きょうのわんこ(キクちゃん風)

 大阪は阿倍野と言うところにある近鉄百貨店の7階催し物会場で、東北なんとかフェアみたいなのをやっていた。明日が最終日で17時には閉まってしまう。会社が終わってから私が行けるのは今日が最後。店の前を通るまですっかり忘れてましたが、見つけてしまった以上行かないわけにはいかない。
 目的は「わんこそば」
 今までもこんな企画は何度もあったのだが、いままで一度も「わんこそば」というものを食べたことがなかった。行ってみたら時間が遅いせいか食べさせている隅っこの店は空いていたので、今度こそ挑戦してみることにした。ただ、店に入って椅子に座る頃まで今日のお昼ご飯が遅かったことを完全に忘れていたのは失敗だった。
 そんな場所でやっているからか、椅子に座ってからもなかなか「わんこそば」は始まらない。時間が遅いからか?店員が少ない、そばが出来てない??なんにせよ、そんなにお腹が空いていなかったことに気付き、後悔するだけの時間はたっぷりともらった。そのとき、前をふと見上げると「普通、成人男性で50杯は食べます」と書かれていた。
 これは俺に対する挑戦か!
 というか、大阪人としては同じだけお金を払って、普通より少なかったらなによりも損!!という気がしてならない。意地でも50杯以上は食べないといけなくなった。お腹空いてないのに。
 いよいよ始まった「わんこそば」。東北の人は知らないが関西人には「喧嘩売っとんのか!おんどりゃぁ!!」というようなかけ声?を常にかけながらそばをおわんに入れてくる。何よりもそのかけ声が一番気になる。テレビか何かで見たようにやっぱり次から次へと遠慮無しに入れてくる。「おぉ、これがわんこそば!」と感動する所なんだろうが、やっぱり早くもお腹が膨れてきた。まだ10杯ほどしか食べていない。早くも意地の世界になってくる。目の前に積まれていく空いたおわんがいくつなのか数えている暇がない。じきに自分が何杯食べたかんなて分からなくなってくる。とりあえず、一つの山が10個あることを信じて食べ続ける。そしてようやく5個目の山の横におわんを1個置いたときすかさずふたを閉めて終わりにしてもらった。とにかくしんどい。
 店員?アルバイト??の女の子が冷静におわんの数を数え出す。一山は10個より多かった。結果は59杯。さらっと「あと一杯食べたら、60になるよ」とか言われたがこっちはそれどころではない。食べ終わってみて初めて気付いた、死にそうにしんどいのだ!店を出てとにかく歩こうと1階まで階段で下りていき、少しでもお腹を空かそうかとその辺りをさらに歩こうと思ったが、なんと歩くことすら出来ない。動くとお腹が痛いのだ。仕方がないのでベンチでチョット休んでとっとと電車で帰ることにする。電車の中でもベルトをおもいっきりゆるめていてもしんどい。結局、一駅手前で降りてそこから歩いて帰ることにする。家に着いたときにはなんとかお腹が痛いのはおさまっていたが、もちろん晩ご飯はもう食べれるはずがない。疲れてしばらく座り込んでしまった。
 もう充分に懲りた。
 これが感想。もう一生わんこそばを食べることはないでしょう。もう、お金を払った上にゲロ吐きそうになるのはごめんだ。

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