歌舞伎 梅雨小袖昔八丈 〜 髪結新三
(つゆこそでむかしはちじょう 〜 かみゆいしんざ)
♪日時:2001.03.11(sun) 22:44〜 NHK教育放送(2000年4月、歌舞伎座・収録)
♪作:河竹黙阿弥
♪配役:
新三:中村勘九郎(五代目、中村屋)
弥太五郎源七:片岡仁左衛門(十五代目、松島屋)
白子屋娘お熊:坂東玉三郎(五代目、大和屋)
下剃勝奴:市川染五郎(七代目)
家主長兵衛:中村富十郎(五代目、天王寺屋)
白子屋手代・忠七:中村芝翫(七代目、成駒屋) など
♪内容:
中村勘三郎(十七代目)13回忌追善公演だとか。そのせいか超豪華キャストである。しかし一年前の録画を今頃もってくるとはNHKもけちですな。
序幕:
第一場、白子屋見世先の場
材木問屋・白子屋へ善八が結納の目録を届けに。続けて仲人の藤兵衛が祝儀の品物(酒樽など)を持たせて店にやってくる。藤兵衛が結納金500両をうやうやしくお常に渡して去ると、奥からお熊が店先に出てくる。本人の知らぬところで縁談が進んでいた。主人が病死し家業は傾く一方。後家のお常は500両の持参金で婿入りするという縁談に飛びつく。親孝行のためと泣く泣くお熊はこれを承諾。そこへ集金から戻った忠七が店の陰でお熊の縁談の話を立ち聞く。お熊と二人きりになるとお熊は忠七に連れて逃げてと迫る。
それを髪結新三が立ち聞き。お熊が奥へ下がると、それを機に新三が店に入ってきて忠七の髪をなで付けながら、駆け落ちをそそのかす。
第二場、永代橋川端の場
新三の手引きでお熊は籠でこっそり家を飛び出し、忠七も新三とともに店を出る。新三の家に向かう途中、雨に降られた永代橋の袂で新三が本性を現す。もともと忠七、お熊両人とも匿うつもりは毛頭なかった。忠七を傘で殴ってさっさと一人で行ってしまう。行き場を失った忠七は川へ身を投げようとするところへ、源七が通りかかりこれを引きとどめる。
第二幕:
第一場 富吉町新三内の場
深川・長屋の新三宅。勝奴が留守番。お熊は押入れに閉じ込めれれている。湯にいっていた新三が戻ってくる。源七が善八を案内に連れて新三宅にやってくる。娘を取り戻すためだ。源七が10両(1両=6,7万円らしい)で返せというと、最初は下手に出ていた新三だが、親分肌の源七に盾突き追い返す。面子を潰されて渋々、源七は帰っていく。
第二場 家主長兵衛内の場
回り舞台が回り、大家の長兵衛の所へ妻のお角が善八を連れてやってくる。家主の威光で娘を返すように口を聞いてくれるよう頼む。実は善八が30両用意してきていたと知り、長兵衛はそれなら話は早いと早速、新三のところへ出掛けていく。
第三場 元の新三内の場
再び舞台が回り、初鰹の刺身で一杯やっている新三のところへ長兵衛がやってくる。店子である新三も苦手とする家主の長兵衛。さすがの長兵衛にうまく丸め込まれ、娘を返す羽目に。30両で料簡したが、長兵衛は半分の15両しか渡そうとしない。自分より上手の長兵衛にまんまと半分もっていかれてしまう。
長兵衛が帰ろうとすると別の店子が大慌てでやってくる。なんと大家の留守宅に泥棒が入ったのだ。
大詰:
深川閻魔堂橋の場
新三が博打にいっていると知って、源七が待ち伏せしている。例の一件依頼、源七のことを腰抜けと言いふらす新三を面白く思わない源七が、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか彼の命を狙っていた。切り合いとなり幕。
♪感想:いわゆる世話物(江戸時代の一般庶民を描いたもの)というやつで、派手な仕掛けはない。最初はつまらなそうだと思っていたが名優たちの演技につい引き込まれて行く。粋な江戸っ子の掛け合いが見所。髪結の新三は脛に傷もつ、博打の好きなちょっとまともとは言えない髪結い。駆け落ちを手助けすると見せかけて、実は金目当てで娘を拉致監禁。そんな新三も大家には敵わないというのが落ち。
* 04/01の日経朝刊の文化欄(最終面)連載コラム「私の履歴書」に家主長兵衛役の中村富十郎さんが執筆中。
♪参考資料:歌舞伎ハンドブック(\1,500 三省堂)
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更新日: 01/04/04
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