My Work Stationgroup C量子情報科学量子もつれの崩壊後も

            量子もつれの崩壊後も 

      謎の影  ・・・・・ 不滅の量子効果?/新しい窓? 

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                                 淡島 祐次            折原 マチコ                        石清水 千春

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード   担当 :淡島祐次・准教授/ニュー・テクノロジー 

   INDEX                 wpe8.jpg (26336 バイト)     

プロローグ        ・・・ 岩清水千春さんも一緒に ・・・ 2009. 3.29
No.1 〔1〕 “量子もつれ”の崩壊後も・・・残留効果 2009. 3.29
No.2 〔2〕 “量子照明”・・・ 量子もつれ光子による照明 2009. 3.29
No.3 〔3〕 検証実験と、影響・・・  2009. 4. 2 

  

    参考文献    日経サイエンス /2009 - 04

                        NEWS SCAN   
物理学/不滅の量子効果
 

 

   プロローグ     wpe89.jpg (15483 バイト)       wpe8.jpg (26336 バイト) 

 

マチコです

  《量子コンピューターの概略》が終わったばかりなのですが...さっそく“量子もつれ”で、

しいニュースが入りました。うーん...高杉・塾長はどこかへ行ってしまったので、淡島・准教授

と、私で考察するようにとの、企画・担当響子さんからの依頼です。

  あ...ええと...岩清水千春さんも一緒にいたので...ついでに手伝ってもらうことにしまし

た。千春さんは、《基地局/ロビー》と、《総合掲示板/ロビー》を担当しています。あまり出た

がらないので、無理に引っ張り出してきました」

「お久しぶりです!」千春が、ペコリと頭を下げた。「よろしくお願いします...

  私がページを担当するのは、病気の予測/自己抗体 以来、これが2度目です。今回は難

しい話なので、マチコ先輩の邪魔にならないように、頑張ります...」

「うん!」マチコが、うなづいた。「でもさあ...今回は、そんなに難しいコトにはならないわよね。

  ええ...淡島さん、よろしくお願いします。今回は、ニュースだから、簡単にすみますよね?」

「はは...」淡島が、コーヒーを飲み干した。空のコーヒーカップを脇へ押した。「では、そうしま

しょうか。しかし、量子力学の基礎的なことも、少し話ましょう」

「はい...

  うーん、響子さんもさあ...だんだん人使いが荒くなってきたわよね...ま、いいけどさ。そ

のうち、支折さん茜さんの方も忙しくなりそうだし...早く終わらせて、お花見に行こうか、」

「はい、マチコ先輩!」千春が、うなづいた。「《クラブ須弥山》で、弥生さんポンちゃんが待っ

てるし、」

「うん!」マチコがうなづいた。「そっちの方は、ポンちゃんに任せておけば大丈夫よ。その点は、

信頼しているわのよね」

「さて、それじゃあ...」淡島が顎の手を当て、モニターをのぞいた。「後は、お花見ということで、

さっそく、始めますか...」

「はい!」千春がうなづいた。

 

  〔1〕 “量子もつれ”の崩壊後も・・・残留効果 

              
 

「ええ...」淡島・准教授が、大きく息を吐いた。「...量子の世界というのは...

  常に斬新で、常に新鮮な驚きに満ちている領域です...粒子と波動の相補性確率論的世

不確定性原理局所性の否定因果律の破れ虚数世界、などなどです...そうそう、私

たちが今問題にしている、“量子もつれ”もそのうちの1つです...

  まあ...こうした量子の世界であってみれば...今回のニュースも、特に驚くには値しない

のかも知れません。いつもの日常世界とはかけ離れた、エキゾチック(異国的)な領域の、小さな発

なのかも知れません。

 

  しかし、19世紀の末に...あと、物理学の残った課題は、“黒体輻射の問題”と、“マイケルソ

ン=モーレーの実験の問題(光速度の不変と、エーテルの存在の否定)の、たった2つだけになってしまっ

た、などと言われたことがありました...このイギリス/ロンドン王立研究所/ケルビン卿の講

は...ちょうど1900年でした...

