準レンズに変化します。逆に言うなら、普通にきっちりと撮りたいときは、F2.8以上に絞るということです。

 でも、F2.8以上に絞ってしまうと、このレンズを使う意味がありません。柔らかい写りを生かすなら、F1.2~F2の範囲で撮るのがベストです。もちろん、できるだけF1.2で、柔らかさに適した表現意図の写真を。

柔らかいマクロとして活躍中

 私の場合、このレンズの開放での柔らかさを生かし、マクロとして利用しています。マクロ領域だと、ぼけの量が増えることで被写体を整理しやすくなりますし、柔らかさを強調できますから。

 最短撮影距離は普通の標準レンズと同じですが、ヘリコイド接写リングKを付けると、かなりの接写が可能となります。それでも不足する際には、オート接写リングKセットを加えます。実際には、ヘリコイド接写リングKで足りることがほとんどです。

 このレンズは、絞りによって柔らかさが変わるので、狙う柔らかさで絞りの値を決めることが多いです。具体的には、次のように使い分けています。もちろん、間の絞り値も使いながら。

・F1.2:できるだけ柔らかく写したい
・F2.0:ほどほどの柔らかさで写したい
・F2.8以上:できるだけしっかりと写したい

 こうした使い方で難しいのは、被写界深度との関係です。開放F1.2は柔らかくて良いのですが、被写界深度を深くしたい用途には使えません。最終的には、柔らかさを優先するか、被写界深度を優先するかの選択となります。間を取って、仕方なくF2で写したりもしてます。

 マクロとして使う限り、絞っても被写界深度が極端に深くなるわけではありません。ぼけた部分が多く残りがちです。私の場合は、ぼけを多く残す写し方が好きなので、絞ってもF4までです。その範囲で経験した限り、二線ぼけになる状況は少ないと感じています。少なくとも、SMC TAKUMAR 50mm F1.4よりは二線ぼけが出にくいです。

 開放F1.2では、被写界深度が極端に浅くなり、狙った位置へのピント合わせが非常に困難です。マクロでは体を動かしてピント位置を調整しますが、なかなか難しいです。同じカットを10枚以上写して、ピント位置が一番良いのを選ぶしかないと思っています。デジタルだから可能な方法です。三脚を使う手もありますけど、手持ちの撮影が大好きなので、使ってはいません。たまに一脚は使いますが。手持ちの場合は、F2で写すことが多くなりつつあります。多くをF1.2で撮り、保険としてF2でも写しておく、という感じの使い方も含めて。

作例1:葉が描く星

 開放での柔らかさと、ぼけの大きさを利用して、細い葉っぱに星を描かせてみました。開放なので、葉っぱの先にピントを合わせるのが大変でした。何枚も写した中から、一番良い状態を選んでいます。正直、このレンズでなければ撮れない写真ではありませんね。

←クリックで拡大
(このページへ戻るには、ブラウザのボタンで)

作例2:ほんわか

 こちらも、開放での柔らかさを利用し、雰囲気を最優先した作品に仕上げてみました。この柔らかさが何とも言えず、いいですね~。

←クリックで拡大
(このページへ戻るには、ブラウザのボタンで)

(作成:2005年6月24日)
(更新:2005年7月11日:レンズ写真を追加)
<前 次>