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               《Twitter Story》
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  トップページHot SpotMenu最新のアップロード                            小説工房・担当 : 中西 卓

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No.1  ツイッター小説を始めました            ・・・《小説工房》/中西 卓 2010. 4. 1 
No.2    スケバンの番長を依頼されてました      ・・・ 《クラブ須弥山》/千春 2010. 4. 1
No.3  止水庵の宵闇                   ・・・《ボスの展望台》/ボス 2010. 4.13 
No.4   軽井沢に集合=“生体ウエアー”の考察を    ・・・ 【茜・新理論研究所】 2010. 5.30
No.5  東日本大震災/原発・レベル7            ・・・ 《危機管理センター》 2011. 4.11
No.6    

 

No.1   2010. 4. 1 
        

 

    ツイッター小説を始めました      

                           ・・・・・《小説工房》/中西 卓

                     index.1101.jpg (2487 バイト)  

小説工房》・担当/中西卓です....

  2010年4月1日から、ツイッターを始めました。と言っても、ツイッタ

ー小説です。どんなものになるか分かりませんが、よろしくお願いしま

す。

  日頃は、ホームページのバックグラウンドにいるので、あまり表面に

出ることもないのですが、企画担当響子さんから、ツイッター小説

立ち上げ、管理するように託されました。

  まずは、とりあえず、ブラリと歩き始めてみます...」 

 

 

 
No.2   2010. 4. 1
 

 

   スケバンの番長を依頼されてました  

                           ・・・・・ 《クラブ須弥山》/千春


          

 
「それで...?」弥生が、細くタバコの煙を吐いて聞いた。

「うん...」千春も、カウンターに両肘を立てた。「《セリアック病》のペ

ージでさ、高校時代はスケバン(女子のツッパリ)だって言ったら...ネット

系の番長を頼まれたのよ。 名前だけでいいからって...」

「ふーん...」弥生が、口をすぼめ、微笑を浮かべた。「若いわね、」

「そこに...後輩もいるしさ...どうしてもと言うんだけど...」

「名前だけなら、いいんじゃない...面白そうだし。力になるわよ」

「あ、はい...」千春が、ニッコリうなづいた。「ここに、アドレスを置い

ていいかしら?」 

「かまわないわよ。お客も増えそうだし、」

「サンキュー、」千春が、両手を握って立ち上がった。「あ、ブラッキー、

よろしくね、」

「オウ...」ブラッキーが言った。「ガンバレ!」

「うん!」

 

 

 
No.3

 

2010. 4.13 
  















 



















  
































 





















 


























































 


















































   









  

 

   止水庵の宵闇 (よいやみ/・・・夕闇)   

                            ・・・・・《ボス(岡田)の展望台》

            

 

  ボスは、3日間の予定で、止水庵(しすいあん)に逗留ていた。

 

  止水庵は、清安寺境内/南西端の谷地にあった。清流が流れ込み、

水が豊かで、野鳥の集まる静かな池のほとりにある。

  かつて清安寺が盛んだった頃、病を得た住職が隠居のために建てた

(いおり)と言われる。その後、いつの頃からか廃屋と化していた。そ

れを、5年前、ボスが清安寺の僧坊の古材と屋根瓦を使い、建て直して

いた。

  周囲も整地し、山の樹木も移植し、畑にもクワを入れた。その時、唯

一新調したものは、池に突き出した築山(つきやま)の、石灯籠(いしどうろう)

だけである。

  止水庵の名も、その時に付けられている。“明鏡止水(『荘子』/出典)

から拝借したものだ。水の豊かな地で、そのような境地でありたいと願

い、ボス自身が庵の名にしたものである。

  今...人生の旅の途上であるが...その境地を体現できているかど

うか...ただ、懐かしいばかりである。ともかく、時代を反映し、彼自身

としても、忙しい執筆の日々が続いている...

 

         

  その止水庵に...宵闇が迫っていた...

