坂田部首麻呂 さかたべのおびとまろ 生没年未詳

駿河国の人。天平勝宝七歳(755)二月、防人として筑紫に派遣される。「首」は名の一部か姓(かばね)か不明。

 

真木柱(まけばしら)ほめて造れる殿のごといませ(はは)刀自(とじ)(おめ)変はりせず(万20-4342)

【通釈】立派な柱を寿(ことほ)いで造った御殿のように、いつまでも丈夫でいて下さい、母上。面やつれすることなく。

【語釈】◇真木柱(まけばしら) 杉檜などで作った立派な柱。「まけ」は「まき」の訛り。◇ほめて造れる 寿歌(ほぎうた)などを歌いながら家を建造したことを言うのであろう。◇殿のごと 御殿のように堅固に。◇面(おめ)変はりせず 面やつれすることなく。「おめ」は「おも」の訛り。

【補記】防人として出発する時の母への思い。達者でいてほしいとの願いを、立派な御殿に喩えて言う。調べも大きく強く、防人歌の中で出色の作。


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日