  しかし...まさに、この残余の2つの問題から...大問題が噴出してきたわけです。ここから、

マックス・プランク“量子の概念”が生まれたわけですねえ...

  そして...当のプランクもまだ半信半疑だった“量子モデル”を...スイス/ベルン特許局/

26歳のアルバート・アインシュタインが、“光”に対して応用したわけです...そしてこれを、“光

量子/光子”と呼びました...」

「はい、」マチコが、うなづいた。

「これが...

  アインシュタイン自身“革命的”と言った、【光電効果に関する論文】です。1905年に、【特

殊相対性理論】に先立って発表された論文です...この1905年に...アインシュタインは、こ

れらの2つの歴史的な論文を発表したわけですね。

  ノーベル賞が贈られたのは、政治的な理由などもあって、この【光電効果に関する論文】の方

だったのです...」

政治的な理由というのは、何かしら?」

「まあ...

  当時、ドイツでは...ユダヤ人排斥運動が強く...彼は、ユダヤ人でだったわけですね。

翼の政治団体は、彼がユダヤ人というだけで、“相対性理論”まで目の敵にしていたと言われま

す。それともう1つ...当時はまだ、【相対性理論】実験的検証が、成功していなかったからで

すね、」

「うーん...」マチコが、深くうなづいた。「この、2つの論文が発表されたのは...

  日露戦争(1904〜1905年/明治37〜38年)の、“日本海海戦”の年(1905年/明治38年=5月27〜28日)

ですよね...東郷平八郎・提督が...ロシアバルチック艦隊を破った年ですよね、」

「ほう...そうですか...?」

「はい!」マチコがうなづいた。「この話は、高杉・塾長が好きなので、何度も聞かされていますか

ら...」

「はは...」淡島が、目を細めた。「そうですか...

  まあ...【ニュートン力学】から【相対性理論】への、パラダイムシフトが起こった時代ですから

ねえ...世の中が、ひっくり返ったわけです...物理学においても、激動の20世紀がスタート

ていたわけです。

  そして、まさにここから、原子爆弾が生まれ...20世紀後半の...“核戦略下の東西・冷戦

体制”が生まれて来たわけです。その核弾頭核爆弾遺物が、21世紀の今も、私たちの重い

荷物になっているわけです...」

「うーん...」マチコが、腕組みをした。「今、ようやくその冷戦構造から、抜けた所よね...でも、

大量の核弾頭は、残っている訳よね...」

「そのようですねえ...」淡島が、自分の担当外の問題なので、やや距離を置くような口ぶりで

言った。

  岩清水千春が、大きくうなづいた。

                                 wpe89.jpg (15483 バイト) 

「さて、今回のニュースですが...

  基礎物理学/量子力学の分野で、また“新しい現象の影”が見つかったようです。今後、どう

発展するのかは分かりませんが...ともかく、理論物理学者たちは頭を抱え込み、この問題に

当たっているようです」

「それが...」マチコが言った。「“量子もつれが崩れた後でも・・・何らかの効果が生き残る”とい

うものですね?」

「そうです...」淡島が、髪に手を当てた。「もともと...

  “量子もつれ”というのは、かなり古くから確認されていたものです。アインシュタインも、“気味

の悪い遠隔作用”と呼んで...あえてまともには扱わなかったのは、有名な話のようです...」

「うーん...

  アインシュタインはさあ、“宇宙定数(/宇宙論への、真空のエネルギーの導入)でも、迷ったわよね...」

「まあ...晩年は、そうですねえ...

  しかし、ともかく...【ニュートン力学】から【相対性理論】への、パラダイムシフトを引き起こし

ました。それは、不滅の業績と言うには...あまりにも巨大な...社会変化/時代変化/文明

変化を...引き起こしました...

  そして、それはどんどん自ら成長して行き...生みの親アインシュタインの手元からは、し

だいに離れて行ったようですねえ...アインシュタインは、あくまでも“神による美しい秩序”

いうものを信じていたようです」

「はい、」

 

「さて...」淡島が言った。「その...

  “量子もつれ・・・量子もつれ状態にある物体”というのは...“物体どうしが関連性を保ち・・・

距離によらず・・・瞬時に影響しあう”という...量子力学の基礎的な原理とでもいうものですね

え...

