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        巨大地下都市 へのシフト

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード             担当 : 堀内 秀雄 / 白石 夏美

  wpe89.jpg (15483 バイト) INDEX                          house5.114.2.jpg (1340 バイト) <ゲスト/高杉 光一>  <ミミちゃん、チーコちゃん>

プロローグ   2000.7.26 
No.1  <1> 循環型・巨大地下都市のメリット 2000.8.11
No.2 ポン助のビヤガーデン 2000.8.11
No.3  <2> 地下都市建設の立地条件 2000.8.11

  

                                                                    ( 2000.7.26 )

 プロローグ            index.1102.1.jpg (3137 バイト) (白石 夏美) house5.114.2.jpg (1340 バイト)   

 

 

「暑い日が続いています。お元気でしょうか、白石夏美です。

  さて、もうあとほんの数ヶ月で、21世紀に突入です。いったい私たちは、将来も現

在のままの文明形態を続けて行くことができるのでしょうか。世界中で高速道路を建

設し、大自然の原野をビルの林立に変え...さらに、空港、ゴルフ場、ダム建設と、

止まる所を知りません...地球生態系は今や、人類の爆発的な増加と、その機械

文明による環境破壊にあえいでいます。

  目先の経済原理に後押しされ、このまま現在の文明形態を推し進めていけば、地

球生態系は21世紀の半ばには、沈没してしまうかも知れません。

  うーん、沈没とは、どのようなことかとは、一概に言えません。でも、まず考えられ

るのは、地球規模の気候の変動期と重なってくるということです。このケースでは、

常気象が多発し、それが地球規模で荒れ狂うことが予想されます。

  異常気象による凶作は、たった数年間続くだけで、地球生態系はたちまち食糧危

機の時代に突入します。そしておそらく、飢餓によって、世界人口の激減が予想され

ます。何故なら、飢餓はただ飢えるだけではないからです。それと同時に、インフル

エンザのような世界規模の疫病がやってくると考えるべきです。また、これまで文明

の力や健康体によって排除されていた日和見的な病原菌が、免疫力や抵抗力の低

下した人類社会に、一気に襲い掛かってくると考えるべきです。

 

  私たちは、今や、核戦争地域紛争よりも確実にやってくる、地球生態系の危機

にこそ、人類の英知を振り絞るべき所まで来ています。いったい、この地球環境をど

のように守り、どの方向へ導いて行ったら良いのでしょうか。

 

  むろん、CO2 管理や温暖化防止程度では、この地球生態系は守りきれません。

もっと抜本的な地球生態系との対話、全人類が一丸となった巨大なビジョンが必要と

なってきます。

 

  そこで、議論の叩き台として、高杉光一・塾長が提案していた、

 

    循環型・巨大地下都市空間へのシフト

            環境・資源・エネルギー /温室効果ガス経済成長可能な、温室効果ガス・コントロール

                                    <2> アリの巣に学ぶ、新しい人類文明の形態

について、もう一度詳しく考察してみようと思います。まず、以下に、その全文を再度

掲載しておきます。

 

*************************************<再度掲載>

<2> アリの巣に学ぶ、新しい人類文明の形態  house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 

「複雑系の中で、我々に予期せぬ事態も考えられるわけです」堀内が言っ

た。「この数値は尊重すべきだと思いますね。大気中のCO濃度、

550ppm...しかし、そのためには人類社会のエネルギー・システム全

体を変えなければならないかも知れません」

「うむ。それが必要だというのなら、やらなければならんだろうね...」高杉

は言った。「私はボス(=岡田)の書いた小説 人間原理空間(このホームページのタ

イトルにもなっています。第2ホームページの方に掲載してあります)を読んでいて思ったのだが、あの

宇宙空間の巨大人工島“フロイ”のように、

 

  居住空間のほとんど全てを、地下に置くべきではないかと思う。地上は

大自然の原野のまま残せたら理想的だと思うね。もちろん、スポーツ施設

や、レジャー施設、農業施設等は大いに地上に作ればいい。

 

