『ゲッターロボ』レビュー

最終更新日: 2018/06/03

OPのゲッター2       この服はちょっと(笑)

 1974〜75年に放送された、永井豪・石川賢とダイナミックプロ原作のロボットアニメです。 3台のゲットマシンが合体によって、ゲッター1、ゲッター2、ゲッター3の3種類のゲッターロボになるというものですが、順列の3P3=6通りではなく、誰が操縦するかという3P1=3通りしかありません。 合体変形がかなり無理すぎるのと、合体後もいまいちカッコイイとは言えないような気がします。 メインライターは上原正三さんです。 自分はたぶん、子供のときには見ていないと思います。

 このゲッターロボが敵の恐竜帝国のメカザウルスと戦うわけですが、ゲットマシンに乗る主人公にしても、敵にしても、あまり複雑な設定があるわけではなく、(15話までしか見ていませんが)なんだかひたすら合体変形を繰り返す内容に感じました。 雪室さんは5話書いていますが、操縦能力がやや劣るムサシが合体に失敗する話など、アクションものにひと味加える工夫をこらして、どれも面白い作品になっていると思います。



第9話「栄光のキャプテンラドラ」(1974/05/30放映)

ストーリー: 恐竜帝国の帝王ゴールから「栄光か死か」の二者択一を宣告されたラドラは、ゲッターロボと戦うものの、メカザウルスを破壊され単身で敗走中に、崖から溶岩流に向けて落下してしまいます。 それを目前にしたゲッター1のリョウは、思わず敵ラドラを助けてしまいます。 しかし、逃走したラドラは再び来襲し、ゲッターロボは溶岩の熱で大ピンチに…。

感想: 登場人物の心理を紡いでいけば、敵味方ともに心の奥に切り込んでいくことになり、こういった作品が生まれることになるのでしょう。 ロボット戦闘アニメに「戦場における人道」の問題を持ち込んでしまった作品であり、知らずに見た人は結構衝撃を受けると思います。
「アニメ秘宝 オールタイム・ベスト・アニメーション」(洋泉社、2018年)で脚本家の會川昇さんは、この話を「神回という言葉が生まれる以前の神回アニメ」の一つに選んで、ヒーローものにおける善悪相対化を論じています。
善悪相対化という点では、この3年後の「氷河戦士ガイスラッガー」第16話が圧倒的なので、ベスト作としては自分はそちらを推したいです。 「ゲッターロボ」の恐竜帝国も、「ガイスラッガー」のインベムも、理解できない敵というところでは同じなのですが、「ガイスラッガー」は主人公がそもそも人類ではないうえに、第16話ではインベムの血を引く夕子も登場することで、善悪相対化の究極の作品なのではないでしょうか。



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