イソップの宙返り・92
               
遭難者と海
遭難した人が、海のほうを見て、こう言いました。
「海は穏やかなようすをして、おびき寄せるが、迎え入れたあとで荒れ狂って滅ぼす」
って。
海の女神が現れて、こう言いました。
「私の生まれつきは、このように穏やかなのに、風が突然襲いかかって、波立たせ荒れ狂わせるのダ」って。
寓意・不正行為に対しては、やった人ではなくやらせた黒幕をとがめるべきだ。
          ☆     ☆
14億円くすねた黒幕は、チリのアニータだったなんて今さらここでワメいても始まらないから、波の話でも聞いてもらおうっと。
神戸商船大学には、波の予報の専門家がいらっしゃいます。
まあ、これの知ったかぶりの受け売り。
         
アメリカへ行く船の航路で、どんな波が立つかの予報って大事なことなんですってね。
波が高いと、これを避けて迂回すると燃費は助かるし、航海時間もむしろ短縮されるらしい。
まあ、そうでしょうねぇ。
で、波浪の予報は省エネ、エコロジーから注視されているとか。
          
波浪には、太陽・月の引力によって生じる潮汐(ちょうせき)もあるけど、まあこれは予報を待たなくっても、わかるとして、問題は風によって引き起こされる重力波。
1秒から30秒の周期をもっているらしい。
風で波は立つけど、ズーッと風が吹いていても波は無制限に大きくなるものではなく、その風速に応じた波高になるものらしい。
            
波高って波の山から谷までの高さで何メートルとか言うんですってね。
これの計算式は、
  0.03×風速(m/s)2=波高(m) だとか。
まあ、海岸部では岸とか海底との摩擦で複雑なことになるらしいけど、今の話題は太平洋横断航路のはなしだから、割合単純。
             
だったら、気圧の等圧線を引いたら波浪の予想は出来ると思うけど、「割合単純」といっても、それほどは簡単ではないらしい。
地球の自転で生じている海流がありますわなぁ。
これが加わると、チョッと複雑になるでしょうねぇ。
それに、風が立てた波の大きさ、形状で風に抵抗ができるでしょうから、これでも風速は減速するでしょうしねぇ。
        
それに、風浪とうねり、波の重なりもありますから、まあそれほど単純ではないでしょうねぇ。
これは素人でもわかる。
           
で、波の観測もいりましょうねぇ。
外洋船では、今までも肉眼で視ての観測で航路選定がなされてきたとか。
航海する船の肉眼観測だけでは、情報が十分でないってことで、海底に固定された超音波発射機から海面に向けて超音波を発射して波の高さを測定するとか、深いところでは、これが使えないので海面に浮かべたブイの運動を加速度計で検出して無線で送ってくる方法とかの観測手段もあるらしい。
          
神戸商船大学で研究さているのは、人工衛星からのリモート・センシング(遠隔探査)による波浪観測で、これの精度が相当あがって、ほぼ実用化レベルに達しているらしいですね。
ところで、気象庁は、もう北西太平洋の波浪実況図と24時間先の波浪予想図はファクシミリ放送のサービスをしているらしい。
     
まあ、ボクらが海に行く場合にはテレビの天気予報で波高予想をみますが、これを見ないで海に行く人もあるっていいますね。
         
海の女神は、あんまりバカにしないほうがいいと思うよ。
エエ、カミさんをナメると、エライ目にあうよ!
74歳にもなって、嫁ハンに殴り殺された人もいたでしょう?
今や、「生きる知恵」を超えて「生きのびる知恵」。