3章 分割数(partition number)


自然数を1以上の自然数の和で表すことを考える。ただし、順序は問わない。
例えば、n=5について、

より、5の分割数は7となる。


自然数nの分割数を p(n) で表す。
また、上のように、自然数nをr個に分けた時の分け方の個数を、p(n,r) で表す。

上より明らかに、

p(n) =r
Σ
i=1
p(n,i)

である。

p(n,r) には、以下の関係式が成り立つ。

これらの関係式より、任意のnについて p(n) を計算することができる。


この関係式をExcelの計算式で表してみる。
オプション指定で参照形式をA1ではなくR1C1にしておく(前頁もその方がよかった)。

 1234567
1p(n,r)n, r12345
2=SUM(RC[2]:RC[7])11    
3=SUM(RC[2]:RC[7])211   
4=SUM(RC[2]:RC[7])31=R[-2]C+R[-1]C[-1]1  
5=SUM(RC[2]:RC[7])41=R[-2]C+R[-1]C[-1]=R[-3]C+R[-1]C[-1]1 
6=SUM(RC[2]:RC[7])51=R[-2]C+R[-1]C[-1]=R[-3]C+R[-1]C[-1]=R[-4]C+R[-1]C[-1]1

1行目、R1C3から、rの値を順に書き込んでいく。
3列目、R2C2から、nの値を順に書き込んでいく。

まず、1番目の条件より、3列目には1を入れる。
また、2番目の条件より、n=rのところ、すなわち、R3C4、R4C5、R5C6、……、に1を入れる。
1列目には、p(n,r) の和を計算するため、計算式 =SUM(RC[2]:RC[7]) を定義しておく。
和の2項目はもっと大きな値、例えば =SUM(RC[2]:RC[100]) ぐらいにしておいてもよい。
どこまで計算したいか、による。

肝心の漸化式については、

とする。


p(20) まで計算した結果は以下のとおり。

 12345678910111213141516171819202122
1p(n,r)n,r1234567891011121314151617181920
2111                   
32211                  
433111                 
5541211                
67512211               
7116133211              
81571343211             
922814553211            
10309147653211           
1142101589753211          
12561115101110753211         
1377121612151311753211        
1410113161418181411753211       
151351417162323201511753211      
16176151719273026211511753211     
1723116182134373528221511753211    
182971718243947443829221511753211   
19385181927475758494030221511753211  
2049019193054707165524130221511753211 
2162720110336484908270544230221511753211

さて、この1列目を眺めて、何か関係式を見つけることができるか?


試しに mod(m)を計算してみる。
計算式は、以下のとおり。

 1234567
1p(n,r)n, m12345
211=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)
322=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)
433=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)
554=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)
675=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)=MOD(RC1,R1C)

1列目、2列目は、p(n) を計算した時の表から、「編集」の「形式を選択して貼り付け」で
「値」を貼り付ける。
R2C3に計算式 =MOD(RC1,R1C) を代入して、全領域にコピーする。

mod 11 まで計算すると、以下のようになった。

 123456789101112
1p(n,r)n, m234567891011
2111111111111
3220222222222
4331033333333
5541210555555
6751132107777
71161231543210
81571030317654
92280122416420
103090020026308
1142100022002629
1256110201200261
1377121212505570
14101131211535212
15135141030327053
16176150201210560
17231161031307610
18297171012331070
19385181110101750
20490190120402406
21627201032343670

さて、この表を眺めて、あなたは、

という関係式を見つけることができるか。

かつて、それを見つけた数学者がいた。
インドの天才数学者、シュリーニヴァーサ・ラマヌジャン
(Srinivasa Ramanujan : 1887〜1920)
である。


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三島 久典