CAR検はいかにあるべきか

 「車は機械」だと思っている私なんぞからすると、車と映画の関係の問いはナンセンスな問題の最たるものである。一方で、「車は文学」だと思っている人間からは、車のメンテなんぞはディーラーに任せておけば済む話なので、彼らにとってメカに関する問題は車を語る上で何ら本質的ではない。
 さてどうするか。実は、双方のニーズを満たし、さらに二玄社ももっと露骨にカネ儲けができる妙案があるのだ。それは、試験のジャンルを細分化することである。
 例えば今回の試験では、車のメカニズムも歴史も映画も(笑)一緒に出題されたが、これを「自動車文化検定(メカニズム)」、「自動車文化検定(歴史)」、「自動車文化検定(モータースポーツ)」、「自動車文化検定(文学)」と分けるのである。これらのジャンルを1〜3級までに設定すると、単純に考えて現状の4倍カネが儲かる上に、「車は機械派」と「車は文学派」の双方から出されるクレームは少なくなるメリットも出てくる。



 最後になったが、日本に数多ある他の検定と「CAR検」を比較すると、「CAR検」にはもっともっと頑張ってもらいたいと願わざるを得ない状況が見えてくる。例えばアニメ検定というものがあるが、この検定は経済産業省が後援なのだ。確かに日本の三大文明はマンガとアニメとゲームであることからして、お上がバックに付くのも分かる。しかし、自動車産業は法治国家日本の基幹産業であり、全就業人口の7.8%、全製造業出荷額の16.5%を占める極めて重要な位置づけにある(自工会調べ)。他国に目を転じても、自動車産業とはまさに先進国の象徴なのである。こう考えると日本にとって極めて重要な検定のはずなのだが、「CAR検」には、お上がバックについていない。別にお上である必要はないにせよ、今よりデカイ組織をバックにつかせて権威なり威厳を持たせないと体面上の価値が見えてこない。せめて自工会か自技会が後援になっていればと思うが・・・・と話を持ちかけても今の体勢のままでは「当会には何のメリットもないので検討に値しない」と秒殺されるのも見え見えだ。
 また設問内容にも問題がある。知識を問うだけの単純な問題であり、熟考が必要な練られた問題となっていない。アニメ検定1級は「アニメ業界についてあらゆる角度から考察を加え、自らの論を展開できる方に向けた等級」と定義されている。いったいどういう基準でどう採点するのか疑問も残るのだが、「自らの論を展開できる方に向けた等級」という点に、「CAR検」とは異なる次元というか自覚というか志の高さが感じられる。いやしくも自ら「自動車文化」という言葉を使っているのだ。「自動車物知りクイズ」的な知識テストではなく「自らの論を展開できるレベル」、「熟考する必要のあるレベル」の試験があってはじめて「文化」を「検定」する域に達し、「認定証」に実質的な価値も出てくるというものだろう。従って1級とか「特級(←できるかどうか知らないけど)」では小論文形式の設問も必要なのではないか。こういう本格的な設問があるのならば次回受けてみたい。


 第二回の「CAR検」は08年6月に行われる予定である。私的にはお勧めできないが、興味のある人は受けてみてはどうだろう。想定問題がはずれ、公式テキストに記載されている内容さえほとんど出題されていない今、経験者として言えるとすればNAVIとCGを読みあさることがせめてもの対応策ではないだろうか。

 車の知識を暗記し正誤を問うことが自動車文化ではない。得られた知識を相互に還元しあって活用し、車を通じて有形無形の財産を作り上げることが自動車文化である、と付記して本レポートを締めくくりたい。