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おしながき鯖の道十五少年鯖街道行脚譚

 鯖の道

鯖の道コラム〜十五少年鯖街道行脚譚

焼き鯖

今から紹介する文章は2001年の8月に行われた「鯖街道キャンプウォーク」に参加した後に書いた感想文です。 鯖の道を追いかけている時に、ひょんな事から鯖街道歴史研究会の人たちと知り合い、いつの間にかボランティアスタッフとして撮影係をすることになった時の文章です。開催後に参加者に配布される文集に収録されました。
どちらかというと参加した子供たちに向けて書いたもので、かなり赤面ものの内容になってますが、惜しげもなく公開しちゃいます。 このキャンプウォークに参加したおかげで、子供たちに元気をもらったのはいうまでもありません。

■十五少年鯖街道行脚譚(じゅうごしょうねんさばかいどうあんぎゃたん)               〜十五人の少年少女達にささぐ・・・なんちって

やあ、鯖街道キャンプウォークに参加したみんな!元気?僕のこと覚えていてくれてる?みんなが歩いている時に写 真を撮っていたカメラのおにいさんやで〜。(だれだ!おっさんやなんていってるヤツあ〜) みんながこの鯖街道キャンプウォークに参加する前って、どんな気持ちやったかな?ドキドキやった?ワクワクした?イヤやった?僕の場合はやね、実は「ドキドキ」と「ワクワク」やった。

こんな気持ちになったのは中学校の時以来や。悪友たちといっしょに京都の保津峡の無人駅で野宿した時の事を思い出してた。また、夏休みの読書の宿題の時に読んだ「トムソーヤの冒険」とか「十五少年漂流記」とかも思い出してた。最近だったら、去年の今頃見た映画「ジュブナイル(Juvenile)」を思い出してた。この映画はユースケ少年と未来からやってきたテトラというロボットの交流を描いたSF映画。形こそちがうけど、夏休みでしか体験できないような「ドキドキ」と「ワクワク」の大冒険。僕にとっても鯖街道を歩くというのは久々の「大冒険」やった。そして、直前まで君たちと一緒に歩くなんて実感がなかったのも正直なところ。そして、一つだけだったけど、不安もあった。それは「みんなと仲良くできるかな?」と言うことやった。

僕は一応働いているし、君たちと同じぐらいの年代の子供たちと一緒に何かするなんて経験がなかった。だから、最初みんなと顔を合わせた時、どうしたらいいのか正直解らなかったんや。でも、カメラ持ってうろうろしているうちに、みんないつの間にかカメラに向けてピースやポーズしてくれたり(ピースして邪魔しとるやつもおったけど(苦笑))、話しかけてくれるようになってくれてうれしかったで。いつの間にか「カメラさん」と呼ばれるようになっていて、それが別 に変に感じひんかった。

本当は鯖街道の写真が撮りたくて、いつかは鯖街道の写真集出すんやって夢を持ってて、そんな理由でスタッフとして参加した。いわば、みんなに便乗して、ひこひこついて行ったという感じかな?いつもは写 真撮る時は一人だったから寂しかった。といっても、「一匹狼や〜!かっこええ!」とかいう思いもあったけどね。でも、今回みんなと歩いて、みんなの足がいたくてしんどい気持ちがビンビンに伝わってきて、僕も足がいたくて「あ、みんなもおんなじや」という気持ちになれて、ものすごくうれしかった。全然寂しなかったしね。みんなと同じ苦しみ、楽しみを肌で感じられたのがよかった。

それから、驚いた。「みんな、けっこうやるやん!」って思った。一日目に足の痛みで断念して悔しがってた女の子が、次の日はテーピングして頑張って歩いていた。みんな疲れているにも関わらず、じゃんけんでかばん持ちをしていた野郎ども。針畑地域で時間が足りなくて、途中で強制乗車させられて悔しがっていたみんな。いかにも「おすまし」といった女の子が実は「おキャン」で冒険が大好きで、今回もおもしろそうだからと、このウォークに参加した・・・って聞いて目を丸くした。みんな、あのきつい根来坂をよく歩いたね。「最近の子供たちは無気力で・・・」と世間の人たちは言うけど、あれはウソやね。

更に驚いたのが、みんなでゴール近くのマーメイドテラスで記念写 真を撮った時。みんなのとびっきりの笑顔を見て、実は全身鳥肌が立ちながらカメラのファインダーをのぞいてた。悲しきかな、その写 真が一番良い写真だったことは言うまでもあらへん。 1年半鯖街道をカメラ持って追いかけてきたけど、あまりにも寂しくて辛くて、途中で止めようと諦めかけたこともあった。でも、そのみんなの笑顔を見て、背中を押されたような気がする。だって、こんな暑い中みんな頑張って鯖街道を歩いてきたやん。為せば成る!やってやれない事はない!そうやろ?

そして、もう一つみんなに言いたいことがあるねん。それは、君たちが歩いたこの鯖街道キャンプウォークの経験がきっと必ずこれからの人生の中でピンチになった時に役に立ってくれるって事。君たちが僕たちと同じぐらいの年齢、つまり大人になった時、苦しい時や困った時に、ふつふつとその時の「ドキドキ」や「ワクワク」の気持ちが現われてきて、「勇気」という最強のアイテムとなって助けてくれる。これは間違いない。だって、今の僕がそうやからね。あの時感じた「少年期」のあの「ドキドキ」や「ワクワク」が鯖街道を歩いたことでよみがえってきて、くすぶってしまって消えなくなってしまった。今は解らなくても、いつかきっと実感する時が来る。約束するで。絶対や。

最後に僕をこんな気持ちにさせてくれた鯖街道ととびっきりの笑顔で僕に勇気をくれたみんな、そして、ウォークを支えてくれたスタッフのみなさんや協力者のみなさんにお礼をいいたい。本当にありがとう。おおきに。そして、僕はここに宣言する。近いうちに絶対鯖街道の写 真集と写真展を実現させる。その時がきたらみんなに案内するからね。 じゃあ、また、いつかあおうね。では、あでぃおす!!

※注:「ジュブナイル(Juvenile)」 2000年7月公開の映画。東宝配給、フジテレビジョン、メディアファクトリー 小学館他制作。SMAPの香取慎吾主演。「ジュブナイル」とは英語で「少年期の」 という意味。

(2003.6.29掲載 原文「2001鯖街道キャンプウォーク文集より)


 

こさっく茶房/コサック藤澤
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