● (EISEI.23) 人工衛星の飛行速度について (1994年 1月10日) -------------------------------------------------------- 今、衛星の移動速度をVとすると、V2=(dx/dt)2+(dy/dt)2 で、 ここで、x=r×cosφ、y=r×sinφ の2つの式を時間tで微分(積の微分法 と合成関数の微分法) をして上式に代入すると、次の式のようになります。 V2={(dr/dt)×cosφ−r×sinφ×(dφ/dt)}2+ {(dr/dt)×sinφ+r×cosφ×(dφ/dt)}2 =...=(dr/dt)2+(r×(dφ/dt))2 ところで、本編(21)で調べたように地球と衛星との距離をr、真近点離角をφ、 離心近点離角をτ、とすると次の関係式が得られていました。 r×sinφ=a×root(1−e2)×sinτ、 r×cosφ=a(cosτ−e) この式を、同様に各々、時間tで微分をすると次の2つの式が得られます。 (dr/dt)sinφ+r×cosφ(dφ/dt)=a×root(1−e2)×cosτ(dτ/dt) (dr/dt)cosφ−r×sinφ(dφ/dt)=−a×sinτ(dτ/dt) この2つの式を、さらに辺々二乗して加えると次のようになります。 (dr/dt)2+(r×(dφ/dt))2=a2×(1−e2)×(cosτ)2×(dτ/dt)2 +a2×(sinτ)2×(dτ/dt)2 要するに、V2=a2×{1−e2×(cosτ)2}×(dτ/dt)2 です。 ここで、本編(22)で調べたことから、(1−e×cosτ)×(dτ/dt)=2π/P で、 この右辺をn「平均運動 Mean Motion」とおくと、dτ/dt=n/(1−e×cosτ) となり、また本編(21)で調べたことから、r=a(1−e×cosτ) なので、上記 V2 の式に代入してさらに式変形していくと次のようになります。 V2=a2×n2×{(1+e×cosτ)/(1−e×cosτ)} =a2×n2×{2/(1−e×cosτ)−1} =a2×n2×{2a/r−1} =a3×n2×{2/r−1/a} =4π2×(a3/P2)×{2/r−1/a} ケプラーの第3法則により、(a3/P2)は一定値となることがわかりますが、 ニュートンの万有引力の法則によって計算すると、上記の 4π2×(a3/P2) の項が、G×(M+m)となることが知られています。ここで、Gは引力(単位は ダイン)の定数で、その値は G=6.6732×10(-8) [cgs系] で与えられます。 Mは地球の質量で、 M=5.9732×1027[g] です。 さらに、m を衛星の質量と みなし、無視できます。 一般に、 《 V2=G(M+m)×{2/r−1/a} 》 となります。 では、地球の表面すれすれに回る人工衛星(m≒0)の速度V'を求めてみましょう。 r=a=6371[km]=6.371×108[cm] と考えて、《上式》より求まります。 V'2=GM/a=6.6732×10(-8)×5.9732×1027×10(-8)/6.371 =6.2565×1011 よって、V'=2.5012×3.1622×105≒7.91×105[cm/s]=7.91[km/s] 次に、FO-20のような地表表面からh[km]の上空を飛ぶ円軌道の人工衛星の 速度Vfを求めてみましょう。r=a+h であるから、《上式》より、 Vf2=GM×{2/(a+h)−1/(a+h)}=GM/(a+h) =(GM/a)×(a/(a+h))=V'2×(1+(h/a))(-1) よって、 Vf=7.91×(1+(h/a))(-1/2)[km/s] となります。 今、a=6371[km] で h=1100[km] とすると、Vf≒7.3[km/s] が得られます。 これが、FO-20のおおよその飛行速度です。 次回は、衛星の軌道に基づく「LON/LAT座標系」について解説します。 参考文献:天文学通論 (鈴木敬信著 地人書館)
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