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 三日目はA沢源流を詰めながらキノコ狩りを楽しみ、稜線登山道へ。人の気配がなくなった滝上に出ると、ご覧のとおり、やっとキノコの造形美に出会えた。眺めて良し、撮って良し、さらに採って良し・・・言うことなしだ。こういう場所に出くわせば、あっと言う間に買い物袋一杯になる。
 A沢源流は、鮮やかなブナの黄葉に包まれ、渓に点在する苔生す岩には、大量の落ち葉が点在、その間を清冽な流れが落走する素晴らしい沢だった。時々、走る岩魚の姿にドキッとしたり、風倒木を見つけてはキノコの美を撮影・・・楽しいことこの上なかった。
 ブナの倒木が沢に突き刺さるように斜面に倒れていた。ふと見上げると、芽を出したばかりのナメコの幼菌が目に止まった。暗く撮影には最悪だったが、斜面がきつく三脚を出すのが面倒だった。何度もシャッターを押した中の数枚が、上の写真だ。苔生したブナの表面を見たらお分かりだろうが、ナメコはこうした湿り気の多い倒木に生える。栽培用だとこんな小粒ほど重宝されるが、天然物は開いた大きなナメコほど重宝される。
 黄色く色付き始めたブナの黄葉。風が吹くと落ち葉が沢へ落ちていった。
 大量に降り積もった落ち葉に囲まれた水面は、ブナの黄葉が映え美しい。何と、こんな水溜りにも岩魚がいたのには驚かされた。近づく私に気付いた岩魚は右往左往した後、岩に頭を隠した。深まり行く晩秋のはかなさを誘う光景だ。
 奥にキノコを採取した袋を左手に持った中村会長の姿が見える。ひたすら倒木や枯れた立木を探し、四方八方を眺めながら沢を上る。
 渓全体が黄色と赤に色付いたようなA沢。まだまだキノコ採りの人たちが入った痕跡が多く、残り物を採取しているようなものだった。急ぎ足で渓を上る。
 A沢源流部に懸かる滝。一帯は黄葉も真っ盛り。この滝上より上流は、キノコ採りの人たちの痕跡もやっと消える。すると俄然キノコの山が見え出した。
 ムキタケ・・・ツキヨタケに似ているが、二つに割ると黒斑はなく、表皮は剥がれやすいので簡単に見分けられる。多少水っぽくヌメリがあるため、天ぷらやフライには向かない。鶏鍋やすき焼き、シチュー、グラタンなど。
 もったいない。倒木一面に生えたサワモダシが全て腐っていた。もう一週間早ければ、小躍りしていただろう。これでは「食べてください」ではなく「残念でした」と言っているように見えた。
 キノコの撮影には、三脚が必携だが、背中から取り出し撮影するのが面倒で、三脚なしで撮影した。それがために満足する写真は撮れなかった。キノコ狩りも岩魚釣りと同様、両立は難しいことを痛感した。サワモダシは旬を過ぎていたとはいえ、買い物袋一杯に採れた。すぐに食べ切れる量ではないので、湯がいて塩蔵してみた。。料理する時は、塩を抜けばいいだけだ。
 錦秋の沢をゆく長谷川副会長。背中に採取したキノコが一杯詰まっている。さすがです。私なんか足元にも及びません。
 枯れたブナの立木に連なるブナハリタケ。一つ一つ丁寧にカッターナイフで切り取り採取。
 何とか美味しそうなナメコをやっと見つける。ナメコの旬は、もう一週間後だろう。ナメコ料理は、味噌汁、おろし和え、醤油を使ったおろし煮、ぬめりたっぷりの佃煮、千切りのとろろとのつけ合わせなど。
 写真は横だが、本来は縦に生えたサワモダシ。枯れた巨木の根元に生えていた。
 左の写真が魚止めの滝。ここまで岩魚の魚影を確認できた。この滝上は一気に沢が細くなり、やがて稜線の登山道に達した。
 森吉山から下ってきた夫婦と水場でしばしキノコ談義。  登山道周辺は燃えるような黄葉真っ盛。
 登山道沿いのブナの黄葉
 黄色から次第に枯れると真っ赤に燃えるような色彩を放つブナ。風が吹けば、音を立てて一斉に落葉するに違いない。
 黄色と紅の競演。
 割沢森(1001m)のピークは、ブナの巨木に覆われていた。この左手からノロ川牧場が一望できる。
 ここが黒石林道分岐点。上りは高場森・割沢森分岐点、下りは桃洞滝へ至るルートだ。我々は林道を下り車止めに向かった。
 桃洞渓谷は別格だが、それ以外の沢や稜線はブナの純度が意外に高く、白神山地に迷い込んできたかのような錯覚を覚えた。森吉山も白神山地も共にクマゲラが生息する森であることを考えると、これも当然だろう。それにしても苔生すブナの巨木と鮮やかな黄葉、キノコの造形美は見事だった。

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