相談
契約書に書かれた契約期間が切れたとき、契約更新をします。その際、新たに契約書を作成するのではなく、覚書、という形にしたとき、覚書にも収入印紙を貼る必要はありますか?
少し調べてみましたら、覚書で、変更する内容にもよるらしいのですが、例えば、期間や金額の変更でどのくらいの印紙が必要なのかがわかりません。
弁護士の回答
変更契約の扱い
新に新しい契約書を作成するのではなく、覚書の形で変更事項をのみを覚書として契約したらそれも契約書です。更新契約書は、原契約の期間を延長する変更契約書です。従って、通常の契約書と同様に考えればよいです。
原契約の重要な事項を変更する契約書(大体の変更契約書はこれに当たります)は、原契約書と同一に扱うことになっています(印紙税法基本通達17条)。契約金額、契約期間は、重要事項です。
この通達の別表第二に、契約文書ごとに何が重要事項かが一覧表にして挙げられています。
金額の変更の扱い
契約金額の変更の場合については同通達30条に詳細に決められていますが、概略次の通りです。
変更前の契約書が作成されていることが明らかな場合 |
増額した場合 | 差額が記載金額 |
減額の場合は | 記載金額はないものとします。 |
変更前の契約書が作成されていることが明らかでない場合 |
変更後の金額が記載されている場合 | 変更後の金額が記載金額となります。 |
差額のみが記載されている場合 | 差額が記載金額です。 |
従って、契約金額の記載の仕方で、印紙税を節約できます。
印紙税法基本通達
(契約の内容の変更の異議等)
17条
- 通則5に規定する「契約の内容の変更」とは、既に存在する契約(以下、「原契約」と言う)の同一性を失わせないで、その内容を変更することをいう。
- 契約の内容を変更証するための文書(以下、「変更契約書」という。)の課税物件表における所属の決定は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) 原契約が課税物件表の2以上の号の課税事項を含む場合において、当該課税事項の内容のうち重要な事項を変更する契約書においては、当該2以上の号のいづれか一方の号のみの重要な事項を変更するするものは、それぞれの号に該当し、通則3の規定によりその所属を決定する。
・
<省略>
・
(4) (1)から(3)までに掲げる契約書で重要な事項以外の事項を変更するものは、課税文書に該当しない。
- 前項の重要な事項は、別表第二に定める。
(契約金額を変更する契約書の記載金額)
30条
契約金額を変更する契約書(次項に該当するものを除く。)については、変更後の金額が記載されている場合(当初の契約金額と変更金額の双方が記載され ていること等のより、変更後の金額が算出できる場合を含む。)は当該変更後の金額を、変更金額のみが記載されている場合は当該変更金額をそれぞれ記載金額とする。
(例)
一 当初の売買金額100万円を10万円増額(又は減額)すると記載したもの (第一号文書)110万
円(又は90万円)
二 当初の売買金額を10万円増額(又は減額)すると記載したもの (第一号文書)10万円
2 契約金額を変更する契約書のうち、通則4の二の規定が適用される文書の記載金額は、それぞれ次のようになるのであるから留意する。なお、通則4の二に規定する「当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり」とは、契約金額等の変更の事実を証すべき文書(以下「変更契約書」という。)に変更前の契約金額等を証明した文書(以下「変更前契約書」という。)の名称、文書番号又は契約年月日等変更前契約書を特定できる事項の記載があること又は変更前契約書と変更契約書とが一体として保管されていること等により、変更前契約書が作成されていることが明らかな場合をいう。
(1) 契約金額を増加させるものは、当該契約書により増加する金額が記載金額となる。
(例)
土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1000万円を100万円増額すると記載
したもの又は当初の売買金額1000万円を1100万円に増額すると記載したもの (第一号文書)
100万円
(2) 契約金額を減少させるものは、記載金額のないものとなる。
(例)
土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1000万円を100万円減額すると記載
したもの又は当初の売買金額1100万円を1000万円に減額すると記載したもの (第一号文書)
記載金額なし
(注)変更前契約書の名称等が記載されている文書であっても、変更前契約書が現実に作成されていない場合は、第一項の規定が適用されるのであるから留意する。