イソップの宙返り・153
       
二匹の蜜蜂
花が咲き乱れる春のことでした。二匹の蜜蜂が蜜を求めて花から花へと飛んでいました。
一匹のほうは、蜜を食べるのはほどほどにして、巣を作る蜜臘を取って脚につけて運んでいました。
もう一匹のほうは、蜜をむさぼり食べるばかりでした。
       
桃の林にくると、枝にビンが掛けてあり、中には沢山に蜜が入っていました。
食い意地のはったほうは、ビンの中へ入って、蜜をむさぼりました。
もう一匹のほうは蜜のビンに入らず、花の蜜を集めにでかけました。
夕方になって戻ってくると食い意地のはったほうは、蜜を食べ過ぎて羽根も動かなくなっていて、苦しい声で、
「楽は身にこころよいが、これにふけると身を滅ぼすものだ」
と言いながら死んでしまいましたとサ。
☆     ☆
イヤー、肥満ねぇ。
ボクも肥満の傾向がありまして。肥満は高血圧、糖尿病になりやすいですし、何しろ無様ですから、気はつけているんですが、体質といいますか、遺伝といいますか、油断すると、すぐに太ってきますねぇ。
肥満って、遺伝的な素質よりも生活習慣と関連しているそうですね。
運動選手など筋肉質の場合には、体重が多くても肥満とはいえないそうですから、肥満って単に体重が多いということではないそうですね。
       
肥満にも、二種類あってお腹から上に脂肪がたまる上半身肥満と、腰から下に蓄積される下半身肥満があるとか。
下半身肥満が危険なのかと思っていたら、上半身の肥満の方が成人病になりやすいんだそうですねぇ。でも、ボクみたいに上下とも太っているのは、どちらでも同じなんですがね。
       
エヘッ、卑怯にも話をそらしてしまいますが、「同」って文字はズドーンとした筒型が象形文字のもとだそうですねぇ。
ええ、「木+同」で桐ですが、桐の幹は上から下まで、ズドーンとした筒型なのが「木+同」と書かれることになったらしい。
ボクなんか、上から下まで、ズドーンとした筒型だから、さしずめ人偏に「同」になるのかなぁ。
      
肥満って消費エネルギーを超えてエネルギー摂取するからなんでしょうが、肥満原因の95%は過食だそうですねぇ。それで、消費エネルギーを増やそうと、毎朝4キロは散歩しているんですがね。
ボクは、もともと甘い物が嫌いで、それにアルコールも下戸に近いので、もうあとは食事全体の量を減らすしか方法がないみたい。
肉類も少なくして、豆腐を食べてはいるんですがね。
それに、よく噛むほうなんですよ。ええ、日本人にはめずらしく、17,8回は噛みますね。
       
このよく噛む癖は、別に努力した結果ではありませんでしてね。
戦後餓え世代ですから、わずかの食料を効率よく摂取する哀れな幼年期からの生活習慣なんです。
だから、ざるソバを「ノド越し」で味わったことはありません。ええ、江戸っ子がソバをスルスルっと呑み込んでいるのを観察して驚嘆しています。
そんなですから、長じてのち人と会食することになると、周りの人達がボクが口の中でモグモグと噛むのをみて異様に感じるらしい。ええ、それほど何回も噛みますねぇ。
日本人の食べ方は、数回噛んだら呑み込むでしょう? ボクにはあれができない。
それに、口の中に前に入れた物が残っているのに、さらにその上へ頬張るでしょう。
あれも、できない。
         
救いは最近、「良く噛むのが健康にいい」なんて言う健康屋がテレビにでてくることですねぇ。
でも、イギリスの研究によると噛みすぎて食物をボーラス状にしてしまうのは、むしろ消化に悪いそうですねぇ。
まあ、戦後餓え時代の経験は、良く噛む癖にはなっているけど、食べ物をモッタイナイとばかりに、全部食べてしまう後遺症も残しています。
アーアー、食い過ぎはなおりそうにもないなぁ。それに桐型ズン胴もね。