アメリカで結婚したが、日本で入籍していない場合の離婚手続き
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アメリカで結婚したが、日本で入籍していない場合の離婚手続き
2018.4.22mf更新
相談
私(日本国籍)は、アメリカ滞在中、カリフォルニア州で、妻(日本国籍)と結婚し、結婚証明書(Marriage Certificate)ももらいました。しかし、日本の役所には届けていませんので、戸籍上は、私も、妻も独身です。
私たちは、3年後に、帰国し、横浜に住んでいました。その2年後に別居し、現在、私は東京に住み、妻は横浜に住んでいます。
私も妻も離婚を望んでいます。先日、知人の弁護士に相談したら、日本においては、内縁状態だから、内縁解消の調停をするか、内縁解消の契約書を公正証書にするとよいと言われました。
このまま、妻は、「婚姻届をせずに離婚できたら、戸籍を汚さずに済む」と言っているのです。これでよろしいですか。
回答
結婚(法律上では婚姻)は、日本の市役所、区役所に届出ることで効力が生じます(創設的届出)。しかし、日本人が、届出ではなく、外国において外国法(挙行地の法律)に従って婚姻することもできます(法の適用に関する通則法24条2項)。
この外国法に従って結婚した場合、当事者は、3ヶ月以内に、日本の在外公館(大使、領事)に結婚証明書の謄本を提出する義務があります(戸籍法41条)。後者の場合、在外公館は結婚証明書の謄本を日本の本籍役場に送り、戸籍に婚姻の事実が記載がされます。しかし、この在外公館に対する届出により、結婚が成立するのではありません。外国法に従って、結婚したときに、婚姻は成立しています。
あなたは、アメリカ カリフォルニア州で結婚したのですから、法律上では、その時点で、正式に結婚したことになります。
結婚証明書の謄本を在外公館に提出する行為は、単なる報告なのです(報告的届出)。
以上のことを前提に、あなたのケースを見ますと、あなたは、法律上正式に結婚しています。これは、内縁関係ではありません。その意味では、あなたが相談した弁護士の説明は正しくありません。
日本で、離婚するには、協議離婚でも、調停離婚でもよいでしょう。どちらを選ぶにせよ、その前に、上記戸籍法41条に従って、「届出をしてくれ」と求められるでしょう。離婚しないで、今のままで結婚すると、戸籍上は初婚になりますが、重婚になります。重婚は犯罪です。
判決
- 東京地方裁判所平成24年9月28日判決
1 争点(1)(戸籍法41条1項の届出は,婚姻の効力要件であるか。)について
法例13条は,第1項において「婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム」,第2項において「婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル」と規
定しているところ,婚姻の実質的成立要件は各当事者についてその本国法によって定め,その方式,すなわち形式的成立要件については挙行地法によって定めるものと
しているのであるから,婚姻の方式に関する効力については,挙行地における婚姻の方式を行うことにより形式的成立要件を満たすと解するのが相当であり,戸籍法4
1条1項の届出は,いわゆる報告的届出というべきである。
本件婚姻については,法の適用に関する通則法附則3条6項,法例13条によれば,婚姻の成立は日本法が適用され,婚姻の方式については婚姻挙行地であるニ
ューヨーク州法が適用されるところ,前記前提事実のとおり,米国ニューヨーク州の方式に従って婚姻届をしているのであるから,婚姻の形式的成立要件を満たしてい
るというべきである。
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分) 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 電話 3431-7161
2005.5.2