源計子 みなもとのけいし 生没年未詳 通称:広幡御息所

宇多源氏。広幡中納言源庶明の娘。村上天皇の女御となり、理子内親王・盛子内親王を生む。梨壺の五人による万葉集訓読は計子の発意によるという。勅撰集入集歌は拾遺集の二首のみ。

天暦御時、はるかに見ゆる月かげのとありける御返事に

月影に身をやかへましあはれてふ人の心にいりてみるべく(万代集)

【通釈】月の光に我が身を変えらないものか。「いとしい」と言ってくれた人の心の中に入って、その言葉が本当かどうか見えるように。

【語釈】◇天暦御時 村上天皇の御代。『万代集』の原文に「おなじ御時」とあるのを改めた。◇はるかに見ゆる月かげの 村上天皇の御製「逢ふことをはるかにみえし月影のおぼろげにやはあはれとは思ふ」を指す。

【補記】この歌は村上天皇の御集に広幡御息所の天皇に対する返歌として見えるが、新後拾遺集には誤って村上天皇御製として載せている。また玉葉集には更衣源訶子の作としている。

【本歌】「伊勢物語」第十五段
しのぶ山しのびて通ふ道もがな人の心のおくも見るべく

【参考歌】壬生忠岑「古今集」
月かげにわが身をかふる物ならばつれなき人もあはれとや見む


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日