前田整体院 トップ Q&A集 >呼吸について

 

   
呼吸は腹式呼吸がいいといいますが本当ですか?
   

この質問は、私が20年以上解らなかったことです。何かの参考になればと思い呼吸に関して自分が気付いたことを載せました。信じられない人は信じなくていいので、自分が正しいと思う方法を信じて下さい。いろんな本を読むと、大体臍下丹田といって腹式呼吸が正しいように書かれていました。しかし、現代人の多くの人が胸式呼吸をきちんとできていません。息を吸う時に肋骨がバケツのハンドルのように上方に上がりながら広がります(肋骨のバケットハンドル運動)。臨床でその動きがない方が非常に多いです。構造上の話しでは、猫背になっていたり肋骨が捻れたり傾いていたり側方移動していたりします。機能上の話しでは、肋間筋や横隔膜や肋骨、胸骨が緊張しています。呼吸は、横隔膜と肋間筋の収縮と弛緩の連続した動きを中心にして、横隔膜が収縮すると胸腔が陰圧になり肺に空気が入ってきます。横隔膜が弛緩すると胸腔が陽圧になり空気が肺から出て行きます。最近の若者に多い猫背で鳩尾(みぞおち)がへこんで両肩が前方にでている姿勢(テレビゲームをしている姿勢)になっていると横隔膜が緊張して収縮も弛緩もしっかりできなくなっています。そうなると肺を3割とか4割しか使えなくなります。いい姿勢をすることは、いい呼吸をするための必要条件と言えます。実際あるセミナーに参加した時に、セミナー受講者の7割くらいの方が肺の5割も使っていないと講師の先生がおっしゃっていました。では、胸式呼吸と腹式呼吸のどちらがいいのかというと、立っている時や正座、椅子に座っていい姿勢をした時に、鳩尾に軽く手を置いて吸気で肺に空気を入れる時は、その手を床方向に少し下げます。呼気で肺から空気を出す時は、鳩尾に置いた手を少し天井方向にあげます。そうすると楽に肺呼吸ができると思います。逆をすると違和感があってうまくいかないはずです。違和感がないという人は、腹式呼吸に偏っており胸式呼吸がうまくできていません。腹式呼吸に偏っている人は、吸気で手を床方向に下げた時にお腹が出てきてうまくいかない人が多いです。私も最初の頃はそうなっていました。鳩尾で補助してあげるのは横隔膜の収縮と弛緩の動きを助けています。横隔膜の補助だけでなく、もう一つの掌を胸骨中央にあてて吸気で天井方向へ動かし呼気で床方向に動かすと肋骨のバケットハンドル運動の補助になりますから、もっと胸式呼吸がしやすくなります。
いい姿勢をしている状態は、体が重力に抗っている姿勢であり活動するために体の細胞にたくさんの空気を送らないといけない状態です。しかし、仰臥位(仰向け)で寝るとこの条件が逆になります。腹式呼吸をするのが楽になります。それは抗重力でない状態で安静にしているので体の細胞は、活動時より空気を必要としません。椅子に座って背もたれにもたれている時や床に長座で座って後ろに手をついてもたれている時も同じようになります。そういう状況を脳が判断して自律神経のスイッチが切り替わるのかもしれません。食後に上記した横隔膜の補助を抗重力状態ですると面白い結果が得られるので興味のある方はやってみて下さい。食後は食べ物が内臓に入ります。横隔膜の収縮がやりにくくなりますから胸腔を陰圧にしにくくなり腹式呼吸に傾きます。拠って自律神経は副交感神経優位になるので内臓の働きが活発になります。補足ですが、肺の機能を向上させるということは、全身の細胞へ充分な空気を送り届けるということですから免疫の向上などありとあらゆることに関係していると思われます。また、当院の施術を受けながら上記の肺呼吸を毎日2、3分すると猫背が改善して背中が柔らかくなったという報告があります。2020年から気管や気管支の機能障害を改善する施術をすると肋骨のバケットハンドル運動が著しく改善して肺呼吸しやすくなる臨床データもたくさんあります。歌を歌う時に声がよくでるようになったり運動しても息が上がりにくくなったりします。

   

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