My Weekly Journal第2編集室国際軍事情勢極 東・軍 事 情 勢朝鮮半島
 

              朝 鮮 半 島   house5.114.2.jpg (1340 バイト)    wpeC.jpg (50407 バイト) 

 house5.114.2.jpg (1340 バイト)      wpe12.jpg (16005 バイト) wpeD.jpg (8229 バイト)  wpe69.jpg (27792 バイト)   wpe6B.jpg (8881 バイト)

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                         担当 : 大川 慶三郎

 wpe89.jpg (15483 バイト)INDEX                               wpe18.jpg (12931 バイト)           

No.1   朝鮮半島が緊迫の度を深めています 1999. 2.26
No.2  日韓新時代における、竹島問題      (参考/時事短評) 1999. 4. 3

 

                                            

                                              No.1      1999.2.26)

  朝鮮半島が緊迫の度を深めています

    プロローグ      wpe6A.jpg (45593 バイト)  

 

  南北のベトナムが統一され、東西のドイツが融合し、いよいよ南北朝鮮の統合が

動き出しているようです。朝鮮半島の38度線は、現在この地球上で唯一、100万

人単位の大軍事力が直接対峙している凍結戦線です。

  しかも、この朝鮮半島については、歴史的に日本が深くかかわっています。した

がって、統一に向けての積極的な支援と同時に、慎重な対応が必要です。しかし、

いずれにしても、この朝鮮半島問題では、日本が全面的にバックアップしていく責任

があります。また、特に、国交のない朝鮮半島北部においては、日本の戦後処理

は、いまだに手付かずの状態です。その地域の人々については、常に支援の手を

差し伸べていなければなりません。

 

  しかし一方、北朝鮮秘密工作員によると思われる、日本人拉致事件も多数あり、

いまだに解決の方向には動いていません。また、純・日本向け仕様と推察される

ポドン・1ミサイルも、2000年には実践配備が開始される雲行きです。むろん、標

的は日本の都市、自衛隊施設、在日米軍施設が想定されます。なお、命中精度を

考慮すれば、自衛隊施設や米軍施設、あるいは原子力発電施設等をピンポイント

攻撃するのは、難しいのではないでしょうか。

 

  このテポドン・1中距離ミサイルは、日本列島と在日米軍基地をすっぽりと射程半

径に収め、日本の戦略的動きを封じ込めるのが狙いのようです。つまり、朝鮮半島

有事の際、日本はこの数発か数十発のミサイルに脅されることになるわけです。弱

小国の、たかが数発のミサイルと思われるかも知れませんが、この軍事的・政治的

意味は計り知れないものがあります。また、アメリカにしても、在日米軍基地が押さ

えられるということは、極東アジア戦略に大きな狂いが生じてきます。

 

 東京、大阪、北九州...日本には、標的の大きな大人口密集地はいくらでもあり

ます。まず、平和ボケした日本では、一発どこかの農村にでも打ち込まれれば、国

中が大パニックに陥ります。しかも、確実に有効な迎撃システムというものがありま

せん。湾岸戦争で露見したように、イラクのスガッドBに対し、パトリオット・ミサイル

は、信頼に足る迎撃はできなかったのです。これは、高速で飛翔するミサイルを、空

中で補足し撃破することが、いかに困難かを示すものです。

 

  自衛隊も、このパトリオット・ミサイルを配備しています。このシステムは、テポド

ン・1ミサイルに対して無力とは思いませんが、全面的に頼るには程遠い状況のよ

うです。

  北朝鮮のミサイルは、数分から10分程度で日本に届きます。日本としては、そ

の間に、何とかこの高速で飛翔するミサイルを補足し、無力化しなければならない

わけです。いかにコンピューター時代とはいえ、これは至難の技です。

 

