阿武隈に霧立ちくもり明けぬとも君をばやらじ待てばすべなし(「古今集」) よとともに阿武隈川の遠ければ底なる影を見ぬぞわびしき(「後撰集」) 行末に阿武隈川のなかりせばいかにかせまし今日の別れを(高階経重「新古今集」) 秋の夜の月はのどかに宿るとも阿武隈川に心とまるな(藤原実清) 思ひかねつまどふ千鳥風さむみ阿武隈川の名をやたづぬる(定家) 君が代にあぶくま川の埋れ木も氷のしたに春を待ちけり(家隆) 今宵こそ阿武隈川のみをつくし朽ちぬる袖のほどもみゆらん(浄意) 阿武隈や五十四郡のおとし水(蕪村) 夏の靴しまひてをればげに遠く光にうねる阿武隈川は(河野愛子)
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