...あれはどうですか、堀内さん?」

「ええ、」堀内は、二度うなづいた。「私も、あの巨大人工島“フロイ”のシス

テムが、地で出来たらすばらしいと思いますね。まさに、理想的です。

ただ、あれは宇宙空間に浮かぶ、巨大人工島だから出来たシステムで

しょう」

「ボスから聞いたのですが、地球上であれを実現するとしたら、アリの巣

学べばいいんだそうです。もともと、それがヒントだったと言ってました。ま

ず、全ての居スペースを地下に移し、コンパクトにすることです。そうす

れば、冷暖房のエネルギーは押さえられますし、移動や輸送にかかるエネ

ルギーも押さえられます。光は、集光ミラーと光ファイバーで、地上から持

ってこられるでしょう。しかも、地上の大自然は最大限に残せます。また、

直上の地上へ出れば、大自然は十分に満喫できるわけです」

「うーん...ハイウェイは残すのでしょうか?」夏美が聞いた。

「理想を言えば、無い方がいい」高杉は言った。「

 

  独立性の高い、それぞれ特色のある、高機能な巨大地下都市が点在し

ているのがいいと思う。そして、通常はその都市空間の中で生活すべきだ

と思う。都市の規模としては、数十万人がいいのか、数万の単位が連合し

て、数百万人にするのか...

 

いずれにしても、実現するのであれば、本格的な研究が必要になる...」

「うーん...もし、こうした文明形態が実現できれば、人類文明はさらに

2000年は安泰かもしれませんね」堀内が言った。「もちろん、海洋や、宇

宙空間への展開もあるわけですから、」

「ええ。ともかく、アリの巣というものを、広域的にしっかりと研究してみるべ

きだと思います。コンパクトにまとまった、循環型・巨大地下都市空間

へのシフト、そして一方では、熱帯のジャングルや温帯域の原生林も残す

べきです。できる限り多く、」

「21世紀には、このような実験都市ができてくるのでしょうか?」夏美が聞

いた。

「そうだな...まず、実験都市のようなものができるのかも知れんな。それ

にしても、未曾有の巨大施設の建設になる...」

 

*************************************

 

「さあ...この コンパクトにまとまった、循環型・巨大地下都市空間へのシフト

いう構想について、私たち3人で、新たにもう少し詳しく考察していきます。そのため

に、高杉・塾長にも再び来ていただきました。どうぞ、ご期待ください」

「高杉さん、よろしくお願いします、」堀内が言った。

「ええ、こういう企画なら、いつでも呼んでください」高杉は、椅子を引いてドッカリと

腰を落とした。それから、大容量パソコンの準備をしている、ミミちゃんとチーコちゃん

たちの方を眺めた。

「あの、塾長。今回は休憩に生ビールを用意しますわ」

「おう、そいつは楽しみだ!」高杉は、肩を回し、満面に笑みを浮かべた。

「ポンちゃんとP公が運んできてくれます」

「うーむ...みんな一生懸命やっているようだな、」

「ミミちゃん、チーコちゃん...準備はいいかしら?」

「うん!」ミミちゃんの後姿が答えた。

「はーい!」チーコちゃんが、振り返って言った。

 

             house5.114.2.jpg (1340 バイト)wpe89.jpg (15483 バイト) wpeA6.jpg (14454 バイト)  wpe7D.jpg (18556 バイト)  house5.114.2.jpg (1340 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)      

 

 <1> 循環型・巨大地下都市のメリット wpeB.jpg (27677 バイト)

 

