熊本初日

2日目
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2/5(木)
 17:15が定時。18:03東京発の寝台特急はやぶさに乗らないと行けない。かなりギリギリだ。もし急な残業をして、はやぶさに乗り遅れた時のために、ミステリー小説のように、新幹線で追いかけて乗り込むという方法も考えておいた。熱海で追いつくパターン、静岡で追いつくパターン、名古屋で、新大阪でと4とおり考えておいた。しかし、残業もなく、無事はやぶさに間に合った。
 夜は長い。東京駅のホームの売店で駅弁を買う。駅弁1つでは腹が減るかもしれないと、2個頼んだ。「飲み物はいかがですか?」と聞かれ、ビールも買った。
 開放型B寝台下段。個室に対し、昔ながらの寝台を開放型という。向かいの寝台にはおばさんがいて、「お世話になります」と挨拶してきた。昔ながらの汽車旅の風情。ところが、別のおばさんが乗り込んできて、そのおばさんと話している。2人は友人で、一緒に行くつもりだったが寝台券を別々に手配してしまったので、離ればなれになってしまったようだ。私が「変わりますよ」と言い、後から来たおばさんの方の寝台に移った。
 残念ながら、進行方向後ろ向きだった。今更「やはり変わるのはやめた」とも言えず、その寝台に落ち着く。現在正面の寝台は空席だが、前向きの席の方が先に売れるはずなので、そのうちどこかからか、そこにも誰か乗ってくるのだろう。

 これから18時間を過ごすことになる寝台。撮影している私がガラスに映っている。


 車掌が来て検札。「貴重品は身に付けてください」とのこと。
 車内を探検。A寝台の個室やロビーカーがある。更に行くと「さくら」号長崎行きになる。さくら号にはB個室が付いているが、はやぶさにはない。そのかわりに、A個室がついている。しかし、A個室は高いので手が出なかった。

 車内はガラガラ。特に、はやぶさ号の熊本行きは、B寝台が1-3号車と3両あるのに、なぜか3号車にしか客がいない。1,2号車には誰もいない。きっと、東京から乗る客は3号車にまとめて乗せ、深夜になり、名古屋や大阪から乗る客は離れた1号車や2号車に乗せるのではなかろうか。東京からの客が寝静まった頃に、大阪の客が大勢乗り込んで来るとうるさいので、静かに乗れるようにという配慮ではなかろうか、と推測。

 ロビーカー。消灯後も、ここで酒を飲んだり読書したりできる。

 ロビーカーのバーカウンター。昔はここで飲み物を出したりしたのだろう。


 さて、席に戻り駅弁をあける。「あっ!」駅弁が1つしかない。そういえば、駅弁を2つ買ったにしては、妙に安いと思った。あの店員め、ビールを売りつけるのに気を取られ、ちゃんと注文を聞かなかったな。はやぶさは車内販売はない。明日の朝には朝食を販売するが、食べ物の調達は乗車前にしないといけないのだ。駅弁はすぐに食べ終わってしまった。量は少ない。深夜には腹が減ってくるのは必至。どうしよう。
 次の停車駅は横浜。ホームの売店で何か買えるか。車内放送は「次の横浜の停車時間はわずかです。ホームには降りないようお願いします」とのこと。停車し、ホームに降りてみるが、売店は約50メートル先。断念し、席に戻る。しかし、発車までは少し間があり、これなら走れば間に合ったのに、と後悔。躊躇は禁物だった。
 しかたなく、予め買って置いたキャラメルコーンを食べまくる。約一時間後、熱海に停まる。ホームの売店はすでに閉店。残念。次の沼津では、売店が開いていた。走って行き、パンを2つ買う。よほどあせっていたと見えたのか、売店のおばさんが「これ?」とはやぶさを指さす。「この列車に乗っているの?」と言う意味だろうが、ちょっと恥ずかしかった。
 一安心して車内に戻る。まだ対面の客は現れず。20:07富士駅では、なんだか見覚えのある電車か止まっていた。東京行きとある。よく見ると、ムーンライトながらの車両だ。静岡から東京まで普通列車として行き、東京からはムーンライトながらとして名古屋に行くのだ。
 20:35の静岡を過ぎて、21時になると、なんと早くも「お休み放送」。「明日の朝、下松までは特別のことがない限り放送はしません。ロビーカーは終日利用できますが、お休みのお客さまもいますので寝台ではお静かにお願いします。浴衣でのロビーカーの利用はご遠慮下さい。貴重品は必ず身に付けてお休み下さい」とのこと。まだ9時なのに、消灯してしまった。自分の寝台の中のライトは付く物の、読書をしようと思っていた身としては拍子抜け。旅慣れた人は、明るい内に寝間着に着替えておくのだろう。が、私はこんなに早く消灯するとは思わなかったので、まだ洋服のまま。暗い中、物音を立てないように、寝間着に着替えるのはつらかった。私は冷え性のため、浴衣は着ずに、持参したトレーナー上下を着る。
 スナック菓子と寝酒の焼酎と本を持ってロビーカーへ。乗車体験談などを読むと、「ブルートレイン好きの旅行者同士話がはずむ」と書いてあるが、先客は一人だけ。少し照明が暗く、目が疲れたので、寝台に戻り眠ることにする。まだ向かいの寝台の客は来ない。
 うとうとしたり、目覚めたりしているうちに、いつの間にか眠った。目が覚めると2時頃。正確な時間は記録していないが、岡山での運転停車をした。西村京太郎の十津川警部シリーズの「寝台特急殺人事件」で、この運転停車が話題になっていた。停まったと思うとすぐに発車。また眠る。

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