「“国際軍事情勢”担当の、大川慶三郎です...
津田・編集長、アメリカで大変なテロが勃発しました。全米の全ての航空機が、完
全にストップしたままです」
「はい。旅客機をハイジャックし、それを人が密集している超高層ビルに叩きつけると
は、まさに言語に絶する犯罪です!」
「私も、言葉を失いました!」
「旅客機には、子供や女性や、お年寄り、まさに様々な人々が乗っていたのでしょう。
その無関係な人々を乗せた一般旅客機を、爆弾として国家中枢に叩きつけるとは、
まさに言語道断です!」
大川は、壁面スクリーンに映し出された、貿易センタービルが轟沈して行く映像を
見つめた。
「そうまでして、彼等は、何を主張したかったのでしょうか...?」大川は、タバコを
くわえ、ライターで火をつけた。「他に、方法はなかったのでしょうか...?」
「さあ...」津田が言った。「いずれにしても...
こんな手段は、人類社会の中では、絶対に通用しないということを、しっかりと確
認しておくことが必要です。人間として、人類として、絶対に許されない行為です!」
「そうです...」大川が、煙草を灰皿に置いた。「とりあえず、犠牲となられた方々
の、ご冥福をお祈りしましょう...」
「うーむ...」津田が、うなづいた。