  したがって、その“量子もつれ”の内部には、力学的構造というものは無いわけです。“不確定

性原理”“相補性”と同じように...ともかくそうした現象が...“確実に観測される”という事

実が、確認されているということです...

  極微量子力学で、厳密に確認されているわけですから...まあ、“ソウイウコトなのだ”、と

いうことです。これが、“基礎物理学の根本原理の1つ”なのだ、ということですねえ...そして、

そのエキゾチックな領域で、今回また、“新しい現象の影”が見つかったというわけです。

  ええ...量子世界というのは、いまだに、非常にダイナミックな領域です。物理を究めつくすど

ころか、益々深い霧の中へ入って行くようです...」

 

「それはさあ...」マチコが、肩をかしげた。「私たちの“意識”なんかとも...関係して来ること

かしら...その深い霧の中で...」

「鋭いですねえ...」淡島が、5本の指を組み合わせ、マチコを眺めた。「はは...

  そうですねえ...リアリティーの全体性や...局所原因の否定...“物の領域と、心の領域

との統合”というのも...こうした領域と関係して来るのでしょうねえ...

  還元主義的・機械論の、極微の限界領域ですから...“意識”と、リアリティーや、“この世と

の整合性”が...奇妙な形で顕在化して来るのかも知れませんねえ...量子力学において、

体性というものが問題となるのも、まさにここに置いてでしょう...」

「それは、どういうことかしら?」

「例えば...“粒子と波動の相補性”です...

  電磁波は、主体による粒子性の注文を受ければ...粒子としての側面を見せてくれます。一

方、主体が、波として見たいと注文すれば...波動性としての側面を見せてくれるわけです。た

だし、両方の注文同時に受けることは、絶対にないということです。

  これは、つまり、どういうことかというと...物質の姿というのは、主体性の注文が、深くかか

わって来るということです。そして、主体性とはつまり、“意識/精神・・・心の領域”なのです...

  が...まあ、この問題は、これまでとしましょう...高杉・塾長もおられないことですしね。こ

れは、塾長の担当・領域です」

「はい...」マチコが言った。「淡島さんはさあ、担当・領域ということに、こだわるわよねえ、」

「はは...しかしそれは、高杉・塾長の考えることですから...」

「ふーん...」

「まあ...私の分野に限って言えば...

  “量子もつれ”は、“量子コンピューター・デバイス”“量子暗号”に組み込まれて行くわけです

ね。その“量子もつれ”が...最近、“量子もつれが崩れた後も・・・何かの影が生き残る”...と

いうことが発見されたようだ、ということですね、」

「それが...実際に、そんなに大変なことになるんですか?」

「うーむ...

  直接的には、今後...“量子計算/・・・量子コンピューター”や、“量子暗号”にも、莫大な影

を及ぼすことが予想されます。しかし、今は、検証実験が進んで行くのを待つしかありません」

「はい、」マチコがうなづいて、千春の方を見た。

  千春も、コクリとうなづいた。

 

「ええと...」淡島が、モニターを眺めた。「ともかく...

  実際の、“量子もつれ”というのはですねえ...非常にデリケートな状態なのです。周囲から

の撹乱によって...“その量子状態は・・・すぐにも壊れてしまうもの”...だということです。しか

“量子計算”が可能なのは、“量子もつれが存続している間”だけなのです。

  このことは、“量子コンピューター”にとっては、大きな悩みの種となっていました。まあ、なんら

かの方法で、ブレーク・スルーして行くだろうと考えられていたわけですね...]

「うーん...」マチコが、腕組みをした。「そうかあ...」

「ところがです...今回...

  “量子もつれが崩れた後でも・・・何らかの効果/記憶が生き残る”...という現象発見され

たわけですねえ。大いに期待できるかも知れないということです...

  しかし、この実態が何なのかは、まだよく分からないようです。ちなみに、この現象を発見した

のは...アメリカ/マサチューセッツ工科大学/量子物理学者のロイド(Seth Lloyd)です...」

「教授ですか?」マチコが聞いた。

「大学ですから、教授だと思うのですが...“参考文献”では、量子物理学者とありますね、」

「はい、」

ロイドは、この得体の知れない効果を...

