歌舞伎 源平布引滝 〜 実盛物語
(げんぺいぬのびきのたき)
♪日時:2001.07.15(sun) 22:00〜 NHK放送(芸術劇場「市村羽左衛門さんをしのんで」より、NHKホール・収録。平成10年8月2日放送分の再放送)
♪配役:
斎藤別当実盛:市村羽左衛門(十七代目、橘屋)
瀬尾十郎兼氏:市川左團次
御台葵御前:市村萬次郎
倅・太郎吉:市村竹松
庄屋・太郎右衛門:市村鶴蔵
百姓・九郎助:松本幸右衛門
娘・小万:澤村宗十郎 など
♪内容:
三段目・九郎助住家(と思われる)
九郎助と太郎吉が琵琶湖畔で何やら布を巻いたようなものを握った腕を拾ってきた。その布は源氏の白旗(シンボル)であった。九郎助の住居には木曽義賢の御台所・葵が平家の目を盗んで匿われていた。彼女は身重の体であった。
(浄瑠璃、三味線)
その住居へ葵が匿われているらしいことを知って、実盛と兼氏が詮議に現れる。九郎助の妻は葵が産んだと偽って、拾ってきた腕を二人に渡す。兼氏はそれが子供であるはずがないと言うが、実盛は中国の故事を挙げて、そういうこともあるかも知れないと語るが、それは葵をかばっての方便。実盛は実は源氏の流れであるが、平家の扶持を食んでいる。
変とは思いながらも兼氏は一人、先に住居を後にする。
(浄瑠璃、三味線)
実盛は隠れていた葵と対面。旗を握っていた腕は実盛が切り落としたものであった。その腕が九郎助の娘で、太郎吉の母である小万のものであると知った九郎助ら。嘆き悲しみ、実盛に恨み節。
そこへ小万の遺骸が運ばれてくる。実盛は切り落とされた腕に温もりがあり、白旗を握らせて腕を継げば、生き返ると言う。そのとおりにすると小万は一瞬、息を吹き返す。しばしの親子対面となるが、すぐに息を引き取る。
急に産気づく葵。実盛が白旗を掲げて祈る。無事、男児を出産。後の木曽義仲である。
そこに兼氏が登場。兼氏はまだ幼い太郎吉に手柄を立てさせるように、わざと刺される。
馬を呼びつける実盛。太郎吉を馬に乗せ、馬を歩かせる。太郎吉を降ろすと、彼に戦場で会おうと言葉をかけ、馬上で見得を切って花道へ下がっていく。
♪メモ:
終始、九郎助住家が舞台。去る7/8に死去した市村羽左衛門さんを偲んで急遽放送された。この再放送の前のスタジオ収録にはゲストに尾上菊五郎さんが出演。市川団十郎さんもインタビューに答えていた。
実盛に腕を切り落とされた小万は源氏の白旗を手に琵琶湖を泳いでいたという。このことからも分かるように、ただの百姓の娘ではない。
源氏物語や源平盛衰記をもとに書かれた作品ということであるが、あまり平家物語には詳しくないので、この物語の背景にあることや前後にどんなことがあったのか、実盛という人物が一体どういうキャラクターであったかもよく分からない。時代背景を知っていればもっと面白く見られることと思う。
♪参考資料:歌舞伎ハンドブック(藤田洋・編 \1,500
三省堂)
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更新日: 01/07/18
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