歌舞伎  

日時:2004.05.30(Sun) 22:00 〜 NHK教育放送「芸術劇場」(2003年5月歌舞伎座・収録)
原作:初代市川團十郎
分類:純歌舞伎(歌舞伎十八番)

配役:
鎌倉権五郎景政:市川團十郎
清原武衡:市川左團次
那須九郎妹・照葉:坂東三津五郎
鹿島入道震斎:河原崎権十郎
加茂次郎義綱:尾上菊五郎
ほか

内容:
 鶴ヶ岡社頭の場

 舞台に鎌倉鶴ヶ岡八幡宮の赤い壁が広がる。大薩摩連中の演奏が終わると、その壁が左右に開き、大勢の登場人物が居並ぶ。一段高い中央に武衡が座り、その向かって左手に赤ら顔の4人の男たち。反対側に震斎と照葉。
 彼らより一段下に義綱ら主従が並ぶ。義綱はまさに武衡によって斬られようとしていた。赤ら顔の4人に成田五郎義秀が加わり、長刀を抜かんとして頭上に掲げると、そこにどこからか「暫く」と声がかかる。邪魔をされて義秀らは不満の声を順に上げる。
 「暫く」と再び声がかかり、大薩摩連中の演奏。気を持たせておいて、ようやく花道より景政が登場(なかなか姿を現さないから「暫く」待て、というのか?)。七三(花道の途中)で名乗りが行われる。武衡の命で震斎、照葉が景政を追い払おうとするが、彼はピクリとも動かない。このやりとりも滑稽である。4人の侍たちや8人の奴さん達も何とかしようとするが、体よく退けられる。
 今度は景政自身が舞台中央へ進み、衣装直し。例の正方形の巨大な袖は骨組みが外され、下ろして双肌脱ぎとなる。この間、義綱一行が(時間稼ぎで)舞台をぐるりと一周する。準備が整い、見得を切る。
 小金丸行綱が宝剣・雷(いかずち)丸を手に駆けて来る。宝が手に戻ったことで義綱一行は無罪放免となる(家宝を奪われてしまったため、お家が傾いてしまったらしい)。一行が連なって花道を下がっていく。
 残された景政に対して、大勢の仕丁らが、彼を襲うが、長大な太刀をひと振りすると、あっという間に彼らの首が一面に転がる(一瞬の出来事)。更に奴さんらと小競り合い。
 全てが終り、景政は立ち去りかけて、七三で立ち止まると見得を切る。ここで幕。
 更に景政は太刀を肩に担いで、悠々と花道を下がっていく。

メモ:
 先に、海老蔵襲名講演での「暫」を観た。今回は父親・團十郎の「暫」である。父親の貫禄を見せつける。市川家伝来の荒事の醍醐味が味わえる。
 史実に基づいた内容で、清原武衡は関八州を手に入れ、奢り高ぶっていたという。当然、悪役である。
 

参考資料: 歌舞伎ハンドブック(\1,500 三省堂)

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更新日: 04/11/06