「さて、それでは高杉さん、」テーブルをはさんで堀内が、言った。「細かな話に入る前

に、なぜ地下都市がいいのか、そのあたりのメリットを、具体的に話していただけま

せんか」

「そうですね...まず、人類全体が、循環型・巨大地下都市に移行すると仮定して

話します。この循環型と言うのは、都市のあらゆる資源が、うまく循環してリサイクル

されていくシステムを言います」

「はい、」

「まず、循環型・巨大地下都市...それがある種のアリの巣のような、巨大地下都

市となると、きわめてコンパクトに圧縮された形の高機能空間になります...詳しく

は、後で考察します」

  堀内は、黙ってうなづいた。

「こうした、地下都市の大雑把なメリットとしては...<第1>に、土の中は1年を通

して、温度が非常に安定しているということです。これはいわば、冷房と暖房のエネ

ギーがほとんどいらない、という事を意味しています。また、昼の光は集光ミラーと

光ファイバーで、地上から簡単に供給できます。したがって、その他の電力も、クリー

ンエネルギーで十分カバーできるものと考えます。むろん、地下都市はコンパクトな

高機能空間であり、こうした意味からも、エネルギー効率はきわめて良好になりま

す。また、これは基盤的な社会形態の分野になりますが、重工業的なエネルギー消

費も、最小限になるものと考えています」

「うーむ...クリーンエネルギーで十分まかなえますか、」

「可能だと思いますね。そうした意味では、この生態系の他の動植物と同じレベルに

なれるわけです...これは、非常に魅力的な水準ではないでしょうか」

「いいですねえ、」堀内は、腕組みしてうなづいた。「考えてみれば、他の生物は、皆

そうしているわけですから、」

「そういうことです。それから、 <第2>のメリットは、このような地下都市空間では、

最初から車社会を想定していないということです。個人的機動力としては、自転車

レベルに限定すべきでだと思います。もちろん、人工都市ですから平坦ですし、上下

移動にはエレベーターを使います。また、一般的交通手段としては、リニアモーター

カーのようなものになるでしょうか。それと、輸送チューブと、エネルギーチューブ...

地上に展開する農業施設やレジャー施設も、これに準ずるということになりますか

ね...これらの地上風景についても、後で詳しく考察していきます。

  いずれにしても、基本的には、この巨大地下都市を中心とした生活になります。し

たがって、この高機能空間の内部では、無意味な長距離移動は、本質的に無くなり

ます。長距離の移動を楽しみたいなら、地上の原野をハイキングするか、サイクリン

グすればいいでしょう。個人機動力のエンジンや、モーターによるレジャーやスポーツ

などというものは、本来傲慢であり、20世紀にのみ花開いた贅沢だったと考えるべ

きですね」

「人口の規模はどうでしょうか?」

「数十万人規模の地下都市が集合して、数百万人ぐらいが1つの社会活動の単位で

しょうか...」

「このあたりは、アーバン・プランナー(都市設計者)の具体的な研究課題になりますか、」

「そうですね、」高杉はうなづいた。「さて、メリットの <第3>ですが...これは、独

立性の高い地下都市を想定すれば、人類社会の多様性が高まることが期待されま

す。これは、人類という“種”の安定に、大きく寄与すると思います」

「うーむ、独立性を高めるということは、1つのポイントかもしれませんねえ...人類

社会はこれまで、交通や輸送、情報技術の発達で、巨大な単一社会へ向かってきま

した。もちろん、現在もこの状況にあります。しかし、これはある意味では非常に危険

なことです。また、ある側面では、非常に脆弱でもあります。例えば、

 

あらゆるレベルでの、バイオハザード、テロ、情報テロ...

    あらゆるレベルでの、人類の構築した巨大システムの危機...

 

