歌舞伎 一本刀土俵入
(いっぽんがたなどひょういり)
♪日時:2001.07.08(sun) 14:15〜 NHK放送(”劇場への招待”より、国立劇場・収録)
♪作:長谷川伸
♪配役:〜前進座
駒形茂兵衛:中村梅之助(四代目、成駒屋)
お蔦:瀬川菊之丞
船印彫辰三郎:益城宏
船戸の弥八:藤川矢之輔
波一里儀十:山崎竜之介 など
♪内容:
取手の宿・安孫子屋の前
水戸街道の茶屋旅籠・安孫子屋の前で暴れていた船戸の弥八に茂兵衛がからまれる。しかし彼は一文無しで、食うものも食えず、見るからにやつれた姿。暴れようにも力も出そうにない。
宿の二階から眺めていたお蔦が茂兵衛を不自由に思い、手持ちの金を彼にやってしまう。茂兵衛は一度は関取になるべく相撲部屋にいたが、親方に追い出されてしまったのだ。しかし心を入れ替えて、もう一度部屋に戻ろうと江戸に向かう途中であった。茂兵衛は感激して、きっと立派な関取になって礼に来るといって、江戸に向かう。
利根の渡し
渡しの船が来るのを待ちながら、茂兵衛がお蔦にもらった金で買った団子を食べていると、手下を引き連れて彼を追いかけてくる。しかし食べるものも食べて元気を取り戻した茂兵衛に、体よく追い払われてしまう。そこでお蔦の娘を背負った子守りに出会う。
布施の川べり
10年後、茂兵衛はお蔦を訪ねて取手に戻ってきた。関取としてではなく博打打ちとして。川べりで作業中の船大工に彼女の消息を尋ねる。しかし有力な手がかりは得られない。そこに茂兵衛を博打でイカサマをした辰三郎と人違いしたチンピラが3人現れ、ちょっかいを出す。人違いと知って男たちは茂兵衛に謝る。茂兵衛が去った後、隠れていた辰三郎が一瞬姿を見せ、花道へ消えていく。その直後、波一里儀十たちが辰三郎を追ってやってくる。
お蔦の家
儀十らは次にお蔦の家に押しかける。お蔦は娘と二人で暮らしていたが、その子の父親が辰三郎であった。お蔦も儀十らの話で死んだと思っていた夫が生きていることを知らされる。それもイカサマ師として追われる身だった。
一旦、連中が引き上げると辰三郎が母子の前にこっそり現れる。すぐに一家で夜逃げすることになる。準備をしていると茂兵衛がお蔦を訪ねてやってくる。お蔦と再会するが、茂兵衛と名乗ってもお蔦は思い出せない。礼だけ言って去っていく茂兵衛。すぐに儀十らが戻って来るのに気づいた茂兵衛が、事情を知って恩返しと、お蔦一家をうまく逃がそうと立ち回る。儀十らを向かえ討ち、大いに痛めつけた後、急いで一家は逃げていく。
♪感想:
初演が昭和6年と新しく、座付きの狂言作者でない外部の劇作家が作った新作ということで「新歌舞伎」と呼ばれる。主役の梅之助さんは我々、TV世代にはTV時代劇の方がなじみがある。
茂兵衛は前半のだらしない力士くずれとは違い、後半は博打打ちではあるが、さっそうとして小気味がよい。出世したかどうかは別として、腕にものを言わせて、かつての恩人に恩返しをするという、ちょっとしたヒーロー物語。
♪参考資料:歌舞伎ハンドブック(\1,500 三省堂)
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更新日: 01/07/08
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