「あら、みんな、一体どうしたの?こんな所で…?やだ、もう夕方じゃない。ねぇ、どうしたの?」
「ル、ルルー様ぁ!オレ、オレ…もう、どうなることかと思いました!」
「よかった、本当によかったね、ルルー!」
「ぐっ、ぐっ、ぐぐぐー!」
「ちょ、ちょっと何よミノ…やだ、アルルまで、何抱き付いてくんのよっ!」
「シェゾさん?あなたは次に何すべきか分かってますわよね?」
「ああ、あのマシンの破壊だ!」
「待てシェゾ、話がある!」
「サタン様〜、すみませんが〜♪」「ここから先は、通せないよっ!」「ふぃーっしゅ!」
「あ、サタン様っ?!いらしてたんですね?!」
「おおルルー、待て、今私はこの苦難に打ち勝ち必ずやお前を…」
「いいか、ハーピー、パノッティ、すけとうだら!必死でそのおっさん止めとけよ!」
「待て、落ち着いて話し合おう諸君!」
「は〜ら〜ほ〜ろ〜ひ〜れ〜は〜れ〜♪」
「きゃああああああっ!ハーピー!ボクまで頭痛くなってきちゃったよう!」
「ごめんなさい〜♪」
「うっくっ…何を、これくらいのことで私が挫けるか!これも愛の試練だ!」
「何が愛の試練ッスか!」
「な、ミノタウロス!何故お前まで!」
「うらうらうらうらっ!俺の踊りを邪魔するなー!」
「ぼくの笛の音で踊れーっ!回れー!」
ちゅどどどぉぉぉんっっっ…!
寮の方から、爆音。
「よっしゃ、シェゾとウィッチの奴があの忌々しい機械をぶっ壊したんだなっ!」
「あああ、なんともったいないことを〜!こうなったらシェゾの奴を半殺しに…!」
「それってただの八つ当たりでしょ、サタン!」
「サタン様ぁ〜、落ち着いて〜♪」
「何なのよ、一体…」
幼児化した時の記憶がないルルーは、乱闘騒ぎからこっそりと抜けて、遠巻きに彼らのやりとりを見つめていた。
「サタン様も、せっかくいらしたのに…あら?」
ルルーは自分の足元に、小さな包みが落ちていた。
疎外感のイライラも手伝って、ルルーはためらいなく包みを開いた。
中から、紫の薔薇の彫刻が乗せられたバレッタが出てきた。
『Happy birthday,Rulue.
趣味に合わなかったら突き返しても構わんぞ。
Satan』
メッセージカードを読んで、ルルーは幸せそうに、頬を紅く染めた。
「ま…いっか。先に寮に戻ってるわよー、アルルー?」
すっかり機嫌が直ってしまったルルーは、まだ続く不毛な乱闘に叫びかけると、一人軽やかな足取りで、寮へと戻っていってしまった…。