updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)

質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3320. 派遣労働者にも労災保険や通勤災害保障は適用されますか?
 労災に関する補償や通勤災害保障は派遣労働者もすべて受ける権利があります。
 現在、労災保険はすべての事業に全面適用されています。労働者であればすべての人が労災保険の適用を受けることができます。つまり、派遣労働者も常用労働者と変わりなく、業務上の傷病や死亡の際には労災保険のさまざまな有利な給付(療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭料、傷病補償年金などの給付と労働福祉事業としての各種特別支給金)を受けることができるのです。
 最近になってME化、機械化の進展の影響で腰痛、頚肩腕症候群、VDT障害、じん肺など、悪い環境のもとでの労働で障害が累積したり、疲労が蓄積して発病する職業病が加しています。こうした危険有害な作業に派遣労働者を導入してつかせることは、労働者派遣法の趣旨に反し、本来許されないことです。しかし、現実には使用者は、危険有害な作業、一時的に過密過重な作業、常用労働者にはつかせにくい作業に無権利な派遣労働者であれば容易に配置できると考える傾向があります。
 したがって、派遣労働者には労災や職業病にたいする補償が、常用労働者以上に重要な意味をもっているのです。
 労働者派遣法の施行にともない、労災保険の適用については、全面的に、派遣元事業主が労災保険の適用事業とされることになりました(労働省の通達による、基発第三八三号)。
 安全衛生については、主に派遣先事業主の責任となり、事前の予防措置と事後の災害補償の責任が派遣元と派遣先に分離されることには大きな問題がありますが、少なくとも派遣労働者への労災保険適用が明確になったことは重要です。
〔脇田滋・監修 民主法律協会編『派遣労働者110番の悩み』学習の友社、1987年、102頁−104頁〕

 労災保険の給付を受ける手続

 労災保険は政府(労働省)が管掌しています。書類提出などの実際の窓口は、使用者(派遣会社)ではなく、労働基準監督署ですので、注意して下さい。
 労働基準監督署は、労災保険の手続の身近な窓口で、全国に配置され、それぞれ一定の区域を担当しています。派遣会社を管轄する最寄りの労働基準監督署がどこか、確かめて、手続などについて問い合わせして下さい。

 なお、次のような新聞記事があり、労災保険が適用されないように派遣元が小細工する事例もありますので注意して下さい。
 「大阪府の看護婦(四七)は、旅行に付添看護婦として派遣され、事故にあった。派遣元は労災申請の書類の職種を「コンパニオン」と勝手に変え、事故の経過も大幅に書き換えて申請した。看護婦は『派遣』の対象ではなく、『業務請負』などの形で募集されることが多い。『派遣元が違法派遣として追及されることを恐れてうそを書いた可能性が高い』(派遣ネットワーク)」(朝日新聞1996.8.30より)

 派遣元の違法なやり方があるとき、または、労災だと思うのに、保険の給付を受けられないとか、受けにくいと思われるときには、労働基準監督署に相談されるように勧めます。また、この派遣110番にメールをいただけば、解決方法についてアドバイスさせていただきます。

【関連ページ・リンク先】
 次のページも参考になりますので見て下さい。
 3321.派遣先への通勤の途中、交通事故にあってしまったのですが、派遣社員でも通勤災害保障は適用されますか?
 3322.オペレータが腱鞘炎といった、キーボードの使いすぎなどで労災保険を受けることは難しいのでしょうか。
 3328.労災保険を受ける手続はどのようなものですか
 3340.労働災害の損害賠償は請求できますか
 なお、「労務安全情報センター」のHPに通勤災害制度の説明については、通勤災害について労災保険の受給手続きについては、、労働省労働保険徴収課編「労働保険の手引(平成8年度版)」をベースにした説明がありますので、これを参照して下さい。


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