サッカー観戦記

2004年08月04日(水)「ジュビロ磐田vsFCバルセロナ ○(0:3)」

試合開始前at静岡スタジアム・エコパ

 夢の第2弾、ジュビロ磐田vsFCバルセロナ戦である。東京遠征から帰宅し、今度は中1日で静岡遠征を敢行した。

 今回来日したFCバルセロナのメンバーは、昨シーズンのスペインリーグで快進撃を続けた頃と比べてやや寂しい感じがしないわけでもない。 特に、チームの柱であったルイス・エンリケ、オーフェルマースが抜け、オランダ代表のコクー、ダービッツ、クライファート、ライツィハーは移籍した。 また、アルゼンチン代表のサビオラはアテネオリンピックへ招集されてジャパンツアーには参加していない。

 しかし、オフの間に獲得した新戦力もまた魅力的である。特に、スウェーデン代表のFWラーション、ポルトガル代表MFのデコには注目。 その他にも、フランス代表FWジウリー、ブラジル代表DFエジミウソンとDFベレッティ、DFシルビーニョなど楽しみな選手も多いのである。 残念ながら、楽しみにしていたデコはケガで試合を欠場。とは言え、アップの前にピッチでボールコントロールを披露してくれた。 ボール扱いは大変うまい。

 最大の注目選手は、もちろんブラジル代表MFロナウジーニョである。 昨シーズン後半のスペインリーグで数々のマジックを披露してくれたボールのマジシャンである。 バルサの試合は全試合TVでチェックしていたのであるが、ロナウジーニョのプレーは本当に素晴らしい。 予測不可能で、見ているものを大いに楽しませてくれる。 スピードに乗ったドリブルや、しつこいまでのノールックパスなど、いくつか得意技はあるのだが、 やはり期待したいのはナイキのTVCMにもなった「フェイント」である。 どう見ても普通の人には出来そうもないスーパーな「フェイント」で、知らない人が見たら今そこで何が起こったかわからないのではないか。 楽しみにしておこう。

 心配された雨であったが、静岡スタジアム・エコパには屋根が付いていた。 風も後ろから吹いてくるので、自分の座席にはほとんど雨は降り込んでこない。 今回の座席は、バックスタンド1階、アウェー側前から13列目。入場通路のすぐ側で中途半端な位置なので、自分の並びは2席しかない。 おまけに隣の席との間隔がやたらと広く、ラッキーな席であった。 新しいスタジアムだけあり、味の素スタジアムのようにカップホルダーの付いた独立席で、快適に試合観戦を楽しめる。

 試合前のアップのためピッチに選手が入場。オレンジ色のウェアに身を包んでいて、いつもと違う印象である。 スタジアムの声援が一段と高まる。選手がスタンドの声援に応えると、さらに歓声が高まった。 先発は、GKバルデス、DFベレッティ、DFマルケス、DFプジョール、DFファン・ブロンクホルスト、DFシルビーニョ、DFオレゲール、 MFロナウジーニョ、MFガブリ、FWジウリー、FWラーション。 DFエジミウソン、MFシャビ、MFジェラール、MFイニエスタ、FWルイス・ガルシアらは控えである。

 DF登録が6人いるが、CBはプジョールとオレゲール、左SBにシルビーニョ、右SBにベレッティのようである。 その前に左MFファン・ブロンクホルスト、センターがマルケス、右MFにガブリ。 1.5列目左にロナウジーニョ、右にジウリー。センターFWにラーションの4−3−3(2−1)のような感じか。 ジュビロの選手紹介では、やはり中山雅史が一番大きな声援を浴びていた。

 アップしていた選手が控え室に戻り、寂しくなったピッチではあったが、TK小室哲哉&KEIKO夫妻が入場。 まずはバルサのイムノ(応援ソング)を演奏し、2曲ほど演奏してくれた。 バルサのイムノ演奏でアウェー側ゴール裏席に陣取るバルサ・サポーターは盛り上がりを見せていた。

 選手入場。一段と歓声は高まる。今日はレアル戦と客層が違うせいか、スター選手の名前を叫びまくる黄色い声援はほとんど聞こえない。 特に、アウェー側ゴール裏席に近いこのあたりでは、けっこうマニアックそうな客が多いようだ。かく言う自分もその1人か。 キックオフ前の写真撮影を済ませ、選手がピッチに散らばるのかと思っていたらベンチ前で待機している。 ヘリコプターがボールを落下させるらしい。そう言えば昨年のレアルのジャパンツアーでも同じことをやっていた。

 前半バルサがキックオフ。前半3分、ジウリーがエリア右で倒されバルサにFKのチャンス。 ファン・ブロンクホルストがクロスバーに当てて外し、跳ね返りをロナウジーニョが強烈なボレーシュート。 わずかに右に外れるが、スタジアムに大きなどよめきが起きる。

