歌舞伎 慶安太平記 〜 丸橋忠弥
♪日時:2001.07.15(sun) 22:00〜 NHK放送(芸術劇場「市村羽左衛門さんをしのんで」より、NHKホール・収録。平成10年8月2日放送分の再放送)
♪配役:
丸橋忠弥:市村羽左衛門(十七代目、橘屋)
松平伊豆守:市川左團次(三代目)
弓師・藤四郎:助高屋小伝次 など
♪内容:
1.江戸城外 − 堀端の場
忠弥が酔っ払って堀端にやってくる。そこには町人3人が屋台の店先で酒を飲んでいる。忠弥はそこでも酒を飲み始める。酒の肴に刺身がないので、店主に小判を渡して買いに行かせる。忠弥一人で店番をしていると、妻の父・藤四郎が傘をさし、弓を手にやってくる。藤四郎はそれが仕官もせず、酔っ払っている娘婿と知って、彼を責める。彼は200両も借金をしていたが、それも酒などに使ってしまっていたのだ。舅の説教も半ばに忠弥は眠ってしまう。あきれて去っていく藤四郎。
犬が顔を舐めるので目が覚めた忠弥は犬を追い払おうと石を手にする。しかし石は犬に投げつけるではなく、堀に投げ込む。それは堀の水深を測るための演技であった。そこへ伊豆守が傘を手にやってくる。忠弥に何をしているかと尋ねる伊豆守。忠弥は犬を追い払っていると答える。忠弥は伊豆守を残して堀端を去っていく。
2.丸橋寓居裏 − 捕物の場
(藤四郎に離縁を迫られた忠弥が、思わず明かしてしまった幕府転覆の企みをきっかけに、捕り手が忠弥を捕らえにやってくる)
大勢の捕り手たちが忠弥の家から出てくる。その後を追って、角材を手にした忠弥が出てくる。それから約16分にわたり、台詞なしの捕物劇が繰り広げられる。
最初はお囃子をバックに優雅な立廻り。舞を舞っているようにも見える。徐々に動きのテンポも速くなり、動作も激しくなっていく。角材を捕り手に奪われ、素手で戦う。次は捕り手の刀を奪って暴れ回る。そこに石つぶてが襲う。額に血がにじむ。井戸の水をくみ上げ、一口飲んで、残りを体に浴びる。
更に捕物は続く。縄が縦横に張り巡らされ、一網打尽かと思われたが、うまく抜け出す。縄は蜘蛛の巣のように放射状に広がる。屋根の上に上った忠弥がその蜘蛛の巣に飛び降りる場面も。
しかし奮戦空しく、ついには御用となってしまう。
♪メモ:
TV放送用に収録されたらしく、観客を前にした舞台ではないように見える。去る7/8に死去した市村羽左衛門さんを偲んで急遽放送された2本のうちの一つ。
河竹黙阿弥が市川左團次(初代?)のために書いたといわれる。明治3年初演。
慶安4年(1651年)の由井正雪の幕府転覆の陰謀を題材にした作品。丸橋忠弥は実在の人物で、幕府転覆の陰謀が露見して捕らえられる。首謀者の由井正雪も後に自殺し、陰謀は失敗に終わるのである。
捕物の場の凝った演出の捕物劇が見せ場。
♪参考資料:歌舞伎ハンドブック(藤田洋・編 \1,500
三省堂)
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更新日: 01/07/22
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