序章 

 僕は三嶋岳人。この春から紗峨野の大学の生徒になる、実家から大学までとても遠く交通費が馬鹿にならないため、最近建てられたハイツ紗峨野と言うマンションをこの町の不動産屋で見つけて春休みの間に引っ越した。この住処はで一人ですむには十分の広さだ。ちなみに紗峨野はどんな所かと言うと、駅を中心に都市化が進んでいるも高層建築ばかり経っているわけではなく森林公園や緑が多くて、すみやすい環境と言える町だ。「新しい生活はここから始まるんだな」僕はこの町での希望に溢れた生活を思いしみじみ感じていた。 只今午後5時13分。引っ越しの荷物で足の踏み場がない程だったので一日中片づけをしていたら、もうこんな時間に。とにかく僕は夕食の材料を買いに近くの商店街「大宝横丁」へ行くことにした。商店街の「大きな宝物」となってずっと栄えてほしいと紗峨野町内会長が願ってつけた名前らしい。商店街の中心とも言えるスーパーは、一人暮しの私にとって商品が手頃な値段で売っているので実に良かった。「魚の切り身と、サラダを買ってと・・・」ほんの数分間で買い物を済ませ、この町の近くの龍ケ崎海岸を眺めながら帰った。 自宅で魚を焼くだけで出来上がる簡単な食事で済ませ、その後僕はベットへ寝転がり天井を見上げた。「いよいよ明日か」明日は大学の入学式、場所は紗峨野駅前の公民館で行われる。着ていくスーツを壁にかけてどの服にしようか考えながら明日の準備した。「そうだ、公民館の場所を確認しておかないとな。迷いそうだし」自分が引っ越ししてからまだこの町にどんな所があるかまだ把握してないので不安なので、本屋で買った地図を見ながら公民館の場所を探して12時に眠った。 翌朝 、7時頃に起き朝食はパンとコーヒーで済ませる。式は9時から始まり12時の予定だ。「3時間もあるのかぁ、随分長いな。退屈しそう」そう思いながらも支度をして8時頃公民館へ。今日は快晴、今日のめでたい日に桜が咲き誇り華やかな演出をしてくれている。公民館の入り口前には数多くの新入生が集まっていた。「流石に多いな、もうこんなに来てる」受付で案内を渡され自分の所属する学部の席へ座った。「3時間もやるのか、いろんな人の挨拶だけ聞いても退屈しそうだな」この格式張ったような独特の雰囲気はこういう場には付き物なのかも知れないが、正直言ってつまらないので早く終わって欲しいという思いだ。「それでは学校長の挨拶から・・・」 司会のその言葉で入学式は始まった。式の間、真面目に聞いてる人たちはいなかったような気がする。寝ている人や誰かと話をしているとか様々だった。そして長く感じる3時間が過ぎ、僕は足早に公民館を出た。「お昼か、歩きながら店でも探すか」僕は駅付近を出て龍ケ崎海岸の方へと歩いていった、途中海岸の道路沿いに中世西洋風の建物があり、「カフェバー AKASAKA(赤坂)」と書かれていた。丁度ランチタイムでスパゲッティがおすすめらしい。「ここにするか」僕は店へ入って景色を見ながら食べようと思い窓側の席に座った。注文した物が来てから1時間ぐらいここで過ごした。木造の壁にアンティークな食器や棚、椅子などにこだわっているのか店の雰囲気にぴったりと合っていた。「 バイトする時はこういう所でできたらなぁ」なぜかふとそんなことを感じていた。昼食をとった後町を散歩しながら帰った。