  月のない、生温かい春の宵である。池の暗い水面が、かすかに空の

明かりを映している。山桜もチラホラ咲き、山が笑うがごとく、樹木の芽

吹きが始まっている。夕暮れの薄闇の中でも、その春の山の体臭が感

じられる。

 

  ボスの心の中で...穏やかに、濃密な時が流れて行く...過不足の

ないリアリティー世界で...事象・シンボルが流れ...ストーリイが、静

かに紡(つむ)がれて行くのが分かる...

 

  主体である認識の鏡に...真実が結晶化し...歌い、集い...再

び波動関数の闇に...余韻を残しつつ、消えて行く...

 

  眼前する迫真/リアリティー...内外打成一片(ないげだじょういっぺん/・・・

内と外が表裏一体の1片であること/・・・禅的境地)の結晶世界...その相互主体的

な、唯心世界が...無数の泡のごとく湧き立ち、再び闇に消えて行く。

その...一瞬の幻(まぼろし)の世界...

 

  夢のまた夢...その無数の断片が...言語的・亜空間に成立する、

共同意識/文明の座標に、刻印されていく...それを補助する道具/

芸術/情報機材は別として...その本体/共同意識体は...何故、

形成されて行くのか...

 

  一体、誰が...こんな不可思議な世界を、創出したのであろうか...

この世/この世界の存在そのものが...最大のミステリーであろう...

 

  確率論的に、ゼロに近い偶然の産物で...このようなシステムが創

出されることはあるまい...そこには、意識/意志が...明確に存在

しているのを感じるからだ...では、しかし...この世界を構成/創出

したのは...一体、何者なのだろうか...

 

  我/主体は...そもそも...突然、ここに存在し、覚醒している...

すでに、過去形で、ここに出現していた...この我/主体とは、一体、

何者なのだろうか...まさに、尽きることのない...深い謎/深い闇で

ある...

   

       

  風のない静かな宵闇に、かすかな温かい気配が動く。ポン助だと分

かる。ボスが、止水庵に逗留している間は、ポン助がその世話に当たっ

ていた。

 

「止水様...」奥の方で、ポン助の小さな声がする。

「うむ...」ボスが、かすかに腹から声を出す。

  スーッ、と障子が開く音する。ポン助が入ってくる気配が満ちた。

「焼き芋を...」ポン助が言った。「お持ちしました」

「御苦労...」

「灯籠に...灯を入れましょうか?」

「うむ...そうしてくれ...」

「はい...温かい夜だよな...」

「そうだな...」

 

  ポン助が、茶と石焼き芋を入れた盆を残し、障子を閉めた。焼き芋は

温かく、斜めに包丁が入れてあった。ほどなく、池に突き出した築山の

石灯籠に、灯がともった。ほのぼのと赤い、小さな灯だ。

  ボスは、石焼き芋を2つに割って食べた。それを口に運びながら、石

灯籠の灯に浮かび上がってくる、黒い水面を眺めた。やがて、小さな灯

が、まわりの闇を赤々と照らし出して行くようになる...

 

「...“明鏡止水”...」ボスが、つぶやく...

  ボスは、その言葉の意味を眺めつつ、黒い水面を見ていた。そして、

やがて、黒い山のシルエットを見上げた。

 

  さて...私...この主体であるが...何処まで、流れて行くのだろう

か...いつ...この主体が生まれたか、私は知らない...

  それゆえ、いつ終わるかも...私は、知ることがないのだろうか...

この、私とは...この世とは...結局...何だったのか...

 

「ふーむ...」ボスが、低い声をもらした。

 

  ボスの声に呼応するように、庭先の闇で猫のなき声がした。ボスは、

そっちに目を向けた。が、暗くて何も見えない。そのあたりは、すでに夕

闇が、夜の闇に溶け込んでいた...

