シート

 AZ−1のシートはバケットシートとなっている。もちろんリクライニングなどはしない。特別仕様車を除いて、標準でバケットシートがつくような車はAZ−1くらいのものである。このシートは、カタログスペックによると0.8Gの横向きの加速度を受けても安定してホールドするとのこと。座り心地は悪くはない。
 このシートの特徴的な点は、シートの座布団部分が取り外し自由という点である。これによって、あんこを抜きやすい構造となっており、高さ方向の調節が可能となっている。また助手席側のシートはボルトによってシャシーに直付けされており、前後へのスライドさえしない(運転席側はスライドする)。


足下

 先ほども述べたが、AZ−1の室内は非常に狭い。また助手席のことはあまり考えられていない。これは足下をみれば一目瞭然である。
 右側の写真は運転席側の足下を撮影したものである。その広さ自体はそこそこ確保されているのだが、普通の車ならばアクセルペダルがくる位置にタイヤハウスあるため、ペダル類は中央側に極端にオフセットしている。一番左側のペダルは単なるフットレストなのだが、この位置はエアコンユニットの後ろに来ているほどだ。なお、ペダル類のオフセットにあわせて、シートも中央向きにオフセットされているので、ペダルの位置感覚については極端な違和感はない。
 一方、運転席側の足下の広さを確保するために割を食ったのが助手席である(写真左)。助手席側のスペースは運転席の半分程度で、両足を真っ直ぐに伸ばすことができない。左側はタイヤハウス、右側は運転席側のスペース確保のため、これだけしかスペースがないのだ。

 普通、「スポーツカー」もしくは「スポーティーカー」と謳っている車の定員は一部を除いて4〜5名である。しかもその後席は非常に狭いため「ついているだけ」、「緊急の場合なんとか座れるスペースを確保しただけ」というものが大半となっている。しかし今まで見てきた通り、AZ−1の場合は後席がないどころか助手席さえ「ついているだけ」という扱いなのだ。例えば一人しか乗らないにもかかわらず、2シーターとすることがレギュレーションで決まっているようなレーシングカーの場合、その助手席を見るとほとんどシートとは呼べないような代物がついているが、AZ−1の場合はそれを少しまともにした程度ということである。従って、この点からすると、AZ−1はスポーツカーというよりもレーシングカーに近い存在であるといえる。