- 土庄(とのしょう)町の市街地でバスを下車し、住宅地の細い道を登って行った。行く手の皇踏山の写真を撮っていると、自転車を押す女性が声をかけてきた。「坂がどんどん急になり大変だよ」と教えてくれた。「登ったことが有るんですか」と聞くと、「この先の団地に住んでいるからね」との話だった。
- 砂防ダムのところが車道終点だった。山道に入ると落ち葉が多く積もっていた。周囲の木々は少し黄葉していた。標識はよく整備されていた。砂防ダムを二つほど右に見て登って行くと、次第に坂が急になってきた。
- やがて岩場の登りになった。時々見晴らしが良くなった。最後の岩場を登ると山頂台地の一角に有る「見晴らし台」に着いた。ベンチが有った。真下には土庄町の中心部を見る眺めの良い場所だった。
- 「皇踏山大権現」と書かれた石の立つ神社の横を通り、分岐を左に入って照葉樹の森をゆるく登ると、山頂に着いた。西方の眺めが良かった。少し西風が冷たかったので、「見晴らし台」の方に戻って休憩した。
- 「皇踏山大権現」先の分岐を今度は右に入って稜線の平坦な道を進んだ。しばらく進むと「湿原100m」の標識が有ったので寄り道してみた。少しぬかるんだ道を進むと、樹林に囲まれた直径20mほどの小さな湿原が有った。
- 分岐に戻り、更に稜線を進んでいった。やがて登りになり展望広場に着いた。眺めが良く星ヶ城山が見えた。展望広場を下り、更に緩い上り下りを繰り返しながら進んでいった。周囲はウバメガシの森だった。途中には松茸岩が有った。小鞍部で小豆島八十八ヶ所霊場の遍路道に合流した。石仏が多くなった。稜線を離れるところに「清めの不動堂」が有ったので一休みした。
- 稜線を離れ笠ヶ瀧(かさがたき)寺への岩場の斜面を下る道になった。石仏が次々と現れた。下りが一段落し、鐘楼の横を通ると笠ヶ瀧寺の休憩所に着いた。「ここは登山道や遊びの場ではないので静かにお通りください」との趣旨の表示が有った。休憩所の先で笠ヶ瀧寺の参道に出た。ちょうど参道の中間点で、上の本堂へも下の山門へも、むき出しの岩の急坂が続いていた。鎖の手すりにつかまりながら岩の急坂を山門へ下った。
- 笠ヶ瀧寺から先は車道歩きになった。横の使われていない畑には山羊が放たれ草を食べていた。道脇に無人販売所が有り、蜜柑1ネット100円を購入した。道が平坦になると休耕田にコスモスが植えられていた。きれいなコスモスの花越しに笠ヶ瀧寺が見えた。
- 帰りは宿の近くまでバスで戻った。バスを下りた後、まだ時間があったので近くのオリーブショップに寄ってみた。小豆島産のオリーブオイルやオリーブの自然化粧品を見ていると、若い店主が我々のザック姿を見て「どこか登ってきたんですか」と話しかけてきた。「皇踏山に登ったんです」と答えると、「皇踏山は自分の家のすぐそばなんですよ」とうれしそうに教えてくれた。
- この日は変化の有る山登りで思いの外楽しめた。山中では人には会わなかった。