  エミリー・ブロンテの小説/『嵐が丘』にたとえて、こう説明したそうです...“キャサリンの幽

霊が・・・墓の向こうから一筋の閃光として・・・最愛のヒースクリフと交信するのだ”...と...」

「...??...」マチコが、首をかしげた。

「マチコさんは、エミリー・ブロンテの小説/『嵐が丘』は、読んだことがありますか?」

「うーん...聞いたことはあるわよね、」

「あ、私は...」千春が言った。「読もうと思ったことはありますよ...高校の時の夏休みに、」

「はは...結局、読んでないわけですね、」

「はい...」千春が、頭に手をやった。

「つまり...こういうことです...

  “量子もつれ”壊れた後でも...つまり、キャサリンが死んで、2人が別れ別れになった後

も...“量子もつれ効果のナニモノかが残留”し...最愛のヒースクリフ・・・/・・・量子もつれ

の片割れの光子”に...“幽霊のような効果/幽霊のような影が映る”ということです...」

「うーん...幽霊かあ...」マチコが、椅子にそっくり返った。「気味の悪いような...ロマンチッ

クなような...」

「いいですか...

  “量子力学の世界で・・・量子もつれという・・・関連性を保ち、距離によらず、瞬時に影響しあう

関係性の中で”...あらためて、この、“キャサリンの幽霊のようなの影響力・・・残留効果”は、

ナニモノなのかということです...」

「この、“新しい効果”を研究すれば...」マチコが言った。「“量子コンピューター”にとって、大き

な悩みの種が、解消するかも知れないということですね?」

「そういうことです。まあ、これから研究を進めてみなければ、確かなことは言えないでしょうが、」

「うーん...自然界にはさあ...色々なことがあるんだあ...」

「まあ、その通りですねえ...そして、人間の好奇心というのも、尽きることはないのでしょう」

  千春が、大きくうなづいた。

 

  〔2〕 “量子照明”・・・ 量子もつれ光子による照明

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「ええ...」淡島が首をそらして、“参考文献”の方を眺めた。「そもそも、このロイド発見という

のは...“量子もつれ状態の光子を・・・照明に使ったらどうなるか?”...を考えたのが、発端

だったと言います。

  1つの可能性として、この“量子照明”というのは、より鮮明な写真が撮れるのだそうです。

ラッシュ撮影というのは、撮影対象に光を当て、その反射光をとらえて画像をつくるものですね。

しかし、実際には、他の物体からの乱反射光が紛れ込み、フラッシュの反射光とごちゃまぜにな

ると、写真はボケてしまいます」

「うん、よくあるわよね」

「ところが...」淡島が、指を立てた。「“量子もつれ光子を発する・・・ストロボ”なら...“反射し

てきた光子”と、“参照用に保存しておいた光子”との...“相関/量子もつれ”を利用して...

反射光だけを選び出しノイズを容易に除去できると考えられるのです。

  これには前回、《量子コンピューターの概略》で説明した、“ビーム・スプリッター”を使い、

子を干渉させるわけです...これについては、後でもう少し詳しく説明しましょう」

「ふーん...でもさあ...ストロボなのに、そんな面倒な事をする必要があるのかしら?」

「まあ、日常のデジカメでは必要ないでしょうね。しかし、そうした鮮明な写真を必要とする場合も

あるわけです」

「うん、」マチコが、うなづいた。

 

「ところで...」淡島が言った。「“量子もつれ”壊れやすさからして...“量子照明”がうまく働

くとは...当のロイドも思っていなかったようですね。

  しかし...“ノイズ環境下で撮像できるセンサーの開発を目指す・・・米国防総省/高等研究

計画局(DARPA)のプログラム”から...研究資金を獲得しようと必死に頑張った、と彼は回想し

ているそうです...