 前半6分には、ロナウジーニョがスルーパス、続けて11分にはヒールキックとスタジアムを沸かせる。 ラーションも前線でボールをキープし、ポストの役割をきっちり果たしている。予想通りフィジカルも相当強い。

 前半24分、左SBシルビーニョからのクロスにラーションがヘッド!決定的だったがGKが好セーブ! ラーション得意のヘディングで、またまたスタジアムは大きく沸いた。右SBのベレッティもよく攻撃に上がってくる。 対するジュビロも前田を基点に、フリーの川口が右サイドを駆け上がったり、名波が中盤でボールキープをしたりして応戦。 しかし、プレーの精度が悪いせいか、ジュビロの決定機はなし。

 前半29分、左からロナウジーニョがドリブルを仕掛け、服部・鈴木・山西をかわし、正面に待つラーションに右アウトサイドでパス。 最後はラーションが難なくシュートを決めて、先制点はバルサ。0−1に。すげー! それにしてもロナウジーニョは強くて速い。いとも簡単にペナルティーエリア内で相手DFをかわしていく。 得点後も、スタジアムのあちこちで感嘆の声が聞こえていた。自分もその1人である。

 前半36分、左のコーナー、ファン・ブロンクホルストからクロスが上がり、中央でラーションがヘディングシュート。 これが見事に決まり、0−2に。うわさ通り、ラーションのヘディングは強い。 一瞬、ユーロ2004ブルガリア戦で決めたビューティフルなヘディングゴールを思い出した。

 後半キックオフ。後半開始からバルサはルイス・ガルシアとシャビを投入。 バルサもまだコンビネーションが整っていないせいか、ジュビロがバルサゴールに迫っていく。 後半1分には、後半から投入されたルーキーのカレン・ロバートがエリアに進入。 後半3分には、名波のクロスボールにグラウがダイビングヘッド!惜しくもゴール右に外れる。この試合ジュビロ唯一となった決定機。 後半4分には、オフサイドラインギリギリで突破したかに見えた中山がGKと1対1に。しかしこれはオフサイド。ジュビロのボールが動き出したかに見えた。

 しかし、バルサも反撃に出る。後半8分、マルケスの強烈なミドルシュート!これをGKが弾きDFがクリアー! 後半11分、ロナウジーニョのヒールパスでルイス・ガルシアがフリーでシュート。これもGKがスーパーセーブで止める。

 そして後半13分、左コーナー付近でロナウジーニョが相手DFと1対1となった。 ロナウジーニョにボールが渡ったら特に注意して見ていたが、ようやく訪れたこのチャンスだ。 大きな期待をしながら見ていたら、ロナウジーニョはやってくれた。得意の「フェイント」でDFを抜いた!あの「フェイント」である。 このプレー後には、スタジアムから大きな拍手喝采!素晴らしいプレーだ。すごい! それも自分の目の前のいちばん近いところでやってくれた。ロナウジーニョ、あんたはえらい。 これで静岡遠征のもとは取った。ワンプレーでそう思わせる選手はそうはいないだろう。 大型ビジョンのリプレー映像でも、スタジアムに大きなどよめきを起こしていた。

 この時間帯は、またしてもバルサのパスが回り出す展開。 後半18分、ロナウジーニョがドリブルで突っかけると、後ろを向き前にノールックのスルーパス。出た!またしても得意技炸裂。 これに反応したルイス・ガルシアがGKを交わしゴール。バルサが3点目をたたき込んだ。これで0−3。 バルサは新加入のエジミウソンが右ボランチに。

 後半23分、ロナウジーニョがスピードに乗りドリブルを仕掛けると服部が厳しくチェック。 ロナウジーニョがオーバーなアクションで倒れエリア左でファールを受ける。このFKを自らが蹴り、ゴール右スレスレを外れた。 それにしても、前を向いてスピードに乗ったロナウジーニョのドリブルは、ファールでないと止められないほど速くて鋭い。

 バルサにこの日一番の華麗なるパス回しが出た。 これを地元バルセロナでやったら、きっと「オーレ!オーレ!オーレ!…」の大歓声が出るのは間違いないだろう。 ほとんどダイレクトの速いパスが、次々と何度も通る。それもピッチの左右前後を縦横無尽に行き渡る。 ポロポロと小さなミスをするジュビロに対して、バルサはトラップのミスもほとんど無い。素晴らしいプレーだ。 Jリーグでは、華麗なるパス回しで鳴らしているジュビロを相手にこのパス回し。 レアルの時も感じたが、まだまだJリーグとスペインリーグとでは実力差が違いすぎるようだ。 さらにこれで静岡遠征のもとは取れた。

