イソップの宙返り・39
      
ゼウス、プロメテウス、アテナとモーモス
ゼウス、プロメテウス、アテナの3神が、それぞれの物をこしらえました。
ゼウスが雄牛を、プロメテウスは人間を、アテナは家を創りました。
モーモスが、それぞれについてケチをつけました。
ゼウスには雄牛の眼は角の先につけないと、突くところが見えないから失敗だと、貶しました。
人間を創ったプロメテウスには、心を外から見えるところに創らなかったから失敗だと、貶しました。
家を造ったアテナには、引っ越しがしやすいように車輪をつけなかったのは失敗だと、くさしました。
ゼウスはモーモスのヤキモチに腹を立てて、オリュンポスから追放してしまいましたとサ。
寓意・絶対にケチをつけられないほど完璧なものはありえない。
       
極東の凡俗が考えまするに・・・
でもねぇ、プロメテウスさん、人間の心を外から見えるところに創ってほしかったですよ。
       
アラブの人達は、肩を抱いて眼をのぞき込みながら話をするでしょう。
あれは人の心がわかるようにしているんですってね。
不愉快だと、瞳孔って縮むものらしい。
で、話している相手の瞳孔が縮むと、すぐ話題を転じるようにしているとか。
        
日本では、相手の家族のこととか、私事を根ほり葉堀り聞くのがエチケットと心得ている人ってありますよね。
出かける時に近所の人に出会ったら、「どちらまで?」って訊かれますが、「ちょっと、そこまで」って決まり文句がありますが、私事を根ほり葉堀り聞かれる挨拶への返事の決まり文句はないのかなぁ。
           
ボクは能がないせいで「まあ、何とかやっています」なんて答えにもならない返事をしますが、これで話題をうち切ってくれない詮索好きっていますね。
特に女性には多い。
「お孫さん何人ですか?」なんて質問されて答えると、次は「何歳か、学校はどこか」になるでしょう。
うちのカミサンなんて人がいいから、道ばたで掴まって1時間も立ち話してくる事があるもんね。
その代わり、近所の情報を聞いてくるから便利なこともありますがねぇ。
でも、聞かんでもいい情報もありますよ。
向かいのご主人が失業中なんて、聞きたくない情報。
嫁さんにいじめられているかと思うと、出会っても、つい目を伏せてしまう。
あれ、彼にすれば、よけいに気がまわるだろうなぁ。
        
でも、人の噂話って聞きたがるのが人情みたいですね。
芸能界の情報なんて、雑誌とか、テレビの人気話題。
              
阿川ヤスコさんのエッセイを読むと、「こんな娘がいて、家の中のことをベラベラ喋られるとイヤだろうなぁ」って思いますね。
でも、ボクだって面白がって、阿川弘之の私事を読んでいるもんね。
         
あんまりひとのことを嗤えない。