  まあ、大学の研究室での面白いエピソードですが、同様の立場の私にはよく分かります。しか

し、こんな情熱から、まさに、基礎物理学的な発見が浮上してきたわけです。それがなかったら、

次世代テクノロジーブレーク・スルーは、少し遠のいてという結果になったのかも知れません。

  まあ、技術革新(イノベーション)とは、“そうしたものの塊”のようなものですが...それが基礎科

学/基礎物理学の分野となると、その影響が非常に大きいということでしょう...」

「うーん...」マチコが頭をかしげ、うなづいた。

 

「ええ...“参考文献”によると...

  ロイドは、懐疑的ながらも...“量子照明”可能性を計算してみると...ちゃんと機能する

ということが分かったそうです。しかし、さらに驚くべきことが分かったのです...“量子照明の

実力を完全に引き出すには・・・全ての量子もつれが・・・破壊される必要があることが判明”した、

ということです...」

「うーん...」マチコが、頭を反対側に倒した。「分からないわねえ...」

「まあ、そうですね...」淡島が、うなづいた。「これだけの説明では分からないでしょう。ともかく、

現象としても、実に不可解なことです...ロイドも、それを認めています...」

「でも、事実なわけね?」

「いや、少し違います...数理解析では...そうなったということです」

「あ...そうか、」

「いいですか...

  アメリカ/ノースウエスタン大学/量子物理学者のクマール(Prem Kumar)は...ロイド数理

解析を見るまでは...“量子照明”などは役に立たないだろうと、懐疑的だったと言っています。

まあ、ロイドもそう思っていたわけですから、そんな所が相場だったのでしょう...

  しかし、彼は、研究資金を獲得しようと必死に頑張ったわけです。そこが、彼の偉い所です。ま

さに、そんな所に、金の鉱脈が眠っていたわけです...はは...」

「このクマールは、量子物理学者のお仲間ですね、」

「大学が違いますが、同じ量子物理学者ですねえ...

  彼は...現在は、誰もが頭を抱えて、この問題を考えている。答えが出るどころか、疑問噴

出だと言っているようです。

  さらに...“量子もつれが生き残らず・・・しかし、何らかの利点が得られるとすれば・・・利点を

もたらす一端を・・・量子もつれが担っているのか、あるいは別の要因がからんでいるのか・・・

論家たちは、そこの見極めを迫られている...ということですねえ...」

「うーん...本当の、第一線の研究者が、頭を悩ませているわけね...」

「まあ...それは彼等の大好物ですから...いいのですが...」淡島が、手で顎を絞った。「と

りあえず、考え得る説明として...ロイドはこう推定しています...

  光子どうし“量子もつれ”が...実質的には完全に失われても...“量子もつれの、かすか

な気配が...測定後も、そのまま残る”...かも知れないということです...

  つまり...“光子は、状態の重ね合わせであるとみなせる・・・これらの状態のほとんどが、量

子もつれを失っても、1つか少数の状態は、もつれたままで・・・このわずかな部分が、効果をもた

らしている...と推定しています...」

「うーん...」

 

「さて...」淡島が、作業テーブルで両手をそろえた。「どうなのでしょうか...

  これが、先ほど話した...19世紀の末〜20世紀初頭の、“黒体輻射の問題”“マイケルソ

ン=モーレーの実験の問題”の様に...果たして、パラダイムシフトを呼ぶのでしょうか...私

の、勝手な誇大妄想ですが...

  高杉・塾長に代わって言うとすれば...果たしてここから...“物の領域”“心の領域”

が始まる様なことが、起こるのでしょうか...まあ、ということですが...どうも私には、

のようには...を語れませんねえ...はは...」

“ニュートン力学”から...」マチコが言った。「“相対性理論/量子力学”に、科学の基盤が変

ったようにですか?」

「そうです...」淡島が、眼鏡を押した。「まあ、そんなことは、めったに起こるものではありませ

んが...コトは基礎物理学の分野だということです。現代文明の、基盤的学問領域での発見だ

ということです」

「そんな...予感がするということかしら?」

「さて...何とも言えません...

  高杉・塾長と違い、一応、私は科学者です。何でも自由に言えるという立場ではありません。

しかし、“参考文献”にもあるように...

