O/OREOS 「軌道要素TLEの作成法」



● (No.866) O/OREOS 「軌道要素TLEの作成法」 (2015年5月4日)
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ご承知にように、O/OREOS衛星の TLE は、約半年に一度のペースで更新されてい
ます。この更新間隔では日々ずれてきて、半年後には数十分の誤差が生じてきて
信号を捉えることが難しい状況になっています。自局は、O/OREOS の軌道要素を
ほぼ正確に編み出す方法を確立しました。現在は元期日が 120日を過ぎた頃です
が、新たに計算した元期 15122.95929653 の TLE を次に示します。この TLE で
過去に受信できていた日時に合致するので、これでほぼ間違いないと思います。

変換前に指定すべき、元になる正確な軌道要素をどれにするかということが重要
です。DK3WN_Blog に掲載の元期 15087.29357260 の TLE を元にして新たに変換
作成した元期 15122.95929653 の TLE を使い、本日(2015年5月3日) 久しぶりに
O/OREOSの信号を聞きました。Calsat32 で計算すると、オリジナルの DK3WN局の
TLE よりも 2分早く表示されます。実際、O/OREOS衛星は このように飛来してい
ました。

OOREOS original by DK3WN
1 37224U 10062C   15087.29357260 +.00001961 +00000-0 +26032-3 0 02112
2 37224 071.9734 226.2009 0020142 228.3729 131.5735 14.80863333035006

OOREOS modified by JE9PEL
1 37224U 10062C   15122.95929653  .00001968  00000-0  25282-3 0 92118
2 37224  71.9734 147.0076 0020085 161.6858 198.3866 14.81003340 40285


  

    元期簡易計算法
    Simple Calculator of Epocktime
Wrote by JE1CVL at 20:56JST, 3 May 2015 > O/OREOS、当初ご発表のTLEによると 19:15 にパスがありました。 > 当方、約10分遅らせて強力な信号を捉えることができました > と言うことは AOS19:25 となりますが、modified by JE9PEL の > TLE を使うと AOS19:26 と出ます。1分の差ですから当方受信時に > まだ遅らせ方が足らなかったことになります。 > Original by DK3WN の TLE を使っても AOS が同じ 19:26 となり > ますが、「2分早く飛来…」 はどういう意味でしょうか。 Wrote by JE9PEL/1 at 22:11JST, 3 May 2015 > 理由がわかりました。 > Calsat32 - 計算 - 「計算モデルの選択」 の設定で、 > SGP だと AOS19:26(Original) になります。 > 精度を上げて、SGP4 か SGP8 にすると、 > AOS19:28(Original) となります。 > 計算精度を上げる意味で、SGP4設定以上 > がよいかと思います。 Wrote by JA0CAW at 22:12JST, 3 May 2015 > 21時台のパスを受信。 > OREOSの周波数制御でのズレが少しありますが、バッチリですね。 > 画像参考に送ります。 JE1CVL JA0CAW O/OREOS 437.301MHz 1200bps AFSK
そろそろ、表題の 「作成法」 を公開する時が来たようです。 そのポイントは衛星大気圏突入予測ソフト『SatEvo』を使うのです。衛星の軌道 要素を新たに生成するのに、なぜ衛星消滅ソフトを使うのか疑問に思う方もおら れるかと思いますが、そこは発想の転換です。 SatEvo で消滅日時が算出された後に、Output filename を聞かれます。 ここで 適当な filename を入力すると、Evolution complete となり作業が終了します。 後でフォルダに作られたファイルを見ると、大気圏消滅までの TLE が 大量に作 られていることに気付きます。つまり、現時点から消滅までの未来が予測されて いるのです。 しかし、SatEvo は消滅までの日数が 1000日以内であれば動作するソフトであり 1000日を越えるような長生きの衛星ではこのソフトは動作しません。また、1000 日以内でも、ファイルに算出される TLE は 30日以内となっています。 O/OREOS のこれからの寿命も、実は 1000日をはるかに越えており、 DK3WN original TLE の元期日 15087 は、2015年3月時点であり、そこから数えても現時点の 5月まで は 30日を超えています。 つまり、このままでは SatEvo は使えないということ になります。 ここであきらめてはいけません。 SatEvo の readme.txt を良く読むと、いくつ かのオプションが用意されていました。このうちの -L, -P のオプションを使っ てみます。 -L は Lifetime flag, つまりこの先、何日までを見通すかというこ とで、1000日以上の先まで計算してくれます。-P は Prediction limit, つまり 30日以上の TLE をファイルに算出してくれます。 O/OREOS は調べてみると、この先 15年は生き続けます。そして、2015年3月から 現時点 5月までの 50日を指定すれば充分です。つまり、-L6000 -P50 とします。 下図のように、O/OREOS の消滅日時は15年先の 2030年7月1日と計算されました。 そして、oredecay.txt とした出力ファイルの 元期日 15122 が、直近の 2015年 5月2日なので、それを上記『OOREOS modified by JE9PEL』の TLE としました。


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