永陽門院少将 えいようもんいんのしょうしょう 生没年未詳

清和源氏か。叡山法印源全の娘。伏見院東宮時代に女房として仕え、のち後深草院皇女永陽門院(1272-1346)に仕える。続拾遺集初出(春宮少将)。勅撰入集は計七首。

冬歌の中に

しぐれつる空は雪げにさえなりてはげしくかはる四方の木枯し(玉葉871)

【通釈】時雨を降らせていた空は、雪模様になって冷え込み、激しく勢いを変えて四方八方から吹きつける木枯しよ。

忍恋の心を

われもつつみ君も忍びていはぬまのつもる月日ぞかこつかたなき(玉葉1282)

【通釈】私も世間を気兼ねし、あなたも我慢して、お互い消息を交わさない月日が積もってゆく――その間こそは、周囲の親しい人にさえ不満の洩らしようがなく、辛い。

【参考歌】京極為兼「玉葉集」
人もつつみ我もかさねてとひがたみたのめし夜ははただ更けぞ行く
  伏見院「御集」
人もつつみ我もしのぶる中なればうときをたれにかこつともなし

五十首歌の中に寄月恋を

あはれにもめぐりあふよの月かげを思ひいれずや人はみるらん(玉葉1478)

【通釈】あわれ深いことにも再びめぐり逢った月の光――恋人と逢った夜をしみじみと思い出させる月だけれど、あの人は何の思い入れもなく見ているだろうか。


最終更新日:平成14年12月13日