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■ピッチの残像 「つり糸の緩急が勝敗を分ける」
何事もペース配分というものがある。 大会前、ブラジルを優勝候補にしたのは、予選の出来があまりにも惨憺たる結果だったからだ。 その日、新聞に掲載されたコメントは、私の優勝候補には十分な根拠となった。 問題はペース配分である。1か月もの長丁場で決勝にピークを合わせるのは、至難の業だ。となれば、ある程度まではつり糸を緩め、ウキを泳がせなくてはならない。 アルゼンチンは糸が張りすぎていると思い、フランスは緩みっぱなしだと感じた。スポーツでは、つり糸の緩急が勝敗を分ける。それが、一流と超一流を分けるのだと考えるとき、19日解散した日本代表が張り詰めたまま戦い抜いた1か月に敬意を払いたい。もちろん、8強に残っている韓国にも。そうして明日からの8強戦で、つり糸が、そろそろピンと張られるのだ。水面下をうごめく、「大魚」の影を巡って。 (東京中日スポーツ・2002.6.20より再録) |
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