スコールグループとは

 イギリスにスコールグループと名乗る四人がいる。彼らは1992年から1998年まで、いわゆる物理心霊現象を起こしてきたという。物理心霊現象。この言葉から皆さんはどのような状況を想像するだろう。エクトプラズムが霊媒の口から出てきて人の形になる。その姿を捕まえてみたら霊媒の妹で、エクトプラズムの正体はガーゼのような粗い綿布だった。ついついこんな想像をしがちだ。だが、このスコールグループ、たくさんの科学者と研究者を随時招待して、彼らの目の前で物理心霊現象を再現し続けたそうだ。本当なのだろうか。ステージで行なわれるイリュージョンとどう違ったのか。まずはこのグループがどのように形成されたか、から見ていこう。

 1991年8月、フォイ一家はイギリスのノーフォークにある小さなスコール村に移り住んだ。四人の子供を持つロビンとサンドラ夫妻がこの片田舎に引っ越すことに決めた最大の理由は、広くて素晴らしい地下室があったからだ。いったいその地下室で何をやるのだろう。彼らはその理由をこう説明している。

 二人は25年間近く、物理心霊現象を追い続けてきた。数々の交霊会に出席し、異様なものを見聞きし、突然漂ってくる芳香を味わい、実体化した霊に触れたり、と信じられない体験を繰り返してきた彼らは、何人かの霊媒は明らかに偽者だったが、中には本物がいるのではないかと思い始めた。そして自分たちでも実験(交霊会)をやり始めたのだ。となると暗闇が必要になる。なんでも物理心霊現象なるものは灯りを嫌うらしい。ここで「真っ暗にしたらトリックなどやりほうだいではないか。そんなところで起きた現象など何の意味があるのだ」という風には、彼らは考えないようだ。しかも簡単に真っ暗闇が得られる地下室を求めて引越しをするとは。

 この地下室で他に四人のメンバーを加え、怪しい集会が2週間に一度行なわれるようになった。もちろん現象など起こるはずも無く、1992年8月に到るまで一年間、メンバーは退屈な週末を過ごし続ける。そこに、夫妻が信頼している霊媒が「今のメンバーたちが持つエナジーの組み合わせは良くない」との霊信を受け取ったと告げてきた。フォイ夫妻が、グループを再編成しなければならないとメンバーに伝えたとき、全員が、ちょうどやめようと思っていたと告白したそうだ。結局二人だけになってしまった夫妻は、そんなことにはめげず、実験の間隔を毎週に増やし、暗くて寒い地下室の中で更に熱心に実験を続け始めた。

 1992年9月、ミミという女性を新しいメンバーに加えた実験が行なわれたとき、初めて宙空で異様な音が鳴るという現象が起きた。これが、ミミが仕掛けたトリックではなかった証拠に、その後、実験と関係の無いときでも家のあちこちでラップ音と呼ばれる、何かを叩くような音が聞かれるようになる。ラップ音は壁、天井、電球、ベッドの天板などから聞こえ、フォイ家はあっという間にお化け屋敷になってしまった。ところがロビンは楽観主義者らしく、この状況を、明らかな物理心霊現象の実現に必要なサイキックエナジーが集まってきている、と考えていた。

 次にケンとバーネッテを加えたグループは更に実験を続けたが、ラップ音以上の事は何も起こらない。だが、アランとダイアナ・ベネット夫妻が加わったとき、状況は一変した。この夫妻は元々、電気が突然ついたり消えたりし、電球が飛んで来たり、といった異常な経験を何度もしている人たちだったのだ。結局このベネット夫妻とフォイ夫妻が、最後までスコールグループに残ることになる。1993年4月に行なわれた実験で、伝統的な交霊会で用いられるメガホン(霊がそれを持ち上げて話すとされている)が、誰も手を触れていないのに床に落ちた。翌週は、異常な寒気が部屋を包み、再びメガホンが一人のひざの上に落ちてきた。それから夏にかけて、スピリットライトと呼ばれる正体不明の光が、毎週輝きを増しながら飛び回るようになる。さあ、だんだんと「あなたの信じられない世界」になってきた。メガホンは誰でも簡単に落とせるが発光体が飛び回るとは。新種の蛍が部屋の中で繁殖し始めたのか。とりあえず先を続けよう。
後期のビデオ実験で撮影されたというスピリットライト

 初期の実験では、サンドラとロビンがトランス状態になり、実に多数の人格による言葉を伝えていた。しかし特にサンドラは、トランス状態になることにしばしば困難を感じ、この役を務めつづけることを不安に思っていたそうだ。その人格たちはサンドラの不安を解消するために、アランにトランス状態に入れるよう練習をさせ始めた。何度かの練習の後、深いレベルのトランス状態になることができるようになったアランから、驚いたことにフォイ夫妻に現れていたのと同じ人格たちが現れ始めたのだ。多重人格は人に移るのだろうか。それともフォイ夫妻のトランスは嘘で、彼を催眠術にかけたのであろうか。さらに人格たちはダイアナもトランス状態に入れるように指導し、彼女からも現れ始めたのだ。このフォイ夫妻からベネット夫妻へと移っていった人格たちを、スコールグループはスピリットチームと呼んでいる。スピリットチームはアランとダイアナの口を借りて、次の事柄を伝えてきた;

「我々は、従来のエクトプラズムを用いない、新しい方式で現象を起こそうとしている。それは、我々の霊的エナジー、スコールグループの人的エナジー、大地のエナジー、この三つをブレンドして使うというものだ。この新方式は、従来のものより安全な上、今までよりもより短期間で、よりすごい現象を起こすことができる。我々はこの新方式をかなり前から試みていたのだが、うまく現象を起こすことができないでいた。しかし、最近になって地球にある種のエナジーが来るようになり、機は熟した。君たちはこの新方式の偉大なるパイオニアとなろう。」

スコールグループが実験を行った家

従来の交霊会風景
霊媒パラディーノによるテーブル浮揚


玄関に戻る心霊研究トップページスコールグループ