 その後も、ジュビロは果敢にチャレンジするのだが、小さなミスでことごとくボールを奪われ、攻撃がつながらない。 バルサはこの時間になっても攻守の切り替えが速く、ボールを奪ったら4〜5人が一斉に前を向いて相手ゴールに迫るので迫力がある。

 後半44分、シャビの上げたクロスにルイス・ガルシアのヘディングが決まるがオフサイド。 ロスタイム2分、ロナウジーニョからのパスをジェラールがミドルシュート。ゴール右スレスレを外れるがスタジアムが大きくどよめく。 ここで試合終了。プジョールを中心とした守備も安定し、攻撃陣も機能したバルサの素晴らしさばかりが目についた。 結局0−3でバルサの完勝であった。MVPは2ゴールのラーション。

 ピッチの中央では、子どものころからの親友であるグラウとロナウジーニョがスパイクを交換。 試合前から期待していたが、やはりFCバルセロナは素晴らしいチームであった。 個人の技術もしっかりしているし、チームプレーもこの時期にしてはかなりできていた。

 そして何と言ってもロナウジーニョである。 期待通りのプレーを、順番に1つ1つ見せてくれた。つくづく観客を楽しませるスーパーな選手だなと思う。 こんなプレーを、あのバルセロナのカンプ・ノウで2週間に1度は見られるバルセロニスタが本当にうらやましい。 あんなに楽しそうにプレーしている様子を見ていると、まさにサッカーの申し子と言っても過言ではない。 あっと言う間の、まさに夢のような2時間のショーであった。大満足!

2004年08月01日(日)「東京ヴェルディ1969vsレアル・マドリード ○(0:4)」

試合開始前at味の素スタジアム

 8/1のレアル・マドリード戦と8/4のFCバルセロナ戦。試合開催が決まってから本当に首を長くして待ち続けていた。 それもいよいよ今日である。キックオフが待ち遠しくてたまらない。ワクワクしっぱなしである。

 レアル・マドリードのジャパンツアーと言えば、昨年の夏も国立競技場へ観戦に出かけた。 スペインリーグの人気チームだけに、ラウールやフィーゴ、ロベルト・カルロスやロナウド、ベッカムなどのプレーを生で見ることができ感激した。 しかし、一番楽しみにしていたジダンはケガで欠場していたし、試合開始前から激しい雷雨に見舞われ、 デジカメ画像も満足に撮影できず、この点はかなり心残りであった。

 そして今年、レアル・マドリードはリーグ戦で4位になったもののジャパンツアーをしてくれた。それも2試合。 仕事のやりくりと対戦相手、2試合目の方がコンディションが上がってくるとにらんで、東京V戦のチケットをゲットした。

 今年のジャパンツアーは、フジテレビ系列がメインスポンサーのようで、テレビ出演やら公開練習やら「お台場冒険王」への出没やら、 選手はかなり忙しそうである。前日に東京入りして「お台場冒険王」のレアル・マドリードミュージアム見学と 「レアルマドリードカップ ボーイズ&ガールズフットサル大会」見学、公開練習を見た。

 レアル・マドリードミュージアムは、マドリードのサンチャゴベルナベウ・スタジアムにある本家のミュージアムに比べるべくもないが、 来日選手のサインと足形が展示してあったのは収穫であった。その他、選手の履いたスパイクも展示してあった。 フットサル大会には、イバン・エルゲラとディエゴがゲストで来ていた。

 さて、試合当日である。午前中は上野の国立西洋美術館と国立博物館へ。午後は日本サッカー協会ビルにある「サッカーミュージアム」へ。 新宿から京王線で試合会場の味の素スタジアムへ向かう。臨時列車であったが、ほとんどの客が観戦客であった。

 味の素スタジアムは新しいこともあって、とてもきれいで見やすいスタジアムである。 座席も独立して前後間隔もそこそこ広いしカップホルダーも付いている。観客席の75%は屋根に覆われているそうだ。 今回の席は、バックスタンド1階ホーム側前から12列目。コーナーフラッグのすぐ奥である。 前半レアルの選手が攻めてくると、右サイドがよく見える位置だ。きっとフィーゴやサルガドの攻め上がりが見られるだろう。

 先発メンバー発表。1試合目の市原戦に欠場していたジダンとロナウドがメンバー入りしていた。 ロナウドはともかくジダンがいてくれて大変うれしい。ソラーリが左サイド、ラウールがサブなので、ジダンは真ん中に入るようだ。 フランス代表の司令塔はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。

 前半キックオフ。すぐにレアルがボールを支配し、東京Vがボールをキープしようとするとすぐにプレッシャーをかけられ奪い取られていた。 レアルの選手は、パススピードが速くトラップもうまい。身体の使い方がいいせいか、ボールキープも秀逸である。 攻守の切り替えも、東京Vと比べて数段速い感じである。 スペインリーグ最盛期の頃とは比べるべくもないが、昨年のジャパンツアーの時より数段いい感じである。