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No.4   2010. 5.30
 

 

    軽井沢に集合/生体ウエアーの考察を   

                           
・・・・・・ 【茜・新理論研究所】


     

 

  ブラッキーの操縦するヘリは、雨上がりの山々を眼下に見下ろし、北

上していた。ボウボウと濡れそぼった、春の大地が流れ去っていく。明る

い雲の下で、いつものように、碓氷峠と浅間山が視界に入ってきた。

  山の新緑が鮮やかだ。その中に、箱庭のようなゴルフ場がある。車が

流れているのは、軽井沢へ入る高速道路だ。碓氷峠をトンネルで抜け、

軽井沢に入っている。

 

  ブラッキーが、肩を回し、後ろを見た。定期便には珍しく、客が2人乗っ

ている。《危機管理センター》里中響子と、 シンクタンク=赤い

彗星/心理学・担当綾部沙織だ。

  綾部沙織の方は、学生時代以来、15年ぶりの里帰りだということだ。

島崎藤村の詩にある、小諸の近く/千曲川のほとりで、少女時代を過ご

したという。

  ハイパー・リンク・ゲートを使えば、一瞬で軽井沢基地へ移動できるも

のを、今日は何の気まぐれか、ヘリに乗り込んで来たのだ。が、ブラッキ

ーにとっては、どっちでもいいことだった。

  ヘリの中は意外と寒く、2人ともスカーフを首に巻き、手袋を用意してい

た。ブラッキーが、事前に注意しておいたのだ。それで、響子は、温かい

コーヒーや、手作り弁当や、バナナまで持ち込み、さながらピクニックだっ

た。

  ブラッキーは、いつものように、ハンバーガーだ...それを齧りながら、

ヘリの操縦を握った。ただ、今日はカントリー・ミュージックはひかえ、ボ

リュームを落とし、映画音楽のサウンドトラックを流した。

 

      

  響子が、かすかに振動する窓から、外を眺めていた。 ヘリの振動やロ

ーター(回転子)の音は、さほど気にならない。が、ヒーターを入れていない

ので、寒かった。

「落葉松(カラマツ)の新緑が...」響子が言った。「きれいな頃ですわ、」

「はい...」沙織が、二杯めのコーヒーを飲みながら、目を細めてうなづ

いた。

「山菜摘みに、」響子が言った。「山に入るのが楽しみですわ。御一緒で

きればいいのに、」

  沙織が、笑みを作って、静かにうなづいた。

「でも...幼馴染が待っていますから、」

「それも、お楽しみね...」

「はい。もう、ずいぶんと変わっていると思いますわ...」沙織が、柔和な

顔で、浅間山の方の山波を眺めた。


         

 
  高速道路を超えると、ブラッキーは、いつものように高度を下げはじめ

た。鮮やかな新緑を身近に、ヘリは緩いカーブを切って行く。軽井沢の街

並みがあり、落葉松の樹木が見えた。

  基地ヘリポートに降下して行くと、秋月茜が芝生の中に出てきた。手を

振った。テラスの方から、堀内秀雄も出てきた。2人は、ハイパーリンク・

ゲートで、一足先に軽井沢基地に入っていたのだ。

  着陸すると、周囲の枯草や落ち葉が舞い上がった。響子が、ローター

の風の下に出た。紙袋を下げ、ショルダーバッグを肘で押さえ、帽子を手

で押さえた。沙織も、リックサックを背負い、両手に荷物を持ち、響子に続

いた。

       

「空の旅は、どうでしたか!」茜が、響子の紙袋を取って言った。

「寒かったわね!」響子が言った。

「沙織さん、ようこそ!」茜が、沙織の荷物も取ろうとした。

「重いですよ!」沙織が、言った。

  その重い荷物を、堀内が駆け寄って、引き取った。

「幼馴染への、お土産ですわ!」沙織が言った。

「ほう...」堀内が、歩き出しながら言った。

  ローターの風から離れると、響子がヘリを振り返った。ブラッキーに手

を上げた。

 

「で...」響子が、テラスの方へ歩きながら、茜に言った。「“生体ウエア

ー”について...いくらか、考察は進んだのかしら?」

「やはり...」茜が言った。「生体についての、専門知識が必要ですわ。

アンか、外山さんを、呼んだ方がよくはないかしら?」

「ええ...」響子が、雑木林の方を眺め、畑を眺め、二階の窓を見上げ

た。「“ハードウェアー”“ソフトウェアー”の、視点からの考察というこ

とでしたが...

