藤原宿奈麻呂の妻。大伴安麻呂の妻石川内命婦、大津皇子の侍(まかたち)石川女郎などは別人。万葉集巻二十に一首。
大き海の水底深く思ひつつ裳引きならしし菅原の里(万20-4491)
右の一首は、藤原宿奈麻呂朝臣が妻石川女郎が、愛を薄くし離別せらえ、悲しび恨みて作る歌。年月未詳。
【通釈】大洋の海底のように深く心の底であなたのことを思いながら、裳の裾を何度も引いて行きつ戻りつした、菅原の里よ。
【語釈】◇裳引きならしし 男の訪れを待ち侘び、裳裾を引いて何度も家の前を行きつ戻りつしたことを言うか。「ならし」は「均らし」で、「平らにする」意。◇菅原の里 奈良市菅原町。女郎の家の所在地。
更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日