控訴審で執行猶予がつきますか

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2017.9.17mf

相談:実刑判決を受けました

息子が覚せい剤取締法違反(使用、所持)で懲役2年の実刑判決を受けました。弁護士(国選弁護人)は、控訴した方がいいと言います。
息子は4年前に同じ罪で執行猶予の判決を受けていますが、執行猶予期間は経過しています。
この場合、控訴して意味がある(判決に執行猶予が付く)でしょうか。控訴審で1審判決が覆る率はどのくらいですか。

説明・控訴審で執行猶予が付く例はよくある

1審判決が実刑であったのは、「4年前の判決後、再度、同じ罪を犯した。反省していない」と見られたのでしょう。しかし、1審判決が実刑でも、控訴し、被告人が反省の態度を示し、周囲の者(父親など)が監督する旨誓約すると、控訴審で執行猶予が付くことはよくあります。従って、控訴することには意味があります。

付随的な問題ですが、被告人が控訴し、検察官が控訴しなかった場合、控訴審では1審より重い刑を言い渡すことはできません(不利益変更の原則、刑事訴訟法402条)ので、控訴しても不利な状況にはなりません。
2審有罪実刑の場合、控訴審の審理期間中の勾留は、刑期には算入されないでしょう(未決算入されない)。
平成21年における控訴事件の統計(刑事)は以下の通りです。破棄自判判決のうち、有罪は792件、そのうち262件に執行猶予が付いています。1審判決が覆ったのは約15%です(控訴取下げを除いた実質的控訴を分母にすると18.9%)。

(控訴審で1審判決が覆った率)

控訴総数7258割合 %
破棄自判
(有罪
執行猶予
無罪)
107414.8
破棄差戻し、 破棄移送120.002
控訴棄却489267.4
控訴取下150820.7
その他340.005
統計は、平成21年度司法統計による

登録 2010.9.18
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