  “生体ウエアー”について...茜さんが、必要というのであれば、呼び

ましょう...でも、2人とも、お忙しそうですし、」

「山菜摘みということで...」茜が、ウインクした。「アンを、誘いましょう

か?」

「ふふ...そうですね、」響子が、楽しそうにうなづいた。スキップするよ

うに、芝生からテラスに上がった。「さあ、夕食は、何にしましょうか?」

 

 ブラッキーが、ヘリからコンテナを下しながら、空見上げた。カラマツ林

の向こうで空が割れ、青空が見えだしていた。

         

  






   

 

   


   

  








   































  
 
  

 





  
      
 
















  



  




  



 
  

  

 














  



   



   







   



   
   












































No.5   2011. 4.11 
 

 

  東日本大震災/原発・レベル7  

                            ・・・・・ 《危機管理センター》

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「もらうね...」マチコが言って、満開に咲いた山桜の枝先を、パチンと剪

定鋏(せんていはさみ)で切った。3本切り取った。

「さ、行こうか...」マチコが、青空を見ているミミちゃんに言った。

「うん...」ミミちゃんが言った。ミミちゃんは、草原の空で円を描いている

トンビを見ていた。

  マチコが、採った山桜の枝をヘリコ君の中に入れ、自分も乗り込んだ。

ミミちゃんが、シートの上に跳び乗った。

「菜の花はいいですか?」ヘリコ君が聞く。

「うーん...桜だけでいいわね」

「はい!それじゃ、基地へ帰ります」

「うん。《危機管理センター》の前に降りてね」

「はい!」ヘリコ君が、ドアのロックをかけた。

  ウイーンとエンジンの出力が上がった。フワリと浮き上がった。草原に

若葉が芽吹き、春の陽光が散っていた。ミミちゃんはトンビの姿を探して

いたが、いつの間にかいなくなっていた。

  ヘリコ君は、ひとっ飛びで草原を渡った。《航空・宇宙基地/赤い稲

妻》の、滑走路と航空管制塔が見えてきた。3階の《赤い彗星・ビル》

見え、その陰に《危機管理センター》も見えてきた。

        

  《危機管理センター》には、相変わらず何人も集まっていた。高杉・塾

津田・編集長軍事担当/大川慶三郎、それに資源・エネルギー

担当堀内秀雄、原発の施設に詳しい設計技師/竹内建造の姿も見

えた。それに厨川アンが、椅子に掛けてキイボードを打ち込んでいた。

「あ...」響子が言った。微笑を浮かべて歩いて来た。「ごくろうさま...

こっちにいただくわ...」

「うん...」マチコが、桜の枝を手渡した。

      

  マチコも、メイン・スクリーンの方へ歩いた。マグニチュード9.0巨大

地震から1か月が過ぎ、“原発・災害”新たな事態に移行していた。

   “事故の国際評価尺度/レベル5”が、“レベル7”に引き上げられて

いた。これは、史上最大の、旧・ソ連“チェルノブイリ原発事故”同レベ

だった。

「しかし...」と、堀内が言った。「この非常時に置いて...全ての組織

チグハグですねえ...いったい、何が悪いのでしょうか?」

東京電力も...」竹内健三が、ヘルメットを脇に抱えて言った。「打つ手

が、何故か、後手後手に回っていますねえ...“典型的な兵力の小出し

による消耗”ですなあ...おう!マチコさんか、久しぶりだな!」

「お久しぶりです!」マチコが、頭を下げた。

  

 

 
     

 

                     

 

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