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弁護士河原崎弘

刑事確定訴訟記録法

(昭和62年6月2日・法律第64号) 施行、昭63・1・1 改正、平12-法75、平16-法63・法156

第1条(目的)
この法律は、刑事被告事件に係る訴訟の記録の訴訟終結後における保管、保存及び閲覧に
関し必要な事項を定めることを目的とする。

第2条(訴訟の記録の保管)
刑事被告事件に係る訴訟の記録(犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措
置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)第五条第一項に規定する和解記録につ
いては、その謄本)は、訴訟終結後は、当該被告事件について第一審の裁判をした裁
判所に対応する検察庁の検察官(以下「保管検察官」という。)が保管するものとす
る。
2 前項の規定により保管検察官が保管する記録(以下「保管記録」という。)の保管期間
は、別表の上欄に掲げる保管記録の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるところ
による。
3 保管検察官は、必要があると認めるときは、保管期間を延長することができる。

第3条(再審の手続のための保存)
保管検察官は、保管記録について、再審の手続のため保存の必要があると認めるときは、
保存すべき期間を定めて、その保管期間満了後も、これを再審保存記録として保存す
るものとする。
2 再審の請求をしようとする者、再審の請求をした者又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律
第百三十一号)第四百四十条第一項の規定により選任された弁護人は、保管検察官に
対し、保管記録を再審保存記録として保存することを請求することができる。
3 前項の規定による請求があつたときは、保管検察官は、請求に係る保管記録を再審保存
記録として保存するかどうかを決定し、請求をした者にその旨を通知しなければなら
ない。ただし、請求に係る保管記録が再審保存記録として保存することとされている
ものであるときは、その旨の通知をすれば足りる。
4 再審保存記録の保存期間は、延長することができる。この場合においては、前三項の規
定を準用する。

第4条(保管記録の閲覧)
保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録
に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。ただし、同条第一項た
だし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
2 保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである場
合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁
判書を除く。)を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当
な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでな
い。
一 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
二 保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき。
三 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあ
ると認められるとき。
四 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれが
あると認められるとき。
五 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなる
おそれがあると認められるとき。
六 保管記録を閲覧させることが裁判員、補充裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させ
ることとなるおそれがあると認められるとき。
3 第一項の規定は、刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録以外の保管記録について、訴
訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場
合に準用する。
4 保管検察官は、保管記録を閲覧させる場合において、その保存のため適当と認めるとき
は、原本の閲覧が必要である場合を除き、その謄本を閲覧させることができる。

第5条(再審保存記録の閲覧)
保管検察官は、第三条第二項に規定する者から請求があつたときは、再審保存記録を閲覧
させなければならない。
2 前条第一項ただし書及び第四項の規定は、前項の請求があつた場合に準用する。
3 保管検察官は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合に
は、申出により、再審保存記録を閲覧させることができる。この場合においては、前
条第四項の規定を準用する。

第6条(閲覧者の義務)
保管記録又は再審保存記録を閲覧した者は、閲覧により知り得た事項をみだりに用いて、
公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉
若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない。

第7条(閲覧の手数料)
保管記録又は再審保存記録を閲覧する者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納
付しなければならない。
第8条(不服申立て)
第三条第二項の規定により保存の請求をした者(同条第四項において準用する同条第二項
の規定により保存期間の延長の請求をした者を含む。)又は第四条第一項(同条第三
項において準用する場合を含む。)若しくは第五条第一項の規定により閲覧の請求を
した者であつて、当該請求に基づく保管検察官の保存又は閲覧に関する処分に不服が
あるものは、その保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消し
又は変更を請求することができる。
2 前項の規定による不服申立てに関する手続については、刑事訴訟法第四百三十条第一項
に規定する検察官の処分の取消し又は変更の請求に係る手続の例による。

第9条(刑事参考記録の保存及び閲覧)
法務大臣は、保管記録又は再審保存記録について、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関
する調査研究の重要な参考資料であると思料するときは、その保管期間又は保存期間
の満了後、これを刑事参考記録として保存するものとする。
2 法務大臣は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合には
、申出により、刑事参考記録を閲覧させることができる。この場合においては、第四
条第四項及び第六条の規定を準用する。
3 刑事参考記録について再審の手続のため保存の必要があると認められる場合におけるそ
の保存及び閲覧については、再審保存記録の保存及び閲覧の例による。
4 法務大臣は、法務省令で定めるところにより、第一項又は第二項の規定に基づく権限を
所部の職員に委任することができる。

第10条(法務省令への委任)
この法律に規定するもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める

。 附 則
(施行期日)
第1条 この法律(以下「本法」という。)は、昭和六十三年一月一日から施行する。
(経過措置)
第2条 刑事被告事件に係る訴訟であつて本法施行の日(以下「施行日」という。)前に
終結したものの記録については、本法施行の際現に保管されているものに限り、本法
の規定を適用する。

第3条 前条の場合において、大審院のした裁判の裁判書については、本法施行の際現に
保管検察官が原本に代えて保有するその謄本を当該裁判書とみなし、原本は最高裁判
所が保存するものとする。

第4条 附則第二条の場合において、施行日から六月を経過する日前に第二条第二項の保
管期間が満了することとなる訴訟の記録は、施行日から六月を経過する日まで保管す
るものとする。この場合において、当該訴訟の記録の閲覧については、第四条第二項
第二号の規定は適用しない。

第5条 本法施行の際現に法務大臣が刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究
の重要な参考資料として保存している刑事被告事件に係る訴訟の記録は、第九条の規
定による刑事参考記録とみなす
。 (略式手続による訴訟の記録等に関する特例)
第6条 刑事訴訟法第六編又は交通事件即決裁判手続法(昭和二十九年法律第百十三号)
に定める手続による訴訟の記録であつて法務省令で定めるものに係る本法の規定の適
用については、当分の間、第二条第一項中「当該被告事件について第一審の裁判をし
た裁判所に対応する検察庁の検察官」とあるのは、「法務省令で定める検察官」とす
る。

第7条 〔省略〕 別表(第二条関係)

附 則〔抄〕(平成一六年五月二八日・法律第六三号)

(施行期日) 第1条 この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める
日から施行する。〔後略〕
附 則〔抄〕(平成一六年一二月八日・法律第一五六号)


(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める
日〔平一六政四〇〇により、平一七・一・一〕から施行する。

2006.11.3