  戦略的に、北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃で叩くのは有効です。しかし、これ

は日本の専守防衛という基本政策に抵触します。また、戦闘爆撃機に、空中給油

装置がありません。つまり、先制攻撃しようと思っても、行って帰ってくるのに、燃料

がもたないという事です。

 何故、こんなバカなことになっているのかと言えば、隣の国まで行って爆撃などで

きないように、最初から空中給油装置が取り外されているからです。ここらあたり

が、専守防衛ということで、かって国会で与野党が激しく論戦したところです。

  しかし、私が素朴に思うには、空中給油システムが無いということは、戦闘機や

戦闘爆撃機の能力を半分以下にしてしまうことではないでしょうか。これは、隣国ま

で届くコンバット・ラジアルの問題としてよりも、日本の領空における滞空時間の問

題として重要なのです。その戦闘機の滞空能力を、自ら制限してしまっていたと

は...

 

 血税を注ぎ込んで調達した高価な防衛システムを、自国の国会論争で、ガラクタ

にして使用しているとはどういうことでしょうか。いったい、当時、真剣に国防を考え

て議論していたのでしょうか...

 

 

  (1) 北朝鮮のミサイル    

********************************************************

   対日本バージョンと言われるテポドン−1の仕様

********************************************************

 TaepoDong-1 Missile/(テポドン−1 ミサイル)

    全長: 25m  

    直径: 1.3m

    発射重量: 27,000kg

    ペイロード: 単弾頭/1,000kg

    射程: 2,000km

    液体燃料/慣性誘導方式/命中精度は不明

 

*********************************************************

   対アメリカ・バージョンと言われるテポドン−2の仕様

*********************************************************

 TaepoDong-2 Missile /(テポドン−2 ミサイル)

    全長: 32m  

    直径: 2.4m

    発射重量: 60.000kg

    ペイロード: 単弾頭/1,000kg

    射程: 3,500〜6,000km

    液体燃料/慣性誘導方式/命中精度は不明

 

                                

  対韓国向けのミサイルは、旧式のスガッドB改、スガッドC改が配備されていま

す。また、ノドン1号(射程1000km、ペイロード1000kg) もあります。なお、このノドンは、日

本の一部も射程に入ります。

                                

 

    したがって、IRBM(中距離弾道弾)のテポドン・1ミサイルは、まさに日本を標的

とする以外の用途は、当面考えられません。

 

 また、ICBM(大陸間弾道弾)のテポドン・2ミサイルは、38度線を挟んで敵対する

アメリカ軍の本土を標的とする以外は、当面考えられません。

 

  実際、アメリカは巡航ミサイルをはじめとして、ハリネズミのように各種ミサイルを

北朝鮮に向けています。しかし、北朝鮮から2、3本の針が自分の方に向けられる

と、非常に危険だと感じるわけです。しかし...こうした矛盾は、常に付きまといま

す。ただ、アメリカは唯一の超大国であり、この形で今の国際社会は安定していま

す。日本もまた、この現体制のトップレベルの支持国であり、かつ現体制下で、経済

発展と平和を享受しているわけです。

 

  しかし一方、北朝鮮はいったい何故、何もしていない日本に対し、中距離弾道弾

を配備しようというのでしょうか。アメリカも日本も韓国も、北朝鮮に原発を建設し、

食料を支援し、人道援助を与え...

 が、そのお返しとして、 Missile が飛んで来るとは...何処で、何が、どう間違って

いるのか...日本で戦争反対をお題目のように叫んでいる人達にも、是非一考し

てもらいたい課題です。

 このような危機が、まさに今、実際にこの日本にあるのです。ただ戦争反対と言っ

ているだけでは、平和は保てません。こちらが無防備で戦争をする気が無くても、一

方的に対日本仕様のミサイルを配備し、脅しをかけてくる国家があるのです。

 

 繰り返しますが、この軍事的・政治的プレッシャーは、想像以上のものがありま

す。しかも、これに核弾頭が搭載されることにでもなれば、日本の国防システムは

再構築を迫られる事態になります。

 

 

  (2) 北朝鮮の核施設への爆撃はあるのか 

 