 前半8分、テレビで見たとおり「ボールタッチが柔らかく、懐が深いなあ。」と思っていたジダンがやってくれた。 ロナウドからペナルティエリア前でパスを受けたジダンが、DF2人の間をいわゆる「マルセイユ・ルーレット」でターンしながら抜け出し、 1対1となったGKをフェイントでかわしてゴールを決めた。0−1に。

 それまでもジダンにボールが集まるとスタジアムは一段と沸いていたのだが、今回はあれよあれよと言う間にフィニッシュ。 ゴール後、スタジアム全体のどよめきと大歓声はすさまじかった。ラッキーなことに、そのプレーを目の前で見ることができたのだ。 テレビでよく見ていたあのプレーが今そこで見られたのである。鳥肌が立つスーパーなプレーであった。 大型ビジョンでのリプレー映像にも大きなどよめきが起こった。当たり前だろう。もうこれで東京遠征のもとは取った。

 その後もレアルペースで試合は進んでいく。 レアルのコーナーキックになると、それこそすさまじい数のフラッシュがたかれ、仕掛け花火のようである。 前半34分、ベッカムからロナウドへ。ロナウドがトラップ一発でGKをかわし、シュート。0−2に。 ゴールもそうだが、レアル・マドリードの選手は攻守の切り替えが本当に速い。 後ろ向きでボールを受けても瞬時に前を向き、攻撃に移っていく。それに3〜4人が連動するので迫力がある。

 後半開始。レアルはDFサムエルに代えてDFラウール・プラヴォ、MFソラーリに代えてFWラウールを投入。 選手紹介のアナウンスでは、ラウールに大きな声援が送られていた。 開始後、レアルペースは変わらないが、東京Vがボールを持ってサイドを駆け上がるシーンも出てきた。 しかし、シュートやクロスの精度が悪いため、ほとんどチャンスには結びつかなかった。

 後半15分、東京Vの林がジダンの足を踏んだ。ジダンは相当に痛かったらしく、林をたたいていた。 しばらくピッチにうずくまっていたジダンだが、自力でピッチ外へ。タンカは来なかった。 こちらサイドだったので、その様子もよく見える。チームのドクターが駆けつけ治療をするが×。 こちら側のコーナーフラッグを回ってベンチに帰って行った。 その際、ゲームに関係ないところで目の前のジダンに大きな声援が送られた。 ジダンはその声援に応え、手を振ってくれた。

 後半17分、レアルが一度に2人を交代。MFジダンに代えてMFグティ、FWロナウドに代えてFWモリエンテスを投入。 選手紹介のアナウンスでは、モリエンテスに大きな声援が送られていた。 後半19分には、東京VがFW平本に代えてFW森本を投入。16才の森本には、この日東京V一番の声援が送られていた。 そして後半21分、エリア右でボールをキープした森本が、ロベルト・カルロスをかわし、中央へ切れ込みながら左足シュート。 GKセサルが飛びついて押さえる。スタジアムには大きなため息があふれた。

 レアルもしばらくペースを落としていたが、後半32分、右中間のベッカムが、ファーサイドのグティにワンステップのロングパス。 グティがヘディングで中央へ戻し、上がってきたフィーゴがワンドリブルして右足シュート。左下に決める。0−3。 スペースのないところから、よくねじ込むものだ。大型ビジョンでのリプレー映像では、ポストに当たって入っていた。恐れ入る。

 後半35分、それまでは個人技で東京V守備陣を崩していく場面が多かったのだが、この日一番の「レアル・ショー」が始まった。 中盤からダイレクトパスの連続。中央のグティが左中間のラウールへ。ダイレクトで中央のモリエンテスに出し、 ゴール前でモリエンテスが右足で中央に流し込む。0−4に。 とにかくすごい。あれだけ速いパスで何度も左右に振られながらゴールに迫られると、東京Vの守備陣はどうすることもできないだろう。 手も足も出ない感じである。素晴らしいパス回しからのフィニッシュであった。 さらに東京遠征のもとは取れた感じである。

 そのままのスコア0−4でゲームセット。 Jリーグの中堅どころの東京Vではあったが、シーズン開始前のレアル・マドリードにまったく子ども扱いされた。 全てのレベルが違う感じである。スペインリーグとJリーグとの力の差を痛感する。 この間、その東京Vに0−3で敗れた我がサンフレッチェ広島がレアルと試合をしていたら…。 想像もつかない点差になりそうなので考えるのはやめておく。

 今回の東京遠征。昨年よりもレアル選手のコンディションが良く、才能の片鱗を見ることができた。 有名スター選手の個人技やチームプレーも堪能できた。特に、ジダンの必殺技を目の前で見ることができて大満足である。 まさに夢のような2日間であった。

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