イソップの宙返り・47
    
蟹とキツネ
蟹が海から上がってきて、浜辺で餌をあさっていました。
腹を空かせたキツネが駆けてきて捕まえてしまいました。
蟹は「当然の報いダ 海の者が陸の者になろうとしたんだから」と嘆きました。
寓意・本業を捨てて似合わないことに手を出す者は失敗する。
       
極東の凡俗といたしましては・・・
リストラ、希望退職募集なんてことから、「自分で商売でも始めるか?」なんて考えている人には、意気を阻喪させるような寓話ですみません。
独立して事業を始めるのは、難しいでしょうねぇ。
          
でも、ケッタッキー・フライドチキンのサンダースが事業を始めたのは60才になってからでしたかね。
それで連想するのは、リサイクル。
          
ボク達夫婦は震災で家財道具をすべて失いまして、急遽道具類を調達する必要に迫られました。
被災地から数駅離れた隣町に疎開していまして、近くに韓国人のリサイクル屋さんがありまして、この人には助けてもらいました。
まあ、例によって「韓国人なんて信用するナ」って周りの者達は言いましたが、信用が出来る人もあれば、できない人もあるのは日本人でも同じですよね。
         
その店を始めて覗いたのは被災後1ヶ月目でした。
店主曰く「新しいシステムキッチンを取り付けて1週間目に震災でマンションが壊れて、取り外し費用5万円掛かったのに、持っていくところがなくって困っている人がいるんよ」
で、ホイホイで、定価150万円の新品同様のシステムキッチンを保管と運送費込みで15万円で買っちゃった。今でも重宝しています。
洋服ダンスもサインの入った作家物が5万円。
これも、良かったよ。
恥ずかしながら、震災前の家具にはサインの入った作家物なんて無かったんですからね。
            
ちょっと収入があると、ボク達は人並みに骨董とも言えないほどのものを、ちょくちょく蒐めていまして、中古品にはアレルギーがあんまり無かったせいもあったんですがね。
       
「お宝」ほどの骨董ではなくても、唐木の家具は骨董屋から買っていましたもんね。
それに、唐木は目方で値がきまるんですよ。
そうですから、古い物は枯れて軽くなっているし、味わいも出ていて割安なんです。
特に、中国で雨ざらしになっていた物には良い物がありました。
象眼なんて、今はいい職人もなくなっていますからね。
組み立て直しには、それなりの手間賃がかかりますが。
              
今、リサイクルではブランド物が盛んですね。
以前から、死蔵されているブランド物のリサイクルは人助けだと思っていましたが、やっと盛んになりましたね。
        
リサイクルって言うと、パソコン。
パソコンは機能はどんどん増えるけど、マニアックになりすぎて、中高年層には扱いきれないんですよ。
中高年層でパソコンを始めた人は扱いきれなくなって死蔵している人が多い。
中高年で始める人のほとんどはインターネットを受信するだけでいいんですよ。
それに、マージャンゲームと囲碁将棋ができれば上々。
極端に言うと、打ち込むボードもいらないのよ。
        
誰か、それ一枚を入れると後は何にもしないで、自動的にインターネットが使えるようなCDを作ってよ。
それも、旧式で眠っている機械に使えるヤツをね。
ついでに、ボタンが4,5個しかついてないケータイ的なボードも用意してね。
人助けで、はやると思わない?
      
もっと希望を言えば、やって来て埃を被っている古いパソコンを出して、セットしてくれるサービスをしてくれるんなら、ボクの周りにはパソコン音痴がたんといますがね。
特に中古の1万円のヤツを持ってきて、これをしてくれるんなら、田舎にいる年寄りでもやってみたいのが沢山いるんだけどなぁ。
        
独立しての事業は、蟹が陸に上がるような慣れないのは難しいでしょうからね。