ノイローゼ完治の実践技術、10.実践の為の知識 18.目次 9.「心のクセ」から応用した私の方法 11.個々の症状に対する具体的な対処法           

心の切り替えとは

 心を観察してみると、怒ってはいけない時に、積極的なエネルギーである怒りがおきてきた場合、つまり、ムッとした時など、誰でも、反射的に心を切り替えて、怒りを流しているのである。
 ことわざに「怒りがおきた時に百までかぞえなさい。それでもおさまらない時は、千までかぞえなさい」というのがある。これは、結果的には積極的エネルギーから噴出した怒りを、精神集中行為によって消滅させる手段としての一つの示唆といえる。
           

切り替え精神集中による心の変化

 切り替え精神集中をすることによって、心にどういう変化がおきるか?

@心の切り替えによって、今まで噴出していたエネルギーにブレーキがかかり、噴出が弱まる。

A精神集中することによって、全部のエネルギーが開放され、心は創造の喜びの感情で満たされる。つまり感情を行動に従わせることによって心はノイローゼ状態から快感の感情で満たされることになる。(正に意識によって支配できない感情を、行動によって支配するのである)

           

症状に対して誤った対応をした時

1症状が出始めた 
2少しづつ大きくなっていく
  3どうすればいいんだ。困ったな、
4アーア、とうとう心の中いっぱいノイロ一ぜ状態になってしまった。
          

切り替え精神集中の実践をしたとき

1症状が出始めた 
2直ちに切り替え精神集中行動を始めた(症状が相手にされないので大きくなれないや)
3精神集中行動をしているので、快の感情が大きくなっていく、(この時、心全体の心のエネルギーの質 が変化し創造の喜びの感情がわいてくる。) 
4心の中は、快の感情でいっばいになり、症状は消滅してしまった。
           

症状が少しでも出始めたら実践

 私がすすめるノイローゼ完治の方法は、症状が出た時に、心の切り替え精神集中を行うということである。
 対人恐怖の人は人に実際に会う時だけでなく、人と会うという予想だけで、もう予期症状が出始めてしまう人もいる。そういう人は、もうその時から実践をしなければならない。
 刃物恐怖の人は刃物を使っているときよリも刃物を使う以前に症状が出るというなら、もうその時から切り替え精神集中を行うのである。
 こうして症状が出るたびに、一つ一つ症状を消滅させてゆくのである。
         

マイナスの心からプラスの心への置き替え

 精神集中行動をして「快」の感情をつくり、「不快」の感情を消滅させてしまうということは、つまりマイナス状態からプラス状態への心の置き替えなのである。
 症状は出た時にソッポを向かれて相手にされなければ拡大せず、さらに精神集中行動で快の感情をつくられれば消滅してしまうしかないのである。

 よく忙しい時はノイローゼ症状が出ないといわれる。この方法はある意味では症状が出た時に精神集中行動をして最も忙しくするのである。
         

すべての感情が動いて症状が消滅

 人前に出て顔がこわばるという対人恐怖の症状が出ている時、手を洗い始めてやめられないという不潔恐怖の症状が出ている時、どちらも一部の感情だけが動いている状態なのだ、と言われれば、神経症を体験した人は、ああそうかと納得する人もいるだろう。
 しかし、では健康な状態はどんな状態なのであろうか。健康な状態とは、すべての感情が調和して、同時に動いている状態である。
 つまりすべての感情が同時に動き始めた時、神経症の症状は消滅しはじめるのである。正に真理は単純なのだ。そして症状が出るたび、精神集中行動をして、できるだけ早くすべての感情を動かし、能率的にノイローゼを治してゆこうというのがこの方法なのである。

1強迫行為の症状が出ている。2はからいの症状が出ていてる。

*一部(一つから三つくらい)の感情が動いている。

1仕事に熱中している。2趣味に没頭している

*十二種類くらいのすべての感情が同時に動いている(心のエネルギーが開放されている)、
*ー部の感情が動いている状態からすべての感情が動いている状態になった時、ノイローゼ症状は消滅する。
 はからい癖のある人は、はからいを精神集中行動に切り替えるとマイナスがプラスに転換されるので効果が大きい。
            

内省力とドロ沼

 前に、心のエネルギーが場面場面によってプラスに働いたり、マイナスに働いたりすると述べたが、この神経質のエネルギーが、噴出した状態の時は不快な症状となってドロ沼にあえぐことになる。
 しかし、心のエネルギーが開放されれば内省カとなり、判断力も高まり、場面場面に適応した働きをするようになる。
            

