雑木林のオオムラサキ
- Sasakia charonda charonda (HEWITSON) -

本来は甲虫のサイトですが、偶には蝶も良いものだと思い、今回は国蝶オオムラサキを少し・・・。



   


何時もお世話になっている、N氏の御自宅へお邪魔したさいに、 オオムラサキが多数棲息している北関東某所へ、O氏の案内で訪れる事が出来ました。
まずは感想ですが、こんなにオオムラサキの多い場所(雑木林)は、有名な山梨の産地以外には初めてでした。それにここのオオムラサキが何故か人の気配をあまり気にしない事にも驚きで、感激ひとしおです。

時期は7月の中頃、クヌギの高い位置の樹液に集まったオオムラサキです。ここがお気に入りらしく、追ってもすぐまたここに戻って来ました。有る程度の光りが差し込む明るい雑木林を好むようです。



   

上に居るのが雄です。なんと後から雌がやって来て雄を威嚇し、樹液の良く出ている場所を独占しようとしました。オオムラサキは樹液をめぐって、よくカナブンや蜂などと争う勇猛さも有る蝶で、バサバサと羽音を立てて素早く飛ぶ姿は日本の蝶の中でも最も力強いものです。

この蝶の食草はニレ科のエノキ、エゾエノキです。古い文献に竹類の葉を食すと書くものが有るそうですが、蝶の食草や生態に関しての観察研究はやはり一筋縄では行かないものなのでしょう。  



この写真は雌ですが、デジカメで撮ると角度によって翅の色が眼で見るよりも綺麗な紫色に写ってしまいました。肉眼で見た雌の翅色は本来もっと黒っぽいもので、写真の個体で見て左の翅の色に近いです。



こちらは雄で雌よりも幾分小型。

オオムラサキは日本の国蝶という事で有名ですが、昭和の初期からこの蝶を国蝶に指定しようと言う動きはあったそうです。しかし他の蝶を推す人も多く、すんなりとは行かなかったようで、 昭和三十二年になり、日本昆虫学会の創立四十周年記念大会総会においてオオムラサキを国蝶にと協議され、そこで決定に至ったそうです。



大概の場所ではオオムラサキを発見しても、人の気配を感じると素早く飛び立ってしまう印象が今で有りました。しかし、この雑木林に集まるものは、なぜか殆ど人間を無視?しているらしく、かなり接近しても逃げません。撮影することは容易で、もう少し良いカメラと良い腕が有ればもっと素晴らしい写真が撮れそうです。

じっと翅を閉じたまま樹液を吸っているのを、何とか刺激して開かせ撮影しようと枝を近づけてみました。



更に近づけていくと、美味しく樹液を吸っていたところを邪魔され怒ってます、この個体は雌ですね。



    

邪魔者が来たと、翅を広げて威嚇しました、そこを撮影・・ ですが、連写機能が付いていないデジカメではなかなか良い写真は撮れません。もたついているうち更に、この雌は枝に向かって威嚇してきます。なんとも、ここのオオムラサキは人を恐れないというのか、意識していないのか・・・。



日が暮れて、夜の雑木林の主役はやはりカブトムシです。 カブトムシも接近し撮影しても全く動じる様子は無く樹液から離れません。気配で脚を縮めてポトリとおちたりするクワガタ類とは大違いです。
生き物が多い雑木林は楽しい場所です。何時までも良い環境の雑木林が多く残る事を願って止みません。

2005/7/16 A.CHIBA