  さて、いったい北朝鮮は、何を考えているのでしょうか。また、アメリカは、韓国

は、どう考えているのでしょうか。世紀末の濃密な時間が、刻一刻と推移していま

す。

 

  ここで思い出すのは、サダム・フセイン体制下のイラクで、危険な核施設が見つ

かった時、イスラエルがすかさずピンポイント爆撃を敢行したことです。私は、テレビ

のニュースで見たのですが、たしか、F−16戦闘爆撃機で、2度出撃したように記

憶しています。そして、ほぼ完全に、目標の核施設を破壊しています。

 

  この、サダム・フセイン体制下のイラク以上に危険と言われる現在に北朝鮮に対

し、危険な核施設への先制的な爆撃はあるのでしょうか。北朝鮮側の今後の出方

次第で、その可能性は非常に濃厚なものになります。当面、その能力を持っている

のはアメリカだけですが、そこでいっきに38度線に火がつく可能性もあります。

  しかし、手をこまねいて放置しておけば、北朝鮮はIRBM(中距離弾道弾)と

ICBM(大陸間弾道弾)をより確かなものとし、やがて核弾頭をも手中に収めます。

こうなった場合、日本はどのようにして、北朝鮮の核弾頭ミサイルを抑止したらいい

のでしょうか。

 

  歴史的に見て、核弾頭を抑止できたのは、核弾頭で対抗する力の均衡のみでし

た。これは、最近のインドとパキスタンのケースでも同じです。しかし、日本がこれに

対抗して核弾頭ミサイルを開発するなどは、まさに寝耳に水の話です。むろん、こん

なことは絶対にあってはいけません。では、北朝鮮の核弾頭ミサイルの開発がこの

まま進行したら、日本はどうしたらいいのでしょうか。

 

  とりあえず、日米共同開発で、TMD(Theater Missile Defense: 戦域ミサイル防衛)システムを

構築していくのも1つの手段です。しかし、これも配備には多少の時間がかかりま

す。早くて、3年から6年ぐらいでしょうか...

  では、とりあえず、現下の危機に対し、日本はどうしたらいいのでしょうか。これま

で日本の政治や行政が行ってきた、危機に対する本質的な甘さが、ここでもまた露

呈した観があります。

 

 しかし、北朝鮮がこのまま査察を拒否すれば、次の手段は巡航ミサイルによる破

壊ということになるのでしょうか...それとも、より正確に、ハイテク兵器による爆撃

ということになるのでしょうか... しかし、気がかりは、そのリアクションです。38

度線に火がつけば、朝鮮半島はたちまち火の海になり、焦土と化してしまいます。

そうなれば、日本も当然この戦争に巻き込まれます。テポドンが実戦配備されてい

ない段階でも、射程1000kmのノドン・ミサイルが飛んでくる可能性は十分にありま

す。さらに、大勢の難民が船で押し寄せてくるでしょうし、日本国内でゲリラ戦や諜

報戦が活発化します。こうなると、当然、自衛隊のデフェンス・コンディション(デフコ

ン)が跳ね上がります。デフコン・4/防衛出動待機体制に突入するわけです。

 

 

    (3) 万難を排し、民族の悲願を  

 

  非常に難しい選択が、刻一刻と迫っています。北朝鮮は今後、どのように事態を

展開させていくつもりなのでしょうか。唯一望むのは、あのベルリンの壁を、ハンマ

ーで壊し始めた時の、感動的な風景です。

 

  いったい、あのベルリンの壁は何だったのか...

        そして、その同じ壁が、

      朝鮮半島の38度線にあります

          今、世界は固唾をのんで見守っています...

 

*********************************************************

  この最も難しい時期に、韓国が老練な金大中大統領を得たことは、朝鮮半島

の1つの明るい要素と、私は見ています。

 

  コンピューターの2000年問題で、双方の兵器システムに誤作動が起こる可能

性があります。この種の愚は、絶対に避けなければなりません。誤作動による偶

発的事故に備えて、強力なホットラインが開設されていればよいのですが...

        ********************************************************