作者のミルンは、普通の大人と違って、子どもと同じようにおもちゃと話のできる大人だった。息子ロビンの親になったミルンはプーと共に遠い自分の幼年時代に帰ることを楽しんだ。そしてそれは多くの大人たちがもっている密かな願いだった。それだけではない。世人が思うほど感傷的な幼年時代の賛美者ではなかったミルンは、登場人物の言葉や行動のなかに、大人の自分の人生観や思想をさりげなくこめた。それらはときにかなり皮肉なものである。だがそのために、プーの物語は子どもだけでなく、大人もその愛読者とすることに成功しているのだ。