易行門は昔の人々の知恵

 易行門(南無阿弥陀仏・南無妙法蓮華経)も、心がマイナス状態の時に行えば切り替え精神集中法と原理は全く固じなのである。
 心がマイナス状態になった時に、精神集中して念仏やお題目を唱えることによってプラスの状態にする。長い歴史を持つ専修念仏も、専修唱題も、心のエネルギーの開放という点からみて、充分根拠のあることなのである。
    

切り替え精神集中とはどんな行動かどんな行動をすればよいか

 心のクセ(神経症者にとっては症状が出た時)の噴出が始まった時は、その時にできる精神集中行為 をする。

たとえば、1本を読む。 2クイズを考える。 3看板や文字の書いてあるところを読む。 4景色の 中の樹木の数をかぞえる。 5心の中で数をかぞえる、祈る、念仏や題目を唱える、自己暗示をする。
 それらの精神集中行動によって、全部の心のエネルギーを同時に動かす。これが、心のエネルギーの 開放である。心のエネルギーを全体的にふくらませることによって心のクセを消滅させるのである。
             

目を使う精神集中

 プレッシャーがかかった時は、祈ることで充分であるが、かすかに出ている神経質症状に対しては、 心の中で祈ったり、数をかぞえたりすることより、目を使う精神集中の方が効果はある。
 私の経験からいうと、心を切り替えて、文字の書いてあるところを読む。(看板や車のナンバー、室 内でも文字の書いてあるところ)そして、文字のないところでは祈りや念仏、数をかぞえたりした。そ うすると、どうも文字の書いてあるところを読んだ行為の方が、心のエネルギーがよく開放されるような感じであった。
 自己暗示もよい。しかし、この場合は心の割れるような自己暗示をしてはいけない。祈り、念仏、ま た数をかぞえるなど心の割れる心配のない行為は安全である。
          

より強い精神集中行動がよい

 より強い精神集中を必要とする行為、行動が、より早く心のエネルギーを開放し、症状を消滅させる 。具体例として私の一つの体験を述べてみよう。
 小さな食堂へ入った時にカウンターの隅にすわった。目の前を見ると置き忘れたのか、手の届くとこ ろにナイフが置いてあった。その時、私の心にふとそのナイフで人を傷つけるのではないか、という恐 怖がはしった。
 私は、すぐに切り替え精神集中の要領で、近くにあったマンガの本を読み始めた。しかし、恐怖の感 情は、まだ完全には消滅していなかった。今度は週刊誌を読みはじめた。しかし、まだ恐怖感は残って いた。そこで週刊誌に載っていたクロスワードのクイズを始めた。そうすると、問題を解いているうち に、快い創造の喜びの感情とともに、恐怖の感情は消滅し安心が得られた。
 これは初期実践の頃の思い出であるが、この時の経験が後に非常に役だつことになった。
            

不眠症の克服について

 また、私は不眠症におちいることも時々ある。その時、数をかぞえても、祈っても自己暗示しても、 なかなか眠れない。それで、私はそういう時は、とにかくむずかしい本を読むことにしている。
 哲学の本でもよい。古典といわれる文学の本でもよい。数学の問題でもよい。そうすると心の流れを変えることができ、眠れるのである。
 より精神集中の必要のある行為ほど、より心の流れを変えることができ、心の支配をすることができ るということである。
        

一つ一つの症状に対してきちっと対応する

 具体的な一つ一つの症状に対して、その時できる具体的な方法で対応する。 たとえば視線恐怖の人が電車に乗っていたとしよう。そして症状が出てきたとする。そうしたらただちに心を切り替えて、精神集中を行うのである。
 電車の中にはいろんな広告がある。その広告を何度も読む。広告がなかったら心の中で数をかぞえる。神に祈る。つまり精神集中行動によって、心のエネルギーが開放されればよいわけである。
 (電車に乗っている時に、視線恐怖のある人は、クイズの本などを持っているのもよい。症状が出るたびに、その本を見てクイズを考えるのである。そうやって精神集中行動を行う。考えるということは、最も心のエネルギーを開放するからだ)
 卒倒恐怖のある人が、歩いていて症状が出てきたとしよう。ただちに周囲にある広告を何度も読む。広告がなかったら祈る。数をかぞえる。そうやって心のエネルギーを開放し、症状を消滅させるのである。
             

実践を積み重ねる

 精神集中行動とは、クセの流れを変え正しい回路に勢いよく流すことである。そしてこの行動を症状が出るたびにくりかえす。つまり一日に三回症状が出れば、三回実践ができる、そうすると、一力月に九十回、実践できるわけである。
 回数を重ねる毎に、症状は和らぎ、やがては治ることになる。