コラム・26
     
アクセントの話など
知人の若いお母さんから聞いた話なんですが、子供の同級生に中国人のお母さんがこられたそうです。
学校で、先生の話に大事な「いつ、どこで」のアナウンスがあると、親切な数人が帰り道を一緒して、先生のお知らせを繰り返すことにしている、とのことでした。
ところが何と、教えるはずの日本人のお母さんが、曖昧なことが多いんだそうですよ。
日本語が曖昧な上に、学校の先生で正確な言葉を話す人ってまれですね。ええ、ぼくの経験では学校の先生で正確な言葉遣いができる人ってまれでしたね。
       
この話題になった中国人のお母さんは先代から日本に住んでいる人らしいけど、それでも聞き間違いがおおいらしいですよ。ええ、日本人のお母さん以上にね。
「いつ、どこで」の「いつ」と言えば、「今週」って、よく間違いがおこります。
週の初めを日曜日とする人と、週の初めを月曜日とする人とは半々じゃあないかなぁ。
だから、「今週、来週」ってアナウンスすると、てきめんに間違いがおこりますね。
それに、1日をツイタチ、2日をフツカ、7日をナヌカ、ナノカ、8日はヨウカ、って言い方があるでしょう。あれ外国人には、ややこしいでしょうね。
 もっとややこしいのはアクセント。日本にながく住んでいる人って言うと、中国人、華僑ですが、こんな人達は純粋にその地域で住んでいる、まあ、ネイティブと話す機会はすくないですから、テレビで日本語をおぼえたり、慣れているんです。
ところで、テレビは、とうぜん標準語。学校の先生は標準語で話すはずですが、これがくせもの。問題はアクセントなんです。
個々の単語は標準語でも、関西弁のアクセントは標準語とはまったく違うんです。
テレビのアナウンサーの標準語発音と標準語アクセントを聞き慣れた外国人には関西弁アクセントで話す学校の先生の話はわからないと思うなぁ。
アクセントの位置によって、言葉の意味が変わってしまいますね。例えば「むく」という言葉。「む」にアクセントがあれば「無垢」になるし、「く」にアクセントを置くと「向く」になりますよね。文書にすればなんてことはありませんが、耳で聞くとややこしいですねぇ。
NHKのアナウンサーは「日本語発音アクセント辞典」でおぼえるらしいですよ。
これは標準語の発音とアクセントの辞典ですが、何と7万語も見出しがあるんだそうですね。いま売り出されているCDの項目はもっと多いかもしれません。
何で、こんなに多いのかというと、地名と人名の固有名詞が問題だそうですね。
標準語は東京弁かと思っていたら違うんだそうですね。東京にも下町言葉もあり、山の手言葉もありますが、どちらにしろ標準語とは違うんだそうですよ。
よく言われるのに、東京弁では雲も蜘蛛も同じようにクにアクセントがありますが、例えば関西弁では雲はクに、蜘蛛はモにアクセントがあります。雲と蜘蛛を同じアクセントで区別しない東京方言はむしろ珍しいらしいですね。
それにしても、アナウンサーは7万語をこえる「日本語発音アクセント辞典」を暗記しなければならないようだから、タイヘン。ボクなんかアナウンサーなんて単純な仕事で、出された原稿を、ただ読むだけだと思っていたけど、どんな職業にも苦労があるんですねぇ。
それにしても、学校の先生もマジメにやるとなると、「日本語発音アクセント辞典」7万語を暗記しなければならないのでしょうねぇ。