その他、あらゆる犯罪に対しても、則、人類全体の危機に直面してしまいます。これ

は、決していいことではないでしょう。人類全体として、危機を分散する基本システム

を組み込む必要があります」

「まさに、堀内さんの言われる通りです!さすがに、この方面のことは詳しいですね」

「日頃考えていることですから、」堀内は、顔をくずした。

「そこで...まあ、戦争や偏った民族主義は困るわけですが、それぞれの地域や社

会単位で、独立性と多様性を高めるということは、今後の人類文明にとって重要なテ

ーマになってくると思います。交通や物資輸送、情報の面で、たとえ不便ではあって

も、居住スペースの地下都市への移転を機に、是非、基本システムとしてひと工夫

する必要があります」

「ふーむ、」

「狭くなってしまった地球の空間を広く...あまりにも生活を細かく切り刻んでしまっ

た時間を、緩やかな時の流れに戻す...これが人類文明として最も必要なことでは

ないでしょうか。このような空間の感覚、時間の感覚は、この相互主体性世界の中で

は、個人の総意が創出している亜空間感覚なのです。したがって、これは人類文明

が容易にコントロールできる領域です。

  結局人間は、楽ができて便利なら、幸福になれるというわけではないのですか

ら...それよりも大切なものがあるということを、新しい人類文明の形態の中に復活

していく必要があります」

「そのとおりだと思います...うーむ...それにしても、地球社会は益々狭くなって

きていますねえ...今も、どんどん単一単調な社会に収束しつつあります...インタ

ーネットも影響しているのでしょうか...」

  高杉は、黙ってうなづいた。それから、

「マイナスの側面もあるということです...」

「しかし、こうなると、マイナス要因である危険性も、爆発的に拡大することを知るべき

ですねえ...

  あのHIVウイルス(エイズウイルス)が、一気に世界中に蔓延したのは、記憶に新しいと

思います。それから、最強最悪のエボラ出血熱(アフリカの猿から、)や、ニパウイルス(マレーシア

の豚から、)の危機もありました。高杉さん、100年前なら、こんなものはニュースにもなら

ないような、ごく限定的な地域の風土病だったでしょう...」

「そうですねえ...確かに、生態系の中にしっかりと織り込まれていましたね」

「ええ...これらのバイオハザードは、幸い人類社会に壊滅的な打撃を与えることは

ありませんでした。しかし、これはあくまでもラッキーだったからだと、専門家は言って

います。

  高杉さんが今おっしゃったように、こうした危険性は、生態系の中にそれこそ無数

に織り込まれているのです。そして私達人類もまた、その生態系の巨大な布模様の

中に織り込まれているわけです。したがって、実は私達の文明社会は、安定している

ように見えますが、反自然的な流れを主張する限り、非常に危ういバランス上に成立

していることを知るべきですね」

「そうですね。このことに気付いている人は、非常に少ないですね」

「まさに!」堀内は、タン、とテーブルを叩いた。

「地球が狭くなって、人類が稠密になり、還元主義的・機械文明の危険性のポテン

シャルが、非常に高まってきています。一度、コトが起こると、大惨事になるケースが

多くなってきます。しかし、私はそれに加え、人類が進化の袋小路に入ってしまうこと

も心配しています」

「進化の袋小路ですか、」堀内は、体をのりだした。

「ええ。これには、“生物学的な進化の袋小路”と、“文明的な進化の袋小路”がある

と考えています。“生物学的な進化の袋小路は、いわゆるDNAレベルの問題です。

そして、当面我々が問題とするのは、後者の“文明的な進化の袋小路”の方でしょ

う。これには、例えば冷戦時代のような核戦争で、人類が絶滅するようなケースもあ

るわけです...」

「なるほど...それと、環境破壊による地球生態系への圧迫も、文明的な進化の

小路の1つなのではないでしょうか?現在が、まさにその状況にあります」

「ええ。その通りです。この、現在の文明的な進化の袋小路から脱出するために、地

下都市文明へのシフトも、一考ということなのです。それから、これは一言いっておか

なければなりません。つまり...

 

  何故、広大なスペースのある宇宙や海底ではなく、地下なのかということです。こ

れは、こういうことです...宇宙コロニーや、海底都市では、開発に時間が掛かり過

ぎるということです。また、生物学的にも技術的にも、不確実な要素が多く残っていま

す。しかも、数十億という人口を、安全に、確実に、速やかにシフトできるのは、巨大

地下都市空間しかないのです。ともかく、人類と地球生態系のために残された時間

は、もうあとわずかです。この時機を逸すれば、地球生態系は急速に崩れ始め、縮

小と衰退に向かいます...

