P O I S O N - M U S H R O O M
キノコ採集は非常に魅力的な「お楽しみ」だ。それは、大抵の場合採集のあとには「食べる」というイベントが待ち受けているからにほかならない。その魅力を更に増幅させているものに、毒きのこの存在がある。人間はなぜか危険な香りに弱いものなのだ。キノコ学界の権威である今関六也先生によれば、日本の年間のキノコ中毒患者は約1,000人〜1,500人程で、死者は7〜8人とのことである。キノコ好きの日本人がいい加減な知識で起こしてしまうこれらの事故は、キノコについて勉強を深め、理解が知識になることである程度防ぐことの出来るものなのである。ここでは、誤った認識を改めるための情報をいくつか掲載する。版権の都合上写真が載せられないというのは毒きのこの同定にあたっては非常に心細いものがあるのだが、なるべくわかりやすく文書による毒きのこの話をしていこうと思う。
◎迷信は役立たず。判断は科学的に。
毒きのこを誤って食べないために、まずしなければならないことは、「今迄の常識を捨てる」ことだ。次に挙げるものは、全くの出鱈目であるので、絶対に信用してはならない。
- 色が鮮やかなキノコは毒。地味な色のキノコは食べられる。
- 縦に裂けやすいキノコは食べられる。
- 煮汁に銀のスプーンをつけて黒くなるのは毒。
- 木の幹に生えるキノコに毒はない。
- 虫の食べ跡があるから食べられる。
- 以前取って食べたキノコに似ているから大丈夫。
- おいしそうないい匂いがしたので大丈夫。
以上がよくいうキノコに関する迷信である。全く非科学的であることは冷静に考えれば分かることである。現代は魔女のいた中世ではないのだ。食べられるキノコと毒のあるキノコは、はっきりとした特徴によっては分けられないのだ。なかには、非常に美味なキノコと致命的な毒キノコが玄人目にもそっくりなんてこともある。そうして毎年幾人かの死亡者が出て、なぜか経験は活かされず迷信は生き残ってきた。
◎次の特徴を持つキノコは食べてはならない。
−本郷次雄監修/上田俊穂著「キノコ図鑑」より一部抜粋
- キノコの柄の根もとにつぼやいぼのようなものがついている。(テングタケ属に多い)
- 成熟したキノコのひだがピンクいろ〜淡い肉色を帯びる。(イッポンシメジ属に多い)
- ブナの枯れ木に群生し、やや椎茸に似ている。キノコを縦に裂いたとき、柄の肉に黒っぽいしみがある。新しければ暗いところで光る。(ツキヨタケ)
- シイ、カシ林に発生し、大型でずっしりとしてもろく、空気にふれた肉がゆっくり赤変する。(ニセクロハツ)
- 朽ち木に多数群生し、かさは小型でイオウ色〜淡黄褐色、苦味がある。(ニガクリタケ)
- 白っぽい柄に、茶色でしわの多い不定形の頭部をつける。ひだはない。(ジャグマアミガサタケ)
- 竹や笹のあるところに生える赤褐色のかさと柄があり、傘の中央が凹面になる。ひだは密。(ドクササコ)
- 傘、ひだ、(柄)が褐色の小型のキノコ。(食用キノコもあるが、いくつか猛毒のものがある)
決してこれだけというわけではないので、必ず数種の図鑑で確認することが望ましい。
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