 量子の世界は、実にエキゾチック(異国的)で、複雑です。いつだって、いたる所に、思いもよら

ない驚きが潜んでいます

  高杉・塾長は、それが、“リアリティー世界との融合/物の領域と心の領域との統合”を生み

出している、と言っているようですが...私は、そこまでは考えていません...」

「はい、」

  〔3〕 検証実験と、影響・・・    

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「ええと...」マチコが、ミミちゃんの耳に触れながら言った。「次は...“量子照明”検証実験

ですね?」

「うーむ...」淡島が、“参考文献”をひと撫でした。「そうですね...

  ええ、実は...この“量子照明”効果を実証するのは...非常に難しいと考えられているよ

うです。資料がないので、実際にどういうことかは分からないのですが、“参考文献”ではそう書

かれています」

「でもさあ...」マチコが、頭をかしげた。「そんなに、効果がないのなら...大したことがないわ

よね...?」

「ま...そういう言い方もできますが...それは違うでしょう...

  まず、“量子照明”というものを、科学的に実証しておくことが必要なのです。こういう最先端技

では、ただ闇雲に開発するのは不可能です。まず、“原理と効果の解明”が先です。したがっ

て、ともかく...“量子もつれ後の・・・謎の残留効果の正体”...を突き止めて置かなくてはなく

てはなりません。

  学問的にも、“量子照明の開発”よりも、こちらの方が大事です...まず、何よりも...“謎の

残留効果”に関して...“量子もつれが・・・その一端を担っているのか”...あるいは、“もっと

別の要因が・・・の関与しているのか”...ということです。

  科学的に、納得のいく構造解明が要求されているということですね...それによっては、量子

情報科学に、“新しい窓”が開くということです...あるいは、これは誇大妄想になるかも知れま

せんが...あの“想定性理論の衝撃”がやって来るかも知れません。

  時期的には、もうとっくに、そうしたパラダイムシフトが要求されているわけです...高杉・塾

は、それが“物の領域と心の領域の統合”と見ているようですが...それだけが、“可能性の

あるニューパラダイム”というわけではありません」

「うーん...」マチコが、ミミちゃんの背中を撫でた。「量子情報科学ではさあ...未知の新しい

ことも、いっぱいあるというわけね...」

「そうですねえ...」淡島が、教育者らしい優しい顔でうなづいた。「さて...ともかく、“量子照

明”というものを、簡単に説明しておきましょう」

「はい、」

                   

 

《量子コンピューターの概略》でも話しましたが...」淡島が、モニターに目を当てながら言っ

た。「“量子もつれ光子”を作りだすのは...比較的簡単なのです...

  この作業は...“ビーム・スプリッター”として働く“特殊なダウン・コンバート結晶”に...光を

通すだけでよいのです。これだけで“量子もつれになった光子”が、“量子もつれ”を残しながら、

“別々に分かれて・・・導き出せる”...ということです。

  そして...この一方の光線物体を照射し、“量子照明”として使うわけですね。それから、

う一方の光線は、参照用に保存して置くわけです。こうした、量子情報科学のテクノロジーにつ

いては、量子コンピューター・テクノロジーと共通のものですね...ま、当然のことですが...」

「あの、淡島さん...」マチコが、言った。「今さら聞くのも、なんだけど...そのもう一方光子

さあ...どうやって保存して置くのかしら...?」

「ああ...」淡島が、髪をなでつけた。「そうですね...

  まあ、詳しいことは分かりませんが...原理としては...2枚の反射鏡“光共振器”を構成

し、光を閉じ込めて置くことは可能です。こうしたものは、レーザー光を増幅するために使うので

すが、おそらくそういう技術が使われているのでしょう...」

「うーん...」マチコが、唇をつまんだ。「“量子コンピューター・デバイス”では...レーザー光線

も使う訳よね...」

「そうですねえ...

  こうした、総合的なマイクロ加工技術飛躍的な向上があって...はじめて、量子通信

子コンピューターというものの、組み立てが可能になります...まあ、この先、さらなる飛躍的な

向上が求められるわけですが、」

「はい...」マチコが、ため息をついた。

 

「ええ、いいですか...」淡島が、眼鏡を押した。「“量子照明”では...