「はい...ともかく、地下都市については、基本的に、技術的な不安は何もありませ

ん」

「ええ。これが、このプランの最も優れている所かもしれません、」

「それから、高杉さん...話は戻りますが、危険と言えば、麻薬などの薬物への暴

走も、その1つかもしれませんねえ、」

「ええ...時間、空間、価値観...あらゆるものが独立性と多様性をもって、複雑に

流れていく姿...これが、この地球生命圏の1つの安定の形なのかも知れません

「うーむ...複雑系、多様性...雑踏の中の安心感...ですか...」堀内は、フ

ト、夏美がこっちの方へ歩いて来るのを目にとめた。

  高杉も、そっちの方に目を投げた。彼女はこっちの方へは来ずに、ミミちゃん達の

いるコンピューター・サイトから、ビヤガーデンを準備しているポン助達の方へ歩い

た。

「確かに、生命体や生態系は複雑化、多様化する方向へベクトル(力と方向)が働いてい

ます」堀内は言った。「そういう意味からすれば、地球が狭くなり、社会が単一化して

いく方向というのは、マイナスなのでしょうかね、」

「そうだと思いますね。しかし、一概には言えないかも知れません。ただ、危険性の

ポテンシャルが高まっているのは確かです」

「なるほど...それで、高杉さん、他に地下都市のメリットは?」

「そうですねえ...地下都市空間は、いわば現在の都市の中心部を、さらにコンパク

トにして地下街に移したようなものです。膨大な人口を効率よく収容できますが、これ

はいわばアリの巣のようなものです。したがって、アリを見ても分るように、活動は太

陽光線の降り注ぐ屋外のスペースということになります。むろん、工場などは、地下

に置きますが、人間活動という意味では...」

「なるほど...」

「そこで、地下都市の<第4>のメリットは、何処からでも、直上に、広大な屋外スペ

ースが隣接していることです。これは、これまで以上に、大自然の原野が身近に迫っ

たということです。また、別の意味では、そこはまさに庭と同じです。地下都市の収容

人口からしても、大自然の中のレジャー施設やスポーツ施設、公園などは十分なス

ペースをとるべきです。それから、地上では農業スペースも相当量になると思いま

す。ただし、地上の建築物は極力押さえるべきですねまた、動力源もクリーンな電

力や風力に限るべきです」

「個人的機動力は、自転車だけと?」

「そうですね」高杉は、笑ってうなづいた。

「話は少しそれますが、競争原理はどうなりますか?あるいは、経済原理は?」

「ここで論ずるべき課題かどうか分りませんが...まあ、導入した方がいいと思いま

すね。私は、実は、この循環型・巨大地下都市文明の基盤は、農業に置くべきでは

ないかと考えています。生まれてきた人には全て、基本的に一定スペースの農

と、地下都市の居住スペースを与え、死亡した時にその権利を失うというのはどう

でしょうか。つまり、生きている間は、売ろうが、貸そうが、自分で使おうが自由と言う

のは、」

「うーむ...社会形態にまで話が及ぶと、難しいですねえ...」

「まさに、」

 

**********************************************************************************************************

    ポン助のビヤガーデン 

         house5.114.2.jpg (1340 バイト) lobby4.1119.1.jpg (2391 バイト)  db3542.jpg (1701 バイト)  house5.114.2.jpg (1340 バイト) 

 

「ポンちゃん、どうもありがとう。Pちゃんも、ご苦労様」夏美が、生ビールを

準備しているポン助たちに言った。

「おう!」ポン助は、ネジリ鉢巻を結び直した。「おい、P公、バーベキューを

もう少し焼いて置け」

「うん。枝豆に塩をかけておいたよ」

「よーし...夏美、そろそろ準備ができるぞ、」

「そ...じゃ、みんなを呼ぼうかしら。ビールは十分にある?」

「マチコを呼べば足りないよな。マチコは何杯も飲むからよう...」

「でも、今は、仕事中よ、」

「しかし、マチコは飲むよな、」

「うーん...じゃ、タマに言って、私のプライベート・ルームから持ってきて」

「おう!よう、P公、ブラウザでタマを捜せ。ビールを持って来いと言え」

「うん、」

  wpe86.jpg (6318 バイト)     house5.114.2.jpg (1340 バイト)  

「ポンちゃんは、その自分のお酒を飲むの?」

「おう...やっぱり、日本酒だよな。剣菱だよな!」

「ふーん...Pちゃんは、氷水がいいの?」

「うん、」

    house5.114.2.jpg (1340 バイト) 

  マチコが、ワゴンを押しながら、ハイパーリンクのゲートから出て来た。そ

の後から、タマと支折が歩いてきた。少し遅れて、響子がやって来た。

「ポンちゃん、ご苦労様!」マチコが言った。

「おう!」ポン助は、樽から生ビールを注ぎながら言った。「こうやってよう、

P公...泡を立てないようにしな...」

「うん、」

  マチコが、ポン助からビールのジョッキを受け取り、椅子の上にあがっ

た。

「さー!カンパーイ!」

「カンパーイ!」

「カンパーイ!」

「乾杯!」

「乾杯!」

「うーん...おいしいわねえ...よいしょ、」マチコは椅子からおり、もう一

度ビールをあおった。「Pちゃん、そこのバーベキューを取ってくれる?」

「うん!」

「夏美、東京ビッグサイトへ行ってきたんでしょう?」支折が言った。

「ええ、」夏美は、口もとでジョッキを傾けながらうなづいた。

「どうだった?“21世紀夢の技術展”は、」

「うーん...そうねえ、夏休みだし、とにかく人が大勢いたわね。でも、今

は情報が溢れている時代でしょう。知ってることが多かったし、」

「そんなことはないぞ!」堀内が、二人の方を振り返って言った。「我々に

は扱えないが、専門分野の高度な情報も多かった。ともかく、あちこちで、

太陽電池がいっぱい展示してあったな」

「ええ。屋久杉が展示してあったわね」

「ふーん、屋久杉かあ...」

「おーい...夏美!支折!」マチコが、来るように手を振った。

 

**************************************************************************************************************

 

 <2> 地下都市建設の立地条件  house5.114.2.jpg (1340 バイト)    

 

「あの、どうなのでしょうか...」夏美が、二人の話に加わって言った。「巨大地下都

市の建設と言うのは、やはり、よほど大変な仕事なのでしょうか?」

「いや、建設そのものは、難しくはない」高杉は言った。「簡単に言えば、露天掘りで

広い穴を掘り、その中に地下数階建てのビルを作るようなものだ。しかも隔壁による

密集型で作るから、仮に2キロメートル四方でも、収容人口は膨大なものになる。そ

して出来上がったら、上に土を被せればいい。これを、さらに効率的にするなら、ユニ

ット式のものを連結し、埋めて行ってもいい。この都市の上は、レジャー施設やスポー

ツ施設、公園等の公共施設にするのがいいだろうな。したがって、地上には四季が

あるが、地下の居住スペースは冬は暖かく、夏は涼しいというわけだ...」

「うーん...でも、こうした省エネ型の地下都市なら、現在でも開発が可能なのでは

ないかしら?」

「ああ、もちろん可能だ。個人住宅でも、地下を居住スペースにして、地上を畑や庭に

するのも面白いね。関係法令が、どうなっているかは知らんがね、」

「まあ、大深度地下なら、シールド工法もいいですね」堀内が言った。「そうした技術

の蓄積は、すでに十分にあります」

「いずれは、そういう工法も必要になるでしょうね。様々なものを建設していくわけで

すから。しかし、いずれにしても、立地条件はしっかりと考えなくてはいけないでしょ

う。洪水や土砂崩れ、火山の危険はないか...水の確保と、水はけの良さ...風

通しの良い高台のような地形...安定した地盤...」

「そうした地形が必要なら、人工的に高台を整地した方がいいかもしれませんね。あ

る程度の規模のものが、相当数必要だと言うのなら。そして、その後から土に埋めれ

ばいいでしょう」

「うーん...そうかもしれません。いずれにしても、人類文明の地下都市へのシフト

は、歴史的な大事業になります。実現するには、本格的な研究が必要になるでしょう

ね」

                                                house5.114.2.jpg (1340 バイト)  

 

  

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