  次に、“物体を照射して・・・戻ってきた量子もつれ光”と...“参照用に・・・保存しておいた量

子もつれ光”を...干渉させ、融合するわけです...この場合は、“ビーム・スプリッター”

向きに通せばいいわけですね...今度は、光ビーム分けるのではなく、融合するのに使うわ

けです。

  この時、“量子もつれ関係の光子”“アップ・コンバート”され...迷いこんで来た乱反射光

は、スッキリと整理されます...つまり、“量子照明”反射光だけが、きれいに選別されるわけ

です...ただし、その検証実験は、まだされていないということですね...」

「うーん...なんとなく...分かったような気がするわねえ...」

「まあ...」淡島が、微笑した。「そうですねえ...

  実際に、まだこんなストロボが存在するわけではありません。そもそも、“量子照明”で、撮像

感度を高められることを証明するには...弱い信号を使って、実験する必要があると言います。

それが、何故なのかは、説明がありませんが...さて、どういう事なのでしょうか...?

  しかし、ともかく...かすかな光高倍率“アップ・コンバート”できる材料を作るのは、気が

遠くなるほどの、技術的難題だということです...まあ、詳しいことは、“参考文献”からは分か

りませんね...これは、学術論文ではなく、ニュース記事ですから...」

「それでは...」マチコが、口に手を当てた。「実験するのは、無理だということかしら?」

「いや、そうは言っていません...

  年内にも...つまり、2009年のうちにも...そうした検証実験が行われる可能性があると

予想されています」

「あ、はい...」

「まあ、なんにしても...

  量子情報科学=量子情報工学//量子通信・量子コンピューターは...ホットな次世代テク

ノロジー領域です...その及ぼす影響は、将来的には計り知れないものがあります。ノンビリと

放置して置くことなど、できない相談なのでしょう。

  何が何でも、その山に攀(よ)じ登って、その向こうを見渡してみる必要があるのかも知れませ

ん。ひょっとしたら、その向こうに、“文明の第3ステージ/意識・情報革命”本格化が見えるの

かも知れません...」

「はい...ノンビリと構えているわけには、いかないということですね」

「そうですねえ...

  “量子計算/量子コンピューター技術”の確立のためにも、この“残留謎の効果の解明”が待

たれます。その先が楽しみですねえ」

「はい!」

 

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「ええ、マチコです...

  淡島さんは、その先が楽しみということですが...私たちはこの後の花見が楽し

みです。さあ、仕事が終わったわけだし、《クラブ・須弥山》に乗りこんで、私たちも

準備に参加したいと思います。

  あ、そうそう...その前にメッセージがあります...

 

  今、日本社会の器は...無責任・幼稚化し...巨大な公金が勝手に使われ、

そのあおりを食らった多数の国民は、日々生きていくのも、非常に困難な状況にな

って来ました。

  それでも、現実は...ただひたすら...“どじょうすくい”“阿波踊り”を、懸命

に踊り呆(ほう)けているように見えます...うーん、本当に、どうしたらいいかしら?

  あ...当ホームページとしては、一応、基本的な方向性/【日本版/ニューデ

ィール政策】を打ち出しています...この革新的な政策が、2歩でも3歩でも進め

ば、それだけ国民の負担は、ずいぶんと軽減されて行くのだそうですよ。

  それから...大災害に際しても、力強い拠点になるのだそうです。また、“地球温

暖化対策”としても、“感染症パンデミック対策”としても...是非、〔人間の巣/未

来型都市/千年都市〕を具体化し...全国で推進して欲しいと思っています...

  現在の、未曾有の世界的大恐慌は、経済対策だけで乗り切るのは不可能だと、

高杉・塾長も言っています。これは、21世紀/前半の“大艱難の時代”の序曲とな

る可能性が、濃厚だということです。生半可な政策では、国民は守り切れないという

ことです...

 

  でも、さあ...こんな日本社会でも、やっぱり桜の咲く季節は巡って来るわけよね。

そういう訳で...花見ぐらいは、私たちも、大いに盛り上がろうと思っています...

  予算が少ないから、全部手作りになりますが、弥生とポンちゃんに任せておけば、

大丈夫です...さあ、それでは、出発